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21,新たなミッション

 やがてしばらくして、ローザとクリスティーナが駆け付けた。ハヤトはことの顛末(てんまつ)を細かく伝えた。復活の種のことに関しては二人とも把握していたようだが、予知が破られたことに関しては、方法は見当もつかないということだった。


「お兄様、ようやく終わりましたね」


「ああ、とりあえず、終わったな」


 二人は感慨にふけっていた。ここ数日間の、追放からのスキルチェンジ。そして三回にわたる復讐戦。とても長く感じられた。それがようやくここに予想外にとは言え、終わったのだ。それなりに感慨深いものもある。


「それにしてもお兄様、さすがでした」


「さすが、というと?」


「銃弾を切り裂いたり、矢を切り裂いたり、まさに獅子奮迅! 宮本武蔵を見ているようでした!」


「宮本武蔵は何とも言えないが……、まあ、そうだな。ははは」


 確かに思えばそうだな、という程度にしかハヤトは思わなかったが、自分が賞賛されていると思うとまんざらでもないので、なんとなく笑ってその場をやり過ごした。


「でも所持金がほとんど増えてませんね」


 ローザに促されて、ウィンドウを表示して所持金を確認したが、残りかすのような所持金とドロップアイテムしか獲得できてなかった。ハヤトが殺したテッテルの仲間はロクな所持金を持っていなかったということだ。


「考えられるのはどこかに隠したってことだが、ほとんど動きがなかった以上、テッテルを殺した奴が総ざらいしていった可能性が高いだろうな」


「いったい誰が彼女を……」


 それが最大の問題だ、とハヤトは思案した。ハヤトを差し置いてテッテルを狙ったのは所持金の差があったからなのか、恨みがあったからなのか、よくわからなかった。同時に二人殺せた可能性もあったのにそれをしなかったのも妙だ。



 そうこうしているうちにとある出来事が起こった。空から伝書鳩が手紙を落としてきたのだ。


 三人はこぞって覗き込んだ。手紙いわく



   拝啓


 元気にしているかな、ハヤト・ローザ兄妹。僕の方はひとまず現実世界でやらなければいけないことが済んでほっとしているところだ。これでゲームに集中できるというものだ。


 さて、君たちがもし元気で、なおかつ余裕があるならぜひ紹介したいことがある。というのは、いま次の街で二人用の依頼が出ている。NPCでその依頼を受けている者はたった一組しかいない。話によるとそれをクリアすれば強力なアイテムが手に入るそうだ。NPC二人組に出会えればNPC同士話が弾むのではないかな。僕はNPCには好意的だから、純粋な意思で伝説のアイテムを背負った君を見てみたいな。じゃあ今回はこれで。幸運を祈る。草々不一。



「まったく上からな人ですね」


「でもNPCが挑んでいる二人用イベントなんて久しぶりじゃないか。それに伝説の武器だぜ? 気になるな」


 ハヤトは無意識に目をキラキラさせていた。「でもそれだとクリスティーナさんがあぶれちゃうな。どうしよう」


「いいのよ私は」クリスティーナが言う。「私は酒場の給仕があるし、せっかくだから兄妹水入らずで頑張ってきてちょうだい」


 ローザとハヤトは顔を見合わせた。





 結局二人はクリスティーナの好意に甘え、その流れで次の街のダンジョンへと向かうことになった。


 通行人に聞いたところ、そのダンジョンは次の街に入る直前にあるわき道を入っていくとたどり着ける洞窟のダンジョンらしい。


 洞窟のダンジョンと聞くと嫌な思い出がよみがえるが、仕方がない。そこでとあるミッションが受けられるということらしい。


 二人は街の前まで来て、道かどうか疑わしいほどのけもの道を歩き、滝の裏を歩いたり崖際すれすれを、ところどころの裂け目を飛び越えながら進んだりして一時間。ようやくそれと(おぼ)しき洞窟にたどり着いた。これだけの奥地にあるだけあって、人数は非常に少なかった。



 二人がダンジョンの中へ入っていき、たいまつに沿って歩いていくと、巨大な空間にたどり着いた。天井は鍾乳洞のようで、たくさんの突起物がつららのように垂れており、奥には光が差し、湖が光り輝く神秘的な光景が広がっていた。


 そんな洞窟の左端の方、光の当たらないところに木製のドアがあった。二人はそれをノックしてみた。すると中から出てきたのは目にターバンを巻いた女だった。



 その女性はすっかり痩せこけてしまって、しわのないわりに年老いて見えた。


 女は言う。


「すみません、旅のお方。私の夫が石になってしまったんです。どうか助けてください」


 とすがるようにいきなり言われたので、ハヤトは、


「ど、どうして石になってしまったんですか?」


「私の目です。私の目が、人々を石に変えてしまったのです」と言われてそのドアの中をみてみると、そこにも大きな空洞があり、そこにはなんと数千もの石像が立ったり座ったり、いろんなポーズで並んでいた。それはまるでなにかのコレクションのようだった。それも狂気の領域に入りかけているものだ。


「だからこの人たちを、夫を、そして私を助けてはいただけませんか、お二人とも……」とか細い声で懇願した。


「わかりました。淑女のためとあらばこの私、何でも致します」


「お兄様、ちょっと浮気性が過ぎますね」


 そうしてミッション開始が受理された。

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