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23.白金の弾丸

 白金の剣で切り裂けば倒せるんじゃなかったのか!? とハヤトは心の中で嘆いた。


 どこかに急所があるのか? と思ってもう一度ローザに飲み込まれてもらい、例の力を発揮して、今度は心臓まで切り裂いたが、復活までの時間が稼げるだけで、倒すことはできなかった。


 それどころか、魔法使いまで魔法で攻撃を始める始末だった。


 ローザはそれの相殺と、蛇に対する射撃が有効と分かってからはその二つの役をこなしていた。


 しかしハヤトも魔法の相殺に加わったが、いつまでもこうしているわけにはいかない。何か突破口があるはずだ。


 蛇をいくら切り裂いても、心臓さえも、これといったダメージを与えることはできなかった。どれも一時的なダメージばかりだ。


 つかまっては切り裂いて、つかまりかけては切り裂いて、の繰り返しで、ダメージを蓄積させるのが突破口かとも思った。


 しかし。


「ローザ、まだいけるか」


「そろそろ、申し訳ありませんが、体力の限界が近づいています」


「俺もだ」


 二人でそんな話をしていれば、ここぞとばかりに、硬くて黒いうろこを持った蛇が突撃してきたり、自らの体を使って二人を締め上げようとしてきたりする。


 こんな依頼、簡単に受けるんじゃなかった。ハヤトは心の中で思った。これはクリスの罠だったのか? しかしあいつがこちらに不利な情報を提供したことはない……。


「お兄様!」


 見ればローザがまた蛇の舌につかまっていた。


 ハヤトはもう一度、スローモーションの世界で舌を切り裂き、ローザを助ける。


 すると今度はハヤト自身がつかまってしまう。


「くそっ……」



 ハヤトは狭い蛇の体内を必死に切り裂いて脱出した。


「だめだ。これじゃあらちが明かない」


 ハヤトは嘆いた。


 蛇の体力が削られている様子はあまりない。攻撃された後にぐったりするくらいである。急所もなく、体力もない。そんな状況でいったい何をどうすればいいってんだ? ハヤトはだんだんイライラしてきた。こんなの無理ゲーじゃないか、と。


 でもしょせんこれはただのゲームでただのミッションだ。インポッシブルなはずはない。ハヤトはそう思う。


 白金の剣、無限に思えるほど復活を繰り返す蛇、魔法使い、ローザ、俺……。ハヤトはバリバリバリっと蛇のうろこを切り裂いた時の感覚を思い出す。


 考えている間にも、蛇は容赦なく二人を攻撃し続ける。


「ローザ、何か策はないか?」ハヤトが聞く。


「ありません。お兄様の方は?」


「ない」


 と、こちらがそろそろ限界を迎えようとしているところに、遠くから声がかけられた。どうやら魔法使いの男がしゃべっているらしい。


「そいつは俺の自慢の蛇でなあ! ちょっとやそっとの攻撃じゃあ簡単に復活しちまうんだぜ!」


 と言って笑う。


 こっちはちょっとやそっとの攻撃手段しか持ってないんだよ……! とハヤトはイライラをつのらせる。


「ローザ、右だ!」


 ハヤトが叫ぶとローザは間一髪のところで蛇の突撃をかわした。そして蛇は勢い余って壁に突っ込む。なるほど。壁に穴が多かったのはそうやって突っ込んでいるからか。って感心してる場合じゃない。何とかしなければ。しかしいったいどうする。


「あ」


 とここで一つだけ思うことがあった。バリアーのことだ。


 復讐戦のときにバリアーの魔法陣が貼られていたな、とハヤトは思い出す。となると相手は魔法使い。蛇にバリアーを仕掛けることぐらい造作もないだろう。


 だから白金の剣しかまともに通らない。


 でも、だ。


 一つだけ試してないことがあるじゃないか。


 ハヤトは蛇を必死によけながら思う。


 そう、それはローザが最初にやったこと。


 つまりローザがヒントをくれたわけだ。


 でも、それがやれるか?


 いや、やれるかどうかじゃない、やるんだ。


「ローザ! もう一度だけ蛇の舌に捕まってくれ!」


「はい! お兄様!」


 従順な妹をもって助かった。


 ハヤトはスローモーションの世界で思った。


 そうして蛇を切り裂いたところで、ローザに命令する。


「ローザ、あの魔法使いの男に向かって、横から銃撃をしながら突進してくれ」


「でもあの魔法使いに銃撃は……」


「いいから、頼む」


 そういってハヤトは手を合わせる。


「わかりました、お兄様。お兄様の言うことですから。私、頑張ります!」


 そういってローザはぐったりして回復している間の蛇をしり目に、魔法使いに向かってサブマシンガンを連射しながら突撃した。


 それに対して魔法使いの男は笑いながら杖を上に向け、その先端を光らせる。火の魔法だ。赤色の光がどんどん増す。


「やあああああ!」


 そこに向かって突進するローザ。


「危ないぞ、ローザ」


 そういった瞬間、世界がスローモーションになった。ハヤトは魔法使いに向かってハンドガンを向ける。


 そしてそれをバン、と発砲する。


 ここからが腕の見せ所だ。


 ハヤトは全速力で弾丸を追いかけながら、その周りをぐるりと白金の剣で撫でていく。弾丸の回転と剣の回転が逆向きになって抵抗を生む。そしてだんだん白金の剣が削られていく、つまり弾丸が白金色になっ(・・・・・・)ていく。


 そうしてできたのは白金の弾丸。ローザを守るための弾丸。石になった人々を、呪われた女性を救うための弾丸。


「いっけえええええええええ!!」


 ハヤトはそれにすべてをかけた。

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