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その命ある限り  作者: 宮田カヨ
4/7

その3

初めに(https://ncode.syosetu.com/n7843hb/1/)をお読みください。

また、今回男×女の描写があります。苦手な人は見ないでください。


マジでお久しぶりですファイルがなくなって心折れてました

「おじさん。おじさんの知り合いとかいる?」

「……ベラトール家当主を。カトリーナという」

「わかった。俺、そこに行くよ」

 つむじの母親が声を上げた。

「天竺葵さん、あなた、なぜ魔法族と関わりを?」

「……大昔、使用人として仕えていました。あの頃は、その日食べるのにも必死でしたから」

 こはくも驚いた。父親がまさか、魔法族と関わりを持っていると思わなかったから。

「……黙っていてごめんね、こはく」

 魔法族。それはこの世界を統治するのは存在だ。そして、魔法族が存在するということは、この村の人間のように非魔法族も存在するのだ。

 魔法族と非魔法族は互いにいがみ合っていて、お互いを差別していた。

「お父さん……」

 こはくが絞り出すように呟いた。つむじとその両親は何も言わない。魔法族と関わりを持っていた。このことは非魔法族にとって禁忌にも等しい。だが、今まで助けられた恩などもあり、何も言えないのだ。

「もし、私が原因でこはくとつむじくんの婚姻を反対するのであれば、私がケジメを取ります。どうか、結婚を許してください」

 天竺葵は起き上がる。だが、怪我のせいでうまく体勢を取れていない。こはくが支えれば、天竺葵はありがとう、と呟いた。

「……私はこの先を見ます、そして、災厄を回避させてみせます。どうか……」

 天竺葵は頭を地に付ける。こはくもだ。父の隣で頭を下げる。

「……天竺葵さん、頭を上げてください」

 つむじの両親は、頭を下げる。

「どうか、息子をよろしくお願いします」

 つむじの母親が言った。全幅の信頼を寄せて、息子を任せ、結婚を許した。こはくはつむじと顔を合わせた。

 子供の頃から好きだった。一生を添い遂げたいと、世間一般で言う、好きな人と家庭を持って幸せになりたいと思っている。それが、近く叶うのだ。

 その時、こはくの目に痛みが走った。目を開けていられないしそれに、目を押さえて蹲る。

「こはく、どうした!」

 天竺葵の声がする。だが、こはくはあまりの痛みに何も言えなかった。声も出せなかった。幸せな気分から、一気に谷底へ突き落とされたような不幸が、こはくを襲う。つむじの母親が医者を呼んでくるようにと、天竺葵は必死になっている声が聞こえる。

 頭の中で声がする。やまぶき、と女の人の声がした。その声は暖かさを含んでいるが、底知れない不気味さも含んでいる。どこかで聞いたことのある声だ。

 お母さんなの、そう思った時、こはくの意識が飛んだ。

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