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〇〇少女ワールド 2  作者: 渋谷かな
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高級食パン

「ここの食パン美味しいんだって。アハッ!」

「正に世は、大食パン時代よね。アハッ!」

 ちまたではタピオカブームも終わり、次にきた高級食パンブーム。超能力少女の真理亜と魔法少女のアリアも食パンを求める行列に寒い中一時間目に来て並ぶ。

「でもライバル同士で食パンの行列に並んでいいのかな?」

「いいのよ。私たちはライバルだけど、お隣さんで仲良しのお友達だから。アハッ!」

 魔法は現代では超能力に置き換えられ、超能力少女と魔法少女に違いはなかった。

「行列に並ぶのも暇ね。何か話題はない?」

「そうね。恋バナなんてどう? 私たち16才の女子高生だし。」

「いいわね。恋バナ! 恋愛したい! どこかにカッコイイ男はいないかしら? アハッ!」

「あのね。少女って変換しようとしたら、処女になっちゃった。アハッ!」

「・・・・・・。」

 超能力少女の一言に魔法少女の時間が止まる。

「〇〇少女ワールドだから、男キャラがいないんだった・・・・・・。」

「ち~ん。お粗末。」

 ○○少女の貞操は守られている。○○少年ワールド、○○少年少女ワールドが始まる日はくるのか? このテイストであれば即可能ではある。

「お待たせしました! 開店します!」

 食パン屋が開店時間になりオープンした。

「おお!」

 行列に並んでいたお客さんたちからも歓声があがる。

「やったー! やっと食パンが買えるのね! アハッ!」

「一時間も寒い中で待った甲斐があるわ! アハッ!」

 もちろん超能力少女と魔法少女も大喜びで開店を喜んだ。

「ええ~それでは、先に大量注文の予約をされたお金持ち少女のお客様を先にお会計いたします。」

 ちょっと売れて調子に乗っている食パン屋のオヤジが血迷ったことを口走った。

「ええー!?」

 行列に寒い中何時間も並んでいたお客様から悲鳴が上がる。

「なんでよー!? あいつら行列にも並んでいないじゃない!?」

 キレる超能力少女。

「黙りなさい! 貧乏人! 悔しかったら大量に注文するのね! フン!」

 お金持ち少女が行列に並ぶ貧乏人たちを笑う。

「殺してやる! 私のタイキックで蹴り殺してやる!」

「抑えて!? 真理亜ちゃん!? 相手はお金持ちで、お店の売り上げに貢献しているのよ!?」

「く、悔しい!?」

 必死で超能力少女を抑える魔法少女。

「すいません! 本日の食パンは全て売り切れました! お店を閉めます! また明日並んでください!」

 パン屋のオヤジは逃げる様にお店のシャッターを閉めた。

「はあー!? なんなのこの展開は!?」

 激怒する超能力少女。

「許す! 蹴っちゃいなよ! 真理亜ちゃん!」

「OK!」

 一度は許した魔法少女だったが、寒い中一時間行列に並んで卑劣なお金持ち少女の買い占めで食パンが買えなかったことに、さすがの魔法少女もタイキックの許可を出した。

「くらえ! お金持ち少女! これが私のタイキックだ! 寒い中一時間も並んで食パンが買えなかった私とお友達の恨みを思い知れ!」

 超能力少女のタイキックがお金持ち少女を別次元に蹴り飛ばす。

「ナイス・キック! アハッ!」

 スッキリした超能力少女は良い汗をかいた。

「私も魔法で時間を戻すとしようかしら。お金持ち少女は除いてと。今度は食パンが買えますよに。タイム・バック!」

 魔法少女は魔法で時間を戻して、食パン屋さんが開店した時間に戻した。

「お待たせしました! 開店します!」

 今度は行列に並んでいたお客様が順番に食パンを買っていく。

「いよいよ! 食パンに出会えるのね! 待ちに待った恋人みたい! アハッ!」

「それは言い過ぎよ。真理亜ちゃん! 次は私たちの番よ! アハッ!」

