異世界でも巨拳が罷り通る
第一章
異世界生活が始まる!
春一番がきて荒れている空模様に稲光が走れば、学校は女子の悲鳴で騒めき立つ。
それを五月蝿いと呟き、机に突っ伏し、授業中居眠りする男子生徒が一人
右手には衝撃に強いことで有名な腕時計を身につけ、左手には寝てないと言わんばかりにシャープペンシルがある
左利きなのだろう
教師は居眠りする彼を見向きもしない、何時ものことらしい
他の生徒も居眠りしている
皆、陸上部やバレー部などの運動部の面々だ
しかし、彼は演劇部、疲れがたまる程の部活ではない
もちろん、演劇の強豪となれば別だが、この高校は弱小演劇部しか持ち合わせていない
元来この高校は運動部が強いのだ
陸上部に関してはオリンピック選手も出している
しかし、彼はそんな面子に引けを取らない資質がある
彼の手の甲を見れば普通の生活をしていたらできない拳胼胝が出来ている
空手かボクシング…もしくはストリートファイトをながらくやっている証拠だ
彼は一際目立つモノがもう1つある、それは…
「ヤベェな…この組み合わせやばいな…なんだよ、攻めだと思ってた奴が受けって…」
軽く腐っている、その上
「そういや…最近知り合いの道場に馬鹿強い新米が来たって…今日、ちょいと遊んでやるか」
軽く喧嘩好き
「あ。もう昼じゃん、飯食べて、バスケにしに行くかぁw」
どうやら、最近のハマりはバスケらしい
彼ならダンクでも可能だろう
彼は高校生にしたら、かなり身長がある、そして体重も…
彼は…身長192cm、体重142Kg 体脂肪は10%と…人並外れた体格の持ち主だ
「つうか、さっきから、誰が説明してんだ?」
おい、止めろ、モノローグに突っ込むなよ
「これから、俺がする、俺が主役だ(`・ω・´)キリッ」
さて、変わるぜ
俺は藤井 薫
一応ただの男子高校生だ…さて…今日の飯はナンダロナ
「ぱっかぱっぱーん…」
開けてみればなんとまぁ、魔法陣が光ってるではありませんか
「あぁん?」
俺は光に呑み込まれた
そして
気づけば草原と和造りの二階建てが目の前にあるではないか
薫「ンだァ?ここは」
夢と思いたいくらい面倒だが…どうやら夢じゃあねぇらしい
風を感じ、日を浴びれば制服が温もりを持つ
そして、風に揺れる草木
その全部が俺に現実だと伝えてきやがる
薫「とりあえず…目の前の家にカチコミ行きますか…」
俺はズボンのポケットから手を出し、拳を握る
警戒心を剥き出しにし、敢えて普通に、戸を開ける
薫「誰か居るか!すまねぇが道に迷ってしまった、街までの道を教えてくれはしねぇか」
……反応無しかよ
薫「邪魔するぞー!」
靴を脱ぎ端に揃えてっと…
薫「中々風情のある家だな…しかも、作りはかなり古いな…土間があるし…囲炉裏もある。全室畳か…仏間は書院造と来た…こいつァ良い家主だな」
そして2階に一人、気配がするな…けど、ただ者じゃないな
薫「てなわけで、2回へGo!」
怪談…じゃなくて、階段を上り、2部屋ある片方に入る
薫「ここは…書斎か、日本の古伝書や中国やロシアの歴史まで…そして、見た事も聞いたことも無い国や人の名前まで…」
それから、立体星図や水盆…それに八卦盤などの占術具
それだけじゃねぇな、見たこともねぇ近接武器までありやがる
ナニモンだ、ここの家主は
薫「さて、ここの家主は誰だ」
隣の部屋に入る
「すー…すー…」
薫「おやまぁ、金髪のイケメンが家主か」
金髪の若いイケメンが布団にくるまって気持ち良さげに寝てるではないか
起こすのも気の毒だが、背には腹を変えられん、起こそうか
薫「すぅ…喝ッッッ!!!」
屋敷がビリビリと震える
「ワッ!地震!?」
お、起きたな
薫「違ぇよ、俺の声だ、金髪のあんちゃん、目ェ覚めたか?」
しゃがんで、顔を覗き込めば、ボケっとこっち見るではないか、そんなにイケメンに見つめられたら…
薫「殴りたくなるじゃねぇか」
左の口角を吊り上げ、ニタリと笑う
「ヒッ!何を!?」
おっと
薫「いや、何でもねぇ、俺は藤井 薫って言うもんだ、お前さんは?」
「一応…神様だけど」
ほぉ
薫「そうか、厨二病か、分かった神様よ、ふざけてたら、髪引っこ抜くぞ?」
「止めて!ハゲになるのは嫌だ! それにホンモノだから!!君はあれでしょ!ご飯を食べようと弁当箱を開けたら魔法陣が光ってて、光に呑まれて、気づけばここにいたんでしょ!」
その通り
「信じてもらえたかな?」
薫「あぁ、認知しようじゃねぇか、で?ここはなんだ、神さんよ」
「僕の別荘地(`・ω・´)キリッ」
いや、(`・ω・´)キリッじゃねぇよ
薫「で、俺は我が家に帰りたいんだが」
