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課題図書<エロ本

作者:三津凛
課題図書になっている本を、私は面白いと思ったことがあまりない。
そのことを思い出してみると、それはどうしてだろうと不思議な気がする。内容的にはいいものだろうし、決してつまらないものでもないだろうに。
考えてみたのだが、大人の「良いと思うもの」と、子供にとっての「面白いもの」とは微妙に違う。
それで冒頭のタイトルなのだが、低俗な例えをしてしまえば、毛並みの良い「課題図書」よりも大人が「見るな!」と隠す「エロ本」なんかの方がその後の記憶に強く残っていたりして、面白い。
往往にして、こういうことはよくある。一見低俗で、無駄に思えるもの…その「思える」主体とは大人の価値観で裁断されているものに過ぎないと思うのだが、そこに結構面白いものが眠っている。
私の場合も先述したような課題図書よりも、「どうしてそんなもの読むの?」と言われるような本の方が断然面白かったし、記憶に残っている。

エロ本、という例えはちょっと下品だがそれに代表されるような「俗悪なもの」も、人の成長には必要だと私は思っている。
そして、そういうものをあえて「許す」ようなある種の「余裕や、寛大さ」というのは今の時代こそ必要なものではないかと思う。
そして、その余裕や寛大さがどこから生まれてくるかと考えてみると、それは「教養」なのではないかと感じる。これは大人の側にこそ必要なもので、知識を持つ大人は多いけれど、この「教養」というものを持つ大人はそう多くはない。

今の時代、教養というのは所詮「余分で贅沢なもの」でしかない。
合理的な人間であれば、カネやモノを生み出さないものは一思いに裁断してしまう対象の筆頭かもしれない。
私は知的なものを「役に立つか、立たないか」という視点で捉えるのが何よりも嫌いだから、「教養」に巣食うこの余分や無駄さというものにそこまで嫌悪はない。
人類の歴史を振り返れば、この余分で無駄なものから実に多くのことが生み出されて来た。
「人とは何であるか」を今ほど問われている時代はないのに、合理性やコストパフォーマンスのみに焦点があたりそれを基調として人を育ることが想定されていることに、私は哀しさを感じる。
人というのはそれほど合理的な存在ではない。…だから、人は合理的であろうとするのだろうけれど。
私は「教養」の中にあるような「カネにならない抽象性」や「余分さ」が好きだ。それは翻って「エロ本」に代表されるような、大人が顔をしかめるもの、俗悪なものに対する「優しい視線」に変換される。
何も、ちびっ子に「エロ本読め!課題図書読むな!」と言うつもりはない。だが、遮二無二合理性やコストパフォーマンスのみを見つめて突進していく/いかせるような教育や社会の雰囲気というのも、エロ本と同じくらい俗悪であると私は思う。
そこに人間の顔というのは、あるようでない。
教育の原語がギリシャ語で「暇」であったように、本当の意味での学びや発見というのは「余剰」から生まれる。
その無駄さや贅沢さを削りに削っていく大人や社会というのは、果たして私たちを幸せにしていくのか私は大きな疑問を抱いている。
だから、私はあえてカネやモノにならない無駄なもの、贅沢なものについて関心を向けようとするのだ。
主体的に考える人間がどこでも求められてくるが、そこで使う知的体力の源泉は一見無駄で贅沢なものから作られる。
学際的、と私は考えているが様々な知識から教養の基盤を作り、考えるというプロセスは合理性とは対極にあると思う。遠回りをするからこそ、得るものがあるし、そこで得たものがより深くなることについてもう少し理解が広まれば良いと個人的には思っている。

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