夜道を歩かば・・。
「なぁ、しってるか?火の無いところには煙りは立たないんだぜ?」
誰かが言った言葉
「都市伝説なんて嘘っぱちだ」
別の誰かが言った言葉
どっちの言葉が本当なんだろう・・・・。
僕のすむ街には一つの伝説がある。
・・まぁ、伝説と言っても良くある都市伝説の類いなのだが。
夜道を歩いている時に野良犬がついてきた時は、決して隙を見せては行けない。
と、言うものだ。
最後の部分は
「転んではいけない」とか
「野良犬が立ち去るまで動いてはいけない」とか若干の変化があったりするのだけど、大筋ではこんな案配である。もし、隙を見せてしまえば忽ち犬に喰われてしまうのだと。野良犬を滅多に見かけなくなった昨今、こんな話が残っているのが不思議なくらいだ。
※その日、僕は部活の関係で遅くなってしまった。
どうしても見たい番組があるので普段は通らない神社近くの近道を通って帰ることにした。
風もなく蒸し暑い夜道・・。
回りには明かりが少なく、月も出ていない。
ふっと気付くと僕の足音の他にも何か音が聞こえてくる・・。
タッタッタッ
立ち止まってみる。
タッタッ・・・・
足音も止まる。
また歩いてみると、足音もまた聞こえ出した。
・・・・まさかね、犬の話なんて本当にあるわけ無いよな。背中に冷たいものが流れてくるのがわかった。
・・・・うん、気にしないのが一番だ。
そう割り切って歩き出したその刹那、何者かが足を掴んできた。
―ひっ!―
何が起きたか訳がわからず思わず出た声にならない声。振りほどこうともがく・・・・が、一向に振りほどけない。
あまりの事で恐慌を起こす僕の耳に有るものが聞こえてきた。
それは獣の遠吠えである。
!?
また、良からぬ事が起きるのかと身構えたその時、僕の足を掴んでいた何かが消えた。
それからの事はあまり覚えていない。
兎に角その場から逃げたくて一心不乱に走ったからだ・・。家に帰り少し落ち着くと信じられない光景が・・。
ちょうど何かに捕まれていた部分に泥が人の手の形で跡が付いていた。
後で祖母にこの出来事を話してみた所、一緒に神社にお参りに行こうと言い出す。
本当はあんな訳のわからない体験をした場所の近くには行きたくなかったのだが、祖母があまりにも真剣な顔をして言い出したもので、断ることも出来ず日を選び行くことにした。
そして、神社の入口にはこう書いた門扉が建っていた。
大神神社と・・。
訳のわからない話でごめんなさい。