第六話:間違いは気付くまで正解
「カンパーイ♪」
女は私と柊の2人のみ、男の人は5人と言う非常にアンバランスな合コンは幕を開けた。
この偏った人望は何なんだろう・・・。
「んじゃあ〜、軽くぅ、自己紹介とかやっちゃおっかぁ〜。
ではぁ、そちらのカッコイイお兄さんからぁ〜♪」
ずっと友達だった私でも聞いた事の無いような可愛い声を発しながら、
柊は端の人にウインクした。
・・・どうしよう。こんなに努力が必要な行事だとは考えていなかった・・・。
柊のウインクを受けて、半分くらい夢見心地の顔の見た目大学生の男の人は軽く笑いも交えながらの自己紹介。
その流れでパーッと男性陣の自己紹介もラストの人に回った。
最後の人は私と同じくらいの歳に見える人だった。
その人はサラッと自己紹介を始めた。
「俺は、四羽凶也と言います♪趣味は・・・音楽です!よろしく!」
他の人とは違う余りにも短い自己紹介。
でも、私は『音楽』と言うフレーズを聞いてピンときていた。
この人だ・・・。
「私ぃ、柊って言いますぅ♪ヒイラン星から皆さんに会うために来ましたぁ〜♪キャハ★えっとぉ、特技はぁ、料理とかかなぁ〜♪
好きなものはぁ〜、皆さんみたいなカッコイイ人かなっ★」
不思議ちゃんだ!やっちゃったよこの子!ってか、柊、料理できないでしょ!お湯も沸かせないって言ってたじゃない!
私が心の中で突っ込んでいると、柊が私の腕をキュッと抓る。
「あ、わ、私は、妃藤白香って言います、趣味は、えと、歌とか・・・」
私が緊張して口篭ってしまうと、「・・・っと、よぉし!これで自己紹介は終わりでぇ、あとはぁ次、何しましょっかぁ?」と、
柊が繋いでくれた。・・・助かった・・・。
・・・・・・・・
・・・・・
・・・この先、何があったかは良く覚えていない。お酒がグルングルン私の中で駆け巡り、
気付けば私は寝てしまっていた。
寝て起きたほど時間が経ったというのにまだ声が聞こえる。
「あ、白香さん起きましたか♪」
そういえば頬に感じる涼しい風。
目を開けると凶也さんがニコッ♪私に笑いかけ、私を扇いでくれていた。
「え、あ、えぇ?!」
わぁ、何なのでしょうか、このシチュエーションは。
「あ、ごめんなさい!寒かったですか?」
「あ、その、いえ・・・ありがとう・・・。」
そういって私は凶也さんに笑いかけた。
すると凶也さんも私に笑って見せて、「さ、戻りましょう?」と言った。
「あっはっはー!!おっかえりー!お暑いお二人さんー!いやぁ、今日は真夏だねー!そこだけっ!」
そう柊が迎える。
そしてその柊は4人の男性に囲まれてお姫様状態だ。真夏を通り越して赤道直下だよね。何?この時間の間に何があったの?
「さ、白香さん、座りなよ。」
「おぉっと!そうはいかないよ!これからカラオケに移動だよっ!、さぁて、私をおぶってくれる王子様は誰かなっ?」
そこで4人が大騒ぎ。私と凶也さんはそれを笑いながら眺めていた。
その後、柊の異常なテンションによって、私は朝まで帰ることができなかった。
終始緊張しっぱなしだった私に話しかけてくれたのは、凶也さんだった。
凶也さんと私はメールアドレスを交換して、また会おうと言ってくれた。
・・・幸せ。
私は今、心から幸せを感じている。私の勘は間違っていなかった。
ピアノを弾いていたこの人が私の運命の人だったんだ。
そう、私は今確信している。
・・・後に、この確信が傷つけるものは何なのか知らずに------