21.黒龍の洞窟-7
「~~♪」
……えっと。
僕の前では、ご満悦の猫がころころ転がっている。
刺身。ステーキ。サラダ。あと牛乳。
まあ、これだけ用意すればどれか食べられるものがあるだろうと思ったんだけど……。
全部平らげられるなんて予想外だよ!
野菜は嫌がるかと思ったら、そんなことはなかった。
というか身体の大きさに対して食べ過ぎだと思う。
「ーー~~、zzZ……」
たらふく食べて満足したのか、猫はポケットに戻って眠ってしまった。
いつまでも猫呼ばわりはアレかな。
そもそもベルの反応からすると猫じゃないっぽいし。
名前があるならいずれ訊きたいけど、そうじゃなかったらどんな名前にしようかな……。
そんなことを考えながら、サーシャの作ったご飯を食べた。
僕だって作りたかったけど、腕が及ばないから仕方ない。今は我慢だ。
「…………」
「ん、どうしたの?」
「……なに、それ」
「猫みたいに見えるけど、違うっぽいよ? あとでベルに聞くつもり」
「……そう」
頷くサーシャはどこか素っ気ない。
ポケットに向ける視線もどこかジト目っぽかった。
「サーシャって猫は苦手?」
「……分からない。けど、なんかソレは……」
「そっかー」
黒と白とか、犬(狐)と猫とか、相性みたいなものかもしれない。
これで猫の方もサーシャを苦手だったら何かと大変そうだな。
なんとなく、大事にはならない気がするけど。
「……ふぅ。まあこんなものか」
「わぁい、身体が軽いですー!」
「ああ、終わっ……た、の……?」
言葉の途中だけど、姿を見せた二人に僕は固まった。
いや、ベルはいつも通りなんだけど。
大きな原因は、その隣でぴょこぴょこと飛び跳ねているナナだ。
もう身体を覆う包帯は半分以上が解け、残っているのは胸とお腹、左上腕くらいだ。
もちろん固まったのは十八禁的な意味じゃない。
その辺の呪いは解けたのか分からないけど、包帯がスカート状になっている。
ただ、なんか露出してる腕とか脚とか跳ねる様子とかが視線を惹きつけて止まないというか……。
なんだろう、こう……素直に可愛いと思った。
要約すると、僕の反応は下心とか疚しい考えとか、そういう話じゃない! 多分! ってことだ。




