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逆襲




 

 「ギェェェ」


 アームドスパイダーが燃え盛る。

 俺の口からは赤い炎がボワッと放射されてる。


 蜘蛛の糞野郎は散々苦しんで液状の何かになった。

 

 

 「ギチチ」


 一匹の蜘蛛が分が悪いと見るや逃げ出す。


 だが、逃がさん。



 軽くバウンドしただけで俺は一目散に逃げだそうとする蜘蛛に追いつく。


 もはや、蜘蛛など鈍い昆虫でしかない。


 

 苦し紛れに襲い掛かってくる蜘蛛に、俺は体当たりを一撃食らわせて沈黙させる。

 辺りは静かになった。


 全く、ちょろいぜ。

 ついこないだまであれだけヒーヒー言って相手してた蜘蛛達がいまや餌でしかない。


 自分の強みを再認識する。

 食えば食う程成長する。それが俺だ。

 この世界に生じてから気がついてはいたが、その強みを明確に認識し、利用する事の重要性を思い知った。


 これからは勝てない敵が現れても絶望する必要は無い。

 時間さえ稼げれば俺はどんな敵にも通用するだけの実力を身に着けることが可能なのだ。

 

 

 ……まぁ、俺がどこまで成長できるかどうかって点には疑問があるけどな。

 自分のポテンシャルなんて誰にも分からない。

 もしかしたら、もうすぐにでも成長が止まるのかもしれない。

 逆に、無限に成長する可能性だってある。


 なんせ俺は別の種族に変化する異常な生物だ。

 何が起きても不思議ではない。


 ま、無限に成長すると考えておく方が気が楽だ。

 後ろ向きな事を考えても仕方が無い。


 成長できなくなれば、その時はその時だ。



 あの蜘蛛に背中を焼かれた後、俺はなるべく蜘蛛から隠れ己の成長に心血を注いだ。

 植物を食し、小動物を食し、Gを大量に摂取した。



 そして、今や立場は完全に逆転した。


 既にタイマンならどの蜘蛛相手でも全く問題にならない。

 外をパトロールしている蜘蛛達も、奇襲をかければ殲滅できるだけの実力を俺は身に着けていた。



 

 

 「ッシャアァァァ!」

 「グシャアア」


 っと、考え事していたら不意を突かれた。

 蜘蛛が二体同時に襲い掛かってくる!


 ブシュッ


 片方の蜘蛛が俺に糸を吐き、グルグル巻きにする。

 もう一方は複数の手に持った剣やハンマーを振りかぶり襲い掛かってくる。

 

 恐らくコンビネーションのつもりなのだろう。

 片方が相手を拘束し、片方が攻撃する。


 単純だが強力だ。

 蜘蛛の糸はちょっとやそっとじゃ切れない。

 以前の俺ならこれで仕留められていただろう。



 だが


 

 んんん!

 思いきり力み、体を萎ませる。

 俺は超強力に圧縮されたゴムのようになって硬質化し蜘蛛の斬撃や殴打を防御した。


 「キシャアア!?」


 剣は折れ、ハンマーは俺を潰すどころか逆にヒビが入る。

 蜘蛛が使う物だ、どうせ粗悪な品質なのだろうが敵にクリーンヒットさせておいて逆に壊されるという事態に蜘蛛は驚いたようだった。




 反撃。

 俺の無慈悲な反撃が始まる。



 圧縮からの解放。

 ゴム毬のように小さくなった状態から一気に広げた風呂敷のようになり、武器を持った蜘蛛に覆いかぶさる。


 「ギシィィィ!」


 蜘蛛は悲鳴を上げる。

 当然だ、体全体が酸で溶かされているのだから。

 

 俺は大量の酸を自分の体に広げてから蜘蛛に覆いかぶさったのだ。


 「ギエェエェェェ……」


 ジュワジュワと蜘蛛の体が一気に溶けていく。

 俺は全てを包み込み、溶かして栄養に変えていった。






 「ギチチチ」


 自分の巻いた渾身の蜘蛛糸があっさり酸で溶かされ無意味となった事を理解したもう一方の蜘蛛。

 仲間の敵を討つべく真っすぐに突進してくるが、その結果は火を見るより明らかなのであった。

 

 

---数分後



 「……」


 頭部だけになった蜘蛛の目が天を仰ぐ。

 既に生命の火が消えたその目には俺がどう映っていたのだろう。


 

 



 俺は蜘蛛の一個小隊を全滅させ、吸収した。



 『レベルが1アップしました』



 既に少数なら同時に相手をしても問題ないレベルまで達した。

 レベルを上げ過ぎて、今では蜘蛛を複数捕食しなければレベルが上がらないぐらいまでになった。



 

 『貴方のレベルは255です』


 ヒットポイント 258

 パワー 136

 ドッジ 148

 ラッキー 58

 ハイディングポイント 普通


 保有アクティブスキル

 『火炎放射』


 既に奴らのステータスを完全に追い抜いている。

 数週間前とは天と地ほどの差がある。


 うーん。

 俺の成長速度って凄いな。

 本当にすぐに奴らを追い抜いてしまった。

 これは俺の大きな強味、アドバンテージだ。


 最初は勝てなくても、何時かは追い抜ける。


 



 そろそろ、反撃に移ろうか。

 俺はもう十分に成長した。

 


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