「無理だよ?君向こうじゃあ死んでることになってるから」
ほう…なるほど
薫「死因は?」
「弁当に入っていた牡蠣フライに当たって食中毒で」
死んだのか
「脱水症状に陥り、水分不足で死亡だよ」
薫「ややこしいな…で、何が原因でこうなった!」
「えと、僕が君の命の書類に珈琲ぶちまけて、ドライヤーで乾かしたら風圧で破けてこうなった」
原因もややこしいな、おい
薫「で…なんで、俺はここに居るんだ?」
「謝罪と第2の人生をプレゼントする為にさ」
ほぉ…謝罪の割には布団でくるまって気持ちよく寝てたがな
薫「で、第2の人生ってのは?」
「君を剣と魔法の世界に転生させるのさ」
なるほど?
薫「それは面白そうだが…勿論、特典もあるんだろうなぁ?」
無ければ髪を剥がす
「あるから!だから、髪を掴まないで!痛いからっ!」
おっとすまん
「君が望むもの全てを叶えるよ」
薫「つまらんな…何もリスクを負わずに得るのも…」
「え…君は僕に殺されたんだ!それで十分のリスクじゃないか!」
違うな
薫「それは、もう既に転生をさせるという時点で解消されている」
「はぁ?」
薫「だから、俺はお前と戦って、俺がお前に勝てば俺の望む通りに、もし負ければお前が俺に相応しいモノをつければいい」
「君、本当に高校生かい?」
薫「あぁ、ただの男子高校生で演劇部員さ」
さて…試合だ
薫「ルールは簡単だ、どちらかが、knockoutさせれば勝ちだ」
「了解…」
雰囲気が変わったな、こいつは手強いぞ…さて、人間の底力見してやろうか
薫「神さんよ…大山倍達っていう人間を知っているか?」
「いや、知らないな…」
薫「彼はな…こういう、言葉を残している、破壊力=握力×速さ×重さだと…」
俺は軽く力み拳を放つ
「その言葉がなんだっていう…」
そして、その拳は神の頬を掠める
「っう!マジかい…掠めただけで僕の肉を切り裂くか…幾百年振りに己の血を見たよ」
ボタボタと血が垂れ落ちる
薫「さぁ…来いよ…」
俺は拳を解いて、ポケットに手を入れ、そして脇を締め、攻撃に備える
「嘗めてるのか…神を…なら、遠慮なくっ!」
神は大ぶりに拳を振り上げ、体重を乗せ俺の胸を殴る
俺は一歩、退く
薫「まだだ、まだ力め…嘗めてんのはお前だよ、神さん」
俺はまた力む、拳をさっきよりも力強く握る
今度は顔面に放つ
「わかりやすいとこ狙ってきて、止められないとでも?」
薫「阿呆が」
神が拳を片手受け止めようとするが拳はその手ごと顔面を貫き、神を吹き飛ばす
「なっ!」
吹き飛んだ神は地面に叩きつけられ、何度か跳ね返る
薫「生身じゃあそんなもんか、神さんよ、どれだけ万能でも身体が軽けりゃあ意味がねぇ…足が地から離れちまう…それにお前さん、神の力つうの使ってねぇだろ」
「く…なんでわかったんだい…」
薫「使ってたら、俺の拳が通じるわけがねぇからな」
「それでも、僕は身体強化の魔法と属性強化を使ってたんだけどな…君も本気じゃないだろう?」
薫「本気出したら制服が破けちまうだろ」
「はは…君はまるで人じゃない…化け物だ」
薫「良く言われるよ、さて、俺の勝ちだ、望むものをくれんだろうなぁ?」
「勿論!タダでね!」
ん?タダか…なら
薫「貰えるもんは貰わねぇとなぁ…じゃあ…お前さんと同じ能力をくれ」
「君を神にか…しかも僕と同等の」
薫「お前さんはきっと高位の神さん、世界を統べる神さんか…もっと言えば、それを統べる頂点に居る神さんか」
まぁ…後者だろうな
「後者の方さ、最高神や創造神と呼ばれてるよ」
じゃあ、あれだな
薫「ソウちゃんだな(・ω・ )」
「ソウちゃん…ってなに」
薫「あんたの呼び方さ、神さんだとなんだか他人行儀だからな」
ソウ「…君はおかしな人間だな…神相手に戦いを挑み、それに勝ち、そして、あだ名をつける、変わった人間だ」
よく言われる(・ω・ )
薫「さて、出来るのか、この願いは」
ソウ「ああ!勿論さ!」
薫「よし!」
ソウ「それとはなんだけどさ…僕と友人になってくれないかな?」
薫「ん?いいぞ?この俺で良ければな」
ソウ「勿論さ!」
薫「なら、薫と呼んでくれ」
ソウ「カオルくんか、分かったよ、それじゃ…良き人生を」
え?もうさずけたの?速いな
薫「おう、また来るぜ、ソウちゃん」
ソウ「分かったよ」
足元が光り、どこぞの空が映る
そして、俺は墜ちる
ソウ「君が行く世界の名はアルディオス、剣と魔法の世界だ、君の好きそうな強者も居るよ」
いや、普通に転生させてよ
薫「ぬぅぅぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
おちぃぃぃるぅぅぅぅっ!
