第1話
バトルスーツなどというSF的なものを登場させておいて、島内の移動が馬ではさびしいので、ホバーカーなるものに書き換えました。
その他、多少レイアウト的なものを触っております。
第1話
はるか悠久の昔。現存している大陸では、まだ人間社会と言えるほどの文明が発達していなかったころ、大洋の真っただ中に文明の進んだ大きな島があった。
かつては一つの連邦王国に統治された、平和な国であったのだが、やがて不慮の分裂騒動が勃発し、旧王家に敵対して独立して新国家を構えるもの、その動きには連動せずに中立を保つものの4つの国家に分断されてしまっていた。
旧王家は共同統治と称して、王の従弟や弟と土地を分かち合い、表面上は一つの国でも連邦制の分割統治を続けてきていたのだが、それが仇となり弟の軍事クーデターにより、旧王家の大半の土地は弟に奪われ、今では4つの国の中で最小の国となり下がってしまっていた。
王の従弟2人は1/4ずつの土地を管理していたのだが、弟のクーデターに合わせて独立国家を宣言した。
但しそれは、たわいもない兄弟げんかの為に、自国民を危険にさらすことを避けるための中立宣言であった。
2国合わせて元の王国全体の半分の領地であり、強力な軍備も誇っていたために、旧国王の弟も完全に旧王家を滅ぼすことは出来ずに、志半ばで講和条約を結ばざるを得なくなってしまった。
かくして、島中を巻き込んだ戦火は終息を果たし、表面上は平和が訪れたかに見えた。
しかし、新国家であるマーカー国は、旧王国であるペンシル王国に対して、局地戦ともいえる小さな戦闘を起こしては、少しずつ領地を侵食し続けていた。そうして、ペンシル王国の要ともいえる穀倉地帯の大部分がマーカー国に帰属してしまう事態に、ペンシル王国は揺れに揺れていた。
「姫様、レイラ姫様?どこにいらっしゃいます?」
昼日中と言うのに日も射し込まず薄暗い城の中を、お付きの侍従が叫びながら歩き回っている。
どうやらこの国の王女を捜し歩いているようだ。
ここは、ペンシル城。と言っても、本来の王宮は国王の弟のクーデターにより奪われてしまい、ここはかつての保養所を兼ねた第2首都であった場所の、小さな古城である。
低めの山ともいえる小高い丘の頂に作られた城は、避暑を目的として建造されたため、周りを巨木の森に覆われ強烈な日光を遮蔽していて、真夏でも涼しい環境を与えていた。
城へ通じる道は細い歩道が1本あるだけであり、天然の要害としてクーデター時の王室の避難場所として利用され、そのまま王宮として継続利用されているのである。
「姫様、こちらでございましたか。本日はジェノバ王子とのご会食のお約束でしたでしょ。
お早目にお支度くださいますようお願い申し上げていましたのに、未だにそのようなお姿でしょうか?」
鉱物油に太く編んだ麻の糸を浸し、火を灯している行燈を手にした侍従が、ようやく目的を果たして安堵の吐息を漏らす。ここは、古城の地下闘技場で、彼女はお付きのもの相手に剣術の稽古をしている様子だ。鍛造された分厚い道着と小手を備えた、いわゆる甲冑をまとった姫様である。手には両刃の大きな剣を携えている。
「あ、ああそうか、本日であったか。」
彼女は稽古の手を止め、侍従の方を振り向いた。
「既にジェノバ王子はお迎えにいらしていますよ。すぐにシャワーを浴びて、お着替えくださいまし。」
侍従は女中に持たせていたドレスを受け取り、姫の目の前に差し出した。
「ジェノバ王子が、わざわざお届け下さったものです。上質のサテンで出来たドレスの様です。サイズも姫様にピッタリかと存じ上げます。」
それは限りなく薄く、向こうが透けて見えそうな極上の布地で作られた、真っ赤なドレスであった。
「ふん、シャワーは浴びるが、ドレスなどはいらん。このままの格好で行く。
大体、休戦中とはいえ仮にも謀反を働いた敵国の王子との会食だぞ。
中立国である大叔父の国のレストランでの食事とはいえ、そのようなヒラヒラのドレスでは、いざという時に戦えないではないか。」
止めどなく滴り落ちる汗を拭おうともせず、彼女はドレスを一目見るなり、鼻で笑った。
「で、でも・・・。折角お届け頂いたものですし、最高級のドレスでございましょう?」
侍従は未練深そうに姫の顔を見上げた。
「もったいないのであれば、その生地を仕立て直してアスカ王子の正装時のシャツにでもするとよい。良いものが出来るであろう。
大体、どうして敵国の王子が私の体のサイズを知っておるのじゃ?おかしいではないか。」
姫はドレスに手を触れることもなく、後ろを向いて部屋へ戻ろうと歩き出した。
