30.謎解きバトル
シンの治療は無事終わり、ハヤトは部屋で再びツインテールの少女、アカリのことを考えていた。彼女の首元にもローザの首元と同じように文字が、言ってしまえばタトゥーされていた。
少なくともローザに関してはデスゲームが始まるまではなかったものだ。つまりその刻印はこのゲームと何らかの形でつながっている可能性が高い。それはローザも主張していた通りだ。
現在その刻印があるのはローザとアカリの二人のみ。シンにはなく、クリスティーナさんにも確認したところ、そんなものはないとのことだった。
AとR、そこから導き出されるものはなんだ? AとR……。ローザとアカリ……。
「そうか、わかったぞ」
「何がですかお兄様?」
「何かしら?」
三人がいるには狭い部屋にいたローザとクリスティーナが答える。ちなみにいつもベッドではクリスティーナとローザが寝ており、ハヤトは椅子に座って寝ていた。
ハヤトはその椅子に座りながら二人に語った。
「いいか、木戸ローザと、多川アカリ、そしてRとA、ここからひとつわかることがある。それが何かわかるか」
「私の下の名前をローマ字で書くと、頭文字はRになりますね。もしかして」
「そう、二人は下の名前をローマ字で書いた時の頭文字がタトゥーされているんだ。そしてタトゥーされてない俺やクリスティーナさんみたいな人もいる。つまりタトゥーされている人物が何らかのカギになっている可能性が高い。そしてその頭文字を使って何らかの文字列を作るんだ」
「でも二つだと、ラ、にしかなりませんね」
「そう。そしてSとHとCは使わないわけだ。シンと俺とクリスティーナさんはタトゥーがないからな」
「じゃあ、オースティン君にも聞いてみる方がよさそうね」とクリスティーナ。
「そうですね。そうしましょう」
シン、オースティン、アカリにも部屋に集まってもらい、同じ説明をしてそれぞれタトゥーがないか確認した。
するとアカリがオースティンを肘で小突いた。オースティンはそれに促されるようにして、しぶしぶといった感じで話した。
「俺の首元にもOのタトゥーができてたよ。それがどうなるのか知らんが。文字があるから殺されるとかだったらやだなあ」
と、オースティンは自分の心配を始める。
「Oか。文字があるからどうなるかはわからないが、これで三つのアルファベットがそろったわけだ。A、O、Rの三つ。ここから何か導き出せないかと思っているんだが……。このデスゲームと関係があるとして……」
ハヤトは考え込んだ。三つのアルファベット。そしてS、C、Hは使わない。デスゲーム。アウロ。
「ん?」ハヤトはふと気づいたことがあった。
「どうしました? お兄様」
「いや、もしUのタトゥーがされている奴がいるとしたら、とある文字列が浮かび上がってくる」
何ですか、それは、と、ローザが促す。
「AURO。つまりアウロだ」
なるほど、とシンが言い、納得したような雰囲気が部屋に広がる。
でも、とシンが口をはさんだ。
「アウロって文字列が仮に完成したとして、そしたらどうなるんだ?」
当然の質問だ、とハヤトは思った。しかしハヤトはこれに対する答えをまだ見つけられずにいた。
「わからない。もしかしたら四人そろったパーティーに何か起こるのかもしれない」
「じゃあ下の名前がUで始まる奴を見つけなくちゃいけないな」とシン。
「そうだな……。あんまりいそうにはないが、ゲームが始まった以上、きっとどこかにいるはずだ。シン、お前のネットワークを使って名前がUの奴を探してきてくれないか? 俺はあいにく友達が少ないもんでな」
「わかった」とシンが言う。
ハヤトは少しだけむっとしたが、かまわず続けた。
「そいつをパーティーに入れられたらそのパーティーにミッションが、」
といったところでたいまつの火が消えた。部屋が真っ暗になる。
おいおい、殺人事件でも起こるんじゃないだろうな、とハヤトは思ったが、幸い魔法ですぐに火をつけなおし、部屋は再び明るくなった。そして特に何の異常もなかった。
ハヤトはあらためて続ける。
「なにか特別なミッションが発生するかもしれない」
「Uねえ。そんな奴いっかなあ」と言ったのはアカリだ。
確かに数は少ないだろうな、とハヤトは思った。
「だが確かに探してみる価値はありそうだ」とシンが答える。「わかった。今度知り合いに聞いてみるよ。下の名前がUから始まるやつだな。わかった」
それで何らかの進展があればいいが。ハヤトはそう思いながら、ついさっき消えたたいまつの火を見つめた。