長いな…
この間に自分のプロフィール整理しとくか
俺は藤井 薫、17歳の高校二年生だ 3月の初めに三年生の門出を見送った矢先、神様ことソウちゃんの手違いで死に、転生することになる
俺は小さい頃から武道に励み、そして中一の時親父が亡くなり、母と子2人で生きてきた
というのも、ウチは江戸から続くヤクザで親父はとある春の日…そう俺が死んだ時期と同じ時期に抗争で死んだ
お袋は止めたが、親父はお袋を殴り払い、しかしお袋も食い下がった
俺は親父の腕を掴み、制止した
始めは力を抜いていたが親父が…
「どうした、ガキの分際で親に手加減するのか!本気でやらんかっ!」
と…一喝され、期待をされた
俺は期待に答えるように親父の腕を力強く握った
すると腕に血管が浮き出て、筋肉が膨らみ上がり、末には破裂した
まるで、どこぞの喧嘩師の業のようにな
親父は死に、俺が頭に
だが…俺はヤクザもんになるつもりは無かった
薫「お前ら、今日から20歳以下は学校にいけ、高校の卒業資格もない奴らもだ」
組のもんに知識を蓄え、組の金で貿易商を始め、傍らで介護施設を作ったりしたもんだ
そして、俺は演劇部に入って、演者や大工をして楽しんでたのさ
ちなみに武道は空手、合気道、宮本武蔵が生み出した二天一流などをしていた
あと、趣味で馬(・ω・ )
お、地上が見えてきた…なんか浮く術ねぇかな…
なんか頭に文字列が…
薫「風術『風翊』」
お、旋風が身体を纏ったぞ(・ω・ )
薫「ゆっくーり、ゆっくり。着地(・ω・ )」
そして、森の中まぁ…良くあることだな
さて、歩くぞー
あ、所持品なんかあったか?
制服の内ポケットを探る
薫「財布とスマホに絆創膏と指貫」
とりあえず…財布の中身の札は使えねぇなぁ
スマホは…神様への連絡ツールだな
えと…どうやら、念話とやらが使えるらしい
それを魔法陣で組んでみる
薫「さすが、神の力、思ったものは目の前に出るんだな…えと、もうちょい縮小して、スマホの裏に付ける、それから、充電がなくならないように常に電力を補充できるようにUSB端子に雷の魔法陣を組めば…完璧と」
ネットが使えんのは辛いがまぁ良いか
それから、データを初期化して、OSも消す
この世界にはないものだ
そして、新しくOSを作る
これを取り込まれたSimカードを創る
そして入れ換える
出来た!
え?省き過ぎ?OS作るの1年はかかるって?
気にするな、これは小説だ
OSの名前は…
薫「KーMagicだな」
安否な名前だが、まぁ、いいか……さてと…上着を脱いで、ズボンとワイシャツだけになってと
ちなみに今の格好は学校の制服と指定の上靴である
薫「靴くらいは造れんだろ」
蛇革の革靴を作る
薫「やっぱこれだわ」
あっるこー、歩こー、私は元気ー♪ってな
さてと、街に行きますか
薫「こっちかな」
近くに人の気配がする
薫「よっと…走るか」
俺は走って、現れるでかいトカゲみたいのは殴り飛ばし、気づけば、デカい城壁みたいなモノの門の前に出ていた。
人がいる…門番かなんかか?