 超能力少女と魔法少女は笑顔で行列に並んでいる。

「すいません。開店時間に予約していたお客様が遅れて来たので、お先に失礼いたします。」

「え!?」

 予約少女が遅刻してきて、超能力少女と魔法少女の前にやって来た。

「割り込みよ!? 遅刻してきたんだから行列に並びなさいよ!」

「そうだ! そうだ!」

 珍しく正論を言う超能力少女だけでなく行列に同じく並んだ同士たちも抗議の罵声を浴びせる。

「黙りなさい! 予約があるんだから、予約すればいいでしょ! そうすれば行列に並ばなくていいわよ!」

 逆ギレした予約少女も正論で返す。この場合の問題は、予約少女が遅刻してきたことである。

「許せない! 予約少女なんか蹴り殺してやる!」

 超能力少女の怒りの炎が点火した。

「真理亜ちゃん!」

「止めないで! アリアちゃん!」

「誰も止めないわ! だって私たちお友達でしょ。」

 さすがに二度目にもなると魔法少女も超能力少女を止めることはしなかった。

「OK! アリアちゃんと、行列に寒い中一緒に並んだお友達よ! 私にお友達パワーを頂戴!」

「アホなお客さんばっかりで、もう、食パンなんかどうでも良くなってきたわ。蹴っちゃえ! 真理亜ちゃん!」

「おお! くらえ! 予約少女! これが私のタイキックだ! 遅刻した分際で割り込もうなんて許せない! お友達の恨みを知れ!」

 超能力少女は必殺のタイキックを予約少女にぶちかます。

「ギャアアアアアアー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」

 厚かましい予約少女は時空の彼方に蹴り飛ばされて消えた。

「お友達は勝つ! アハッ!」

「やったね! 真理亜ちゃん!」

 超能力少女は勝利の余韻に浸っている。

「でも、こうなった原因って、食パン屋がお金持ちを優遇したり、遅刻した予約者を割り込ませた食パン屋さんのオヤジの失礼な態度が悪いってことだよね。」

「あれ? 食パン屋少女にした方がいいんじゃない?」

「じゃあ、失礼な食パン屋少女はオヤジの香りがするとしておきましょう。」

 スピーディーな修正が入る。

「まあ、どちらにしても消すんですけどね。私の魔法で。」

「お、怒ってる!? いつも私を止める役目のアリアちゃんが怒ってる!? 本気で怒っている!? ギャアアアアアアー!? 恐ろしい!?」

 激怒している魔法少女の姿に恐怖を感じる超能力少女。

「少しテレビで取り上げられて食パンが売れたからって、寒い中長い時間行列に並んだ私のお友達に無礼な態度をする食パン少女の態度が許せない! この私が食パンブームを終わらせてやる! タピオカブームと同じように消してやる!」

「そうか!? タピオカブームが終わったのはアリアちゃんの性だったのね!?」

 恐るべし真実。

「食べ物の恨みは怖いんだぞ! 消えろ! 食パン屋! マジック! デリート!」

 魔法少女アリアは魔法を唱えた。

「ギャアー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」

 魔法の力で食パン屋が消え去った。

「これで悲しむお友達を救えた。アハッ!」

 食パン屋を消して魔法少女は満足していた。

「ああ~食パンを食べ損ねた。クスン。」

 目当ての食パンを超能力少女は買うことが出来なかった。

「食べる?」

 千切った食パンを超能力少女に差し出す魔法少女。

「ああ~!? アリアちゃん!? 食パンを食べてる!?」

「食パン屋を消す前にお店から慰謝料としてもらったの。アハッ!」

 ちゃっかりしている魔法少女。

「おいしい! アハッ!」

「お友達と仲良く分けて食べるとおいしいね。アハッ!」

 超能力少女と魔法少女はお隣さんの最強のお友達である。

 つづく。

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