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その命ある限り  作者: 宮田カヨ
3/7

その2

初めに(https://ncode.syosetu.com/n7843hb/1/)をお読みください。

また、今回男×女の描写があります。苦手な人は見ないでください。

※タイトルをAmorからその命ある限りに変更しました(2021/7/12)

 もうすぐ日が落ちる。村の人間は一日の疲れを癒そうと、寝る支度をしている。しかし、こはくとこはくの父親はまだ起きていた。そして、緊張の面持ちでそこにいる。

 こはくの家にはこはく自身と父と、つむじとつむじの両親がいた。

 こはくの父親は怪我が原因で体を悪くしている。だから、こはくと父親がつむじの家へと赴くのではなく、つむじとその家族がこはくの家へと赴いた。

「天竺葵さん、お体の方は大丈夫ですか?」

 天竺葵と呼ばれたのはこはくの父親だ。そして、天竺葵のことを気にかけたのはつむじの母親だ。

「ええ、いつもすみません」

「いいんですよ、お互い様ですから」

 天竺葵は怪我の後遺症のせいで起き上がることができない。だが、天竺葵は村の人間からは賢人として重宝されていた。天竺葵は先見の目を持つ、村のものからそう言われていた。第六感を駆使して、危険などを予測し、それを村の人間に伝えていた。

 明日は雨が降るから、川の水に気をつけてほしい。今のうちに野菜を収穫しておいた方がいい、猿が全て食べてしまう。

 これら全て、天竺葵の先見は当たっていた。

 先見の目が気味悪がられる事はなかった。天竺葵は人が良かったのだ。

「天竺葵さん。二人の婚儀についてですが」

「そうですね……近いうち、できれば一週間以内、華やかな場所でどうでしょうか?」

「まあ、早いのですね」

「ええ、早ければ早い方がいいのですよ」

 少し不安そうに、天竺葵が言った。

「嫌な予感がするのです。おそらく、一週間以内に、何かが起こります。村の者も、皆非難した方がいい」

 その一言に、つむじの両親の体が固まった。

「どういう事ですか?」

「わかりません、まだ全てが見えないのです……だが、何か良くないことが起こるのは確かです……今回ばかりは、私も手に追えません」

 この先の言葉は言わなかった。

「……大丈夫だよ、おじさん」

 つむじがそう言葉を吐き出した。

「おじさん、俺たちどこに行けばいい? 俺、絶対こはくのこと守るよ」

「……ありがとう。だが、君らには相反する者たちの名だ。言ってもいいのかい?」

「うん」

 つむじは力強く頷く。つむじの両親もだ。天竺葵を信頼している。だからこそ、言葉を受け止めようとしている。こはくは父の手を握った。

「……魔法族を頼ってください。南の国・アーグを統治するベラトール家、北の国・ソイルを統治するユース家、西の国・アックアを統治するアンダイン家。あの人たちを、どうか頼りに……あそこの人たちは、頼りにできます」

 つむじと両親は絶句した。

「東の国……つまりここ、東風はだめです。今、あそこは領主がいない。それに、あそこはだめです」

 なぜ領主たちの名前を口に出すの、つむじの母親がそう言いかけたが、それよりも早くつむじが声を上げた。


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