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1:とある神様について

 ピーーーーーーーーーッ・・・


「お父さん!お父さん!!」

「あなた・・・どうか安らかに・・・」


 命の終わりを告げる音が鳴り響く。

 今日もまた、1人の人間がこの世を去った。



 終わりを迎えた人の魂は天へと昇り




 神の元へと還ってくる。




「貴方はとても長生きされたのですね。ご苦労様でした」

「おーい!この魂そっちで頼むよ」

「悪い、ちょっと今手一杯」

「私のところで受け持ちますわ」

「よろしく頼む!」



 一面真っ白な世界


 そこではふわふわと浮かんでいる柔らかそうな乗り物に乗って何かを行なっている、それはそれは美しい人が沢山いらっしゃいました。


 人?いいえ、実はこの方達は『神』と呼ばれる存在なのです。


 ここには天へと還ってきた善良な魂を迎え、また別の世界へと転生させる役目を持った神様達が存在していました。

 神様達は自分たちの役目に誇りを持っていた為、次々と昇ってくる魂達に翻弄されながらも、誇りを持ってその役目を全うされておりました。


 ですが神様達にも意思が存在しております。


 よーく、よーーーく辺りを見渡すと、1人、それはそれは退屈そうな美男子の神様がいらっしゃいました。



「あ〜〜〜〜〜・・・・つまんねぇ。ったく、毎日毎日同じ事の繰り返しで、よく他の神達はやってられるな〜〜〜・・・お前は前世で警察官だったのか。少女を庇って死亡なんて正義感あるじゃねぇか。んじゃあ来世は騎士になる世界にでも送ってやるよ。また頑張りな」



 神様がふっと息を吹きかけると、手元にあった魂はどこかへと消えていきました。


 ブツクサ文句を言っているこの神様。

 文句は言いつつもしっかりと自分の手元にいる魂と向き合いお役目を全うしていますが、代わり映えのしない毎日に飽き飽きしておりました。


 そんな神様の唯一の退屈凌ぎが、地球という世界で発売されている『乙女ゲーム』という物でした。

 ありえねぇだろ!とツッコミたくなる刺激ある物語を自らの手でクリアしていくのが大好きなようです。

 神様なので何かを創造するのは簡単な事です。

 何せ還って来た魂の為に新しい世界を創造する事も出来るのですから。


 そのためこの神様は他の神様の目を盗んでこっそりゲーム機を創り出し、乙女ゲームを楽しんでおられました。



「んじゃ次・・・ん?」



 次の魂を手元に手繰り寄せ前世の記憶を見た神様は、ぴたりと動きを止めました。

 何とこの魂、数刻前にちょうど神様がクリアし終えた乙女ゲームにハマっていたのです!

 そこで神様は閃きました。


 乙女ゲームの世界を創造してみたら面白いのではないか!!?


 ・・・と。


 神様は大抵の事は出来てしまうので、送り出した魂が今どのようになっているかを見たり、ちょっとだけ魂の記憶を弄る事も出来てしまいます。


 勿論普通はそんな事しません。

 でも禁止されていません。そんな掟はありません。


 そこからの神様の行動はとても素早いものでした。


 似たような魂をあれやこれやと集め、ちょいちょいっと新しい世界を創り出すと、まとめて息を吹きかけ、手元の魂達をとある乙女ゲームの世界へと送り出しました。



「大好きだった世界に行けるんだ。()()()も嬉しいだろ!!じゃあ達者でな!!!!」







 *****






「とても残念だよリネット嬢。君が彼女に愚行を働いていたという証拠は揃っているんだ。・・・君とは婚約を破棄し、聖女、アリア嬢と新たに婚約する事をここで皆に宣言する!!!!!!」


 会場がざわめく。


 目の前に立つ婚約者、キース=ドラゴンフルーツ王太子

 彼に庇われるように傍に立つ聖女、アリア=ストロベリー男爵令嬢


 そして私、リネット=マスクメロン侯爵令嬢


 そう、リネットは嫉妬ゆえに聖女であるアリアに学園で虐めを繰り返していた。

 それが王太子にバレ、卒業パーティであるこの場で断罪され婚約破棄され・・・


 断罪・・・?


 婚約破棄・・・?


 ん・・・?んん・・・・・・・?


 なんかこのシーン・・・見た事ないか・・・?


 そうだよ、知ってる。知ってるよ、だって大好きだもん・・・


 大好きで大好きで毎日睡眠時間を費やしてプレイしたもん・・・


 私、もしかして・・・



「(乙女ゲームの世界に転生してる!!!!!!!!!!??????????)」


真面目に読むと馬鹿らしくなるコメディ物語です。

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