5.空~移動中~
『……ど、どうかな?』
『うむ、上出来だ』
ベルザークの住む洞穴まで飛ぶ最中、僕は念話を教わっていた。
口調が砕けているのは本人に命じられたからだ。
正直どう話して良いか分からないので、割とブレまくっている。
『ではお前に……む、お前もう名前を持っているな?』
『あ、はい。ラウネンって言いま……言うんだ?』
『無理に敬語を避ける必要も無い。そんな名前とは別の真名があるだろう』
真名とか厨二っぽいこと言われても……と思いつつも、何のことを言われているのかを察する。
『小鳥遊啓太です。元は異世界の人間だったので』
『タカナシケイタ、か。……ああ、他人に真名を知られると命に関わるぞ?』
『そんなことだろうと思ったけど』
『なんだ、つまらん』
割と衝撃的な出自を軽くスルーした奴のセリフじゃない。
いや、それとも転生者ってこの世界じゃ多いのか?
『我の知る限りではお前だけだ』
そこは律儀に答えてくれるのな。
『じゃあ折角だしな。お前は今日からケイだ』
そんなポケ○ンじゃないんだから……
名前:ケイ
種族:ブラックファイアチキン
Lv:37
名前変わったぁ!?
ってか真名が消えてるんだけど!
『隠蔽しただけだ阿呆』
『は、はぁ……』
他人のステータスも余裕でいじる辺り、つくづくこの黒龍は規格外なんだと思わされる。
『そう褒めるな。いくら世界最高峰の黒龍の能力の一端に触れたからといって』
いや、自慢する気満々じゃねぇか!