薫「あの鎧…西洋甲冑みたいだが…重鎧じゃない。歩兵か?」
俺実は世界史好き、特に100年戦争とか、ま、そんなことはいい、話しかけてみよう
とりあえず、近付いてみるか…
門「おい、そこの奴!出て来い!」
あ、イケね、気配消してなかったわ!
薫「あぁ…済まない、道に迷ってしまってな、隠れるつもりは無かった」
嘘を吐きながら、素直に茂みから出る
門「何者だ!」
薫「旅のものだよ」
門「の割には荷物が少ないが?」
薫「あぁそれなら、このポーチの中さ」
即座に手を回しポーチを作り、空間の魔法陣を付ける
薫「ほら、服やらランタンやら」
全部今作っている
門「しかし、見ぬ服だな、しかも髪も黒く…デカイな」
薫「かなり、遠い国から来ているからな」
門「となると、東の国か」
薫「それより遠いとこさ、さて入れてくれ」
門「良かろう、貴様、ギルドカードは?」
薫「いや無いよ」
門「それでは、無国籍になるぞ?」
薫「いいのさ、ここに永住するから」
門「なら…名前だけ教えてくれ」
名か、なら
薫「俺は…カオル・ロウガン」
薫、老眼…まぁいいか
門「さぁ、ようこそ、王国アートティアの王都アティアへ」
門番…凄く手馴れてるな
名を聴いておこうかな
薫「なぁ、門番よ、名はなんだ」
門「私のか?物好きな奴だな…私の名は、リィルディアだ、姓は捨てた」
リィルディアか…
薫「よき名だ、今度差し入れでも持って来よう、リィルディア」
門「楽しみにしてるよ、カオル」
さて、ギルド…ギルドっと
薫が門を潜り、ギルドを探してるその姿を後ろから見ている人物が1人、門番だ
リィル「カオルか…良い奴だな、ヘルメットがあって良かった」
リィルディアは兜をとる。その下からは綺麗な黄金色の髪を待つ碧の瞳の女性が現れた
リィル「また会えたらいいな、カオル」
少し顔を赤く染め、リィルディアはいう
薫の異世界の人生は始まったばかり…
第二章『ギルド』
ギルドは何処だ…ギルド、ギルド
お、あった!
薫「名前が…黒揚羽…和名だな、行こう」
中に入れば…酒場が繁盛していなかった
薫「誰かいるかー?おーい」
む、人の気配が二つ、女か…一人は手練、もう一人は素人か
「どなたかしら…ケホッ…」
咳をこみながら、奥から一人の肌白い女がこちらを伺う、病弱に見えるが手練だな…
敵意を見せたら厄介な相手かもしれん
薫「俺はカオル=ロウガン、ここでギルド登録をしたい」
「ケホッ…またなんで…」
薫「おや、ここはギルドじゃないのか?」
「いえ…そんなことはないですが…」
薫「なら、しようか、な?」
「じゃあ、ここにサインを…」
しかし、さっきから、咳が酷いな…
そうだ…
薫「お前さん…病を持っているのか?」
俺は記述をしながら、問う
「えぇ…まぁ…治せないと言われてます…」
それは無いな…神の記憶じゃあ、治せぬ病は今のところはないはずだ。この人、騙されたか、高額請求されて諦めたか、どっちかだな
薫「どれ」
俺は女の額に手を当て、魔法のひとつを使ってみる
探査魔法だ、本来ならば、落し物などを探すために使うのだが、神の魔法とならば別格らしい
病原などすぐ見つから
「どうか…なされて…んっ!?…んっ…つ!」
どうやら、くすぐったいらしい
なるほど…地球でいう、気管支喘息か…発作で、呼吸困難で死ぬこともある…だが、こいつはそこまで重度じゃない
すぐ治る
「あの…なにか…」
薫「いや、お前の病を治しただけさ、さ、サインしたぞ?」
「そんなアホな…」
ところで…
薫「お前さん、名は?」
「は!…私はここのマスター…アニー=ネイテアです…」
薫「アニーか…これから宜しくな」
しかし、門の出入りがあるはずなのに、ギルドに活気がない。あってもいいくらいだ。ギルドの状態はさほど悪くない。何ならきれいに保たれて居る。酒も食料も万全だ。しかも棚には見た感じ、埃などもなく、衛生的だ
薫「なぁ、アニー、一つ聞いてもいいか?」
アニ「はい?」
薫「なぜ、冒険者がいない?いや少ないと言うべきか」
アニ「いや…居るのは居るんですが…少々問題児が…」
ほぅ、それは…
どんな奴かと模索しようとした時である、背後から、甲高い声が聴こえた
「私と勝負しろぉっ!」