63.キャラバン-2
そして翌日。
進路に小規模な魔物の群れがあったってことで、傭兵団から四人が先行。
一応僕もこっそり飛んで様子を見てたけど、あっという間に掃討は終わった。
レベル差ってのもあったんだろうけど、綺麗に連携を取って戦ってたな。
熟練って感じで恰好良かった。
『ところでさ、人化状態で知り合った人っぽいのがいるから話してきて良い?』
「じじ人化?」
「ああ、昨日の話ってそういうことだったんですねー。でもいきなり現れたら怪しいですよ?」
『そこはちょっと考えがあって――』
「――まあ、説明にはなってます……かね? それはそれで怪しい気もしますが、いきなり出現よりはマシでしょう」
『じゃあ行ってくる』
僕は一度飛び立ってキャラバンを離れる。
うーん……大体コレくらいで良いかな?
人化した僕は、手元に生み出した炎を地面に叩きつける。
爆発の反動で僕の身体は勢いよく吹っ飛んだ。
ちょっと風で軌道を調整して……よし、狙い通りキャラバンのちょっと先に着弾。
更に風を利用し、胡坐をかいて宙に浮いた状態で馬車に併走する。
案の定すぐ傭兵団の人に誰何された。
「お前、何者だ!」
「冒険者のケイです」
「なんだ、そうか。ところで今、空から降ってこなかったか?」
「一気に距離を稼げないかなーと思って地面に魔法を撃った反動で飛んできたんですけど……思いっきり斜めに逸れちゃいました」
「はは、面白いこと考えるんだな」
安定のギルド証で信用してもらい、遭遇も偶然で済ませる。
その後も色々と話をした結果、目的地まで同行する方向に話を持っていくことに成功。
中継の街で他の冒険者たちに引き継ぐときに僕も交ざる感じになった。
こうして姿を見せたぶん今度はニワトリとしての行動が難しくなったけど、まあ深刻なことにはならないだろう。
「はい、休憩とりまーす」
「「「りょうかーい」」」
今回はリーザがどうにかエルザの暴走を抑えてくれた。
まあ念話で協力しつつ、嫌な予感と一緒に飛来した鳥を先んじて追い払ったりエルザがいじってた見慣れない道具を没収してもらったりした程度だけど。
なんか些細な予兆にも反応できるようになってきてる自分が切ない。
でもエルザのあれはハプニング系も多いからなー……なに、引き寄せてるの?
どうにか昼の諸々も無事に終わって休憩時間。
セルジュさんが引っ込んだ馬車に向かう。
「あのー、セルジュさん?」
「あ……ケイさん、ですか?」
「奇遇ですね、というか……どうしたんですか? 北部とか荒れそうって聞きますけど」
「ケイさんがリティオを離れた少し後、色々ありまして……」
声を掛けると、顔を出したのはやっぱりセルジュさんだった。
ただでさえ魔王に近いのに加え、大陸有数の軍事大国ベズルイックの一軍が壊滅したっていう北部。
危険な上に治安を維持する力も衰えてるってこともあって、脱出する人も多いらしい。
戦う力は無いって前に言ってたけど、それなら尚更分からないし心配だ。
尋ねると物憂げに目を伏せる。
「話しにくいことなら、無理にとは言いませんけど」
「……少し長くなりますが、宜しければ聞いて頂けますか?」
「それはもちろん」
「ではずっと立たせている訳にもいきませんから、馬車の中へどうぞ。幸いスペースにも多少の余裕はありますし」
「じゃあ失礼して……」
馬車の中は、幌が光を通しているおかげで結構明るい。
髪が引っかからないように注意しつつ入った僕は二つクッションを取り出し、片方セルジュさんに勧めて自分も座る。
昼食の時のを取っておいた缶入りの紅茶二つと自前のお菓子を出して準備完了。
それにしても積荷を見れば武器とか鎧が多いな……物騒な話だ。
っと、それより今はセルジュさんだった。