「お、お待ちください。ジェノバ王子にはいかにしてとりついでおきましょうか?」
「ふん、客間で待たせておけ。すぐに来ると言っておけばいい。」
姫は早足で歩きだした。
「そ、それから・・・新しいお付きを召し抱えました。お目通しをお願いいたします。
本日の会食もご同行させる予定です。」
侍従は女中の影から若い男を呼び寄せ、姫に紹介した。
どう見ても20代前半の青年であり、若い姫のお付きと言うよりも話し相手やご学友ともいえるような年頃であろう。
「これはこれは、レイラ姫様。見目麗しゅう。私はピエールと申します。マジック国の出身です。
本日より、姫様のお付きとして姫様の身の安全を守る警護を担当させていただきます。
よろしくお願いいたします。」
そういうと、背の高い痩せぎすの男は左ひざを立て、右ひざは地面に押し当てて、深々とお辞儀をして見せた。
鋭い目つきではあるが、幼くも映る童顔であり、その容姿だけでは威圧感は感じられなかった。
「かたっくるしいあいさつなどは良い。
それよりも、本当にピエールと言うのか。それは奇遇だ。5代目ピエールだな。」
レイラ姫は目の前に跪く青年に立ち上がるよう目で指示した後で、しげしげとその顔を見つめた。
「は・・・はい。ピエールと申します。前のお付きの方もピエールというお方でしたか?」
「そうじゃ、お前で5人目となる。」
レイラ姫がにっこりと微笑む。
大きく澄んだ瞳は長くカールしたまつ毛に彩られ、吸い込まれそうなくらいの深い湖を感じさせた。
すっきりとした鼻筋に加え、形の良い唇はそこから発せられるどの言葉も、甘い蜜の香りがすると感じずにはいられないほどだ。そう、その言葉がしとやかな女性を感じさせる言葉でさえあれば。
クーデターにより王宮を追われ、この地へ逃れてきてからは、毎日武術の稽古に明け暮れる日々であり、いずれは敵国へと打って出るよう、軍勢を指揮するつもりでいるようだ。
その為、この地へ来てからは男と見まがうような言葉しか口にすることはなくなっていた。
「5・・・5人目ですか。しかも全てピエールという方ですか。それは奇遇ですね。」
ピエールは、恐ろしいほどの偶然に対して、運命のようなものを感じてさえいた。
「違うのよ、今までのお付きはサミュエル・トーマス・チャールズなどで、ピエールと言う人は居ないわ。
ところが姫様はお付きの人間に対してピエールとしか呼ばないから、仕方なく呼び名がピエールになってしまうのよ。最早、お付き=(イコール)ピエールと言う図式が成り立っている訳。
あたしたちにはその理由は判らないけどね。」
女中は我儘姫の行動をあきらめた様に、深くため息を付いた。
「それで、今度は本当にピエールと言う名の僕を雇ったという訳ですか?どうりで越境なのに雇って頂けたわけだ。」
ピエールは少々がっかりしたような口ぶりであった。自分の実力の評価ではないことが不満そうであった。
「いえ、あなたを雇った理由は中立国であるマジック国王族の一員であることも要因ではあるけれど、本当に優秀であったからと聞いているわ。名前は関係ないらしいわよ。」
(それにしても、とんだじゃじゃ馬娘のようだな。
ペンシル国の姫君と言えば、連邦一の美貌と教養を兼ね備えた、才色兼備の姫君とのふれこみであったが、どうやら王族に対しての過大評価であったようだ。)
侍従の言葉で少しは彼のプライドも保たれたようであるが、じゃじゃ馬娘のお付きと言う、これからの生活を考えると、頭が痛くなってきたようだ。
「うん?どうしたのじゃ?お前も一緒に行くのであろう?早よついてまいれ。」
数歩先を歩き出していたレイラ姫が、いつまでも来ないピエールに業を煮やしていた。
「それはそうと、お付きとはいえ新参者に早速同行させるという事は、よほど信頼されているのじゃな。
マジック国出身という事だが、大叔父の一族のものか?」
部屋へと戻ったレイラ姫は、部屋に隣接している浴室でシャワーを浴びながら扉越しにピエールに尋ねた。
「は、はい。関係者ではあります。」
ピエールは、はっきりとは答えなかった。
「そうか、まあ答えたくなければそれでも良い。無理に聞き出す必要もないのでな。
大体、お付きの警護などは不要なのじゃ。私は自分の身だけであれば自分で守れる。
しかし、どうしても一人だけでは外出を許してはくれないので、仕方がないのでお付き一人だけの帯同を許しているのじゃ。危険な場面に出くわすようなこともあるやもしれんが、自分の身だけは自分で守れよ。」
シャワーの音が止み、扉の隙間からレイラ姫の右手が出てきて、壁をまさぐっている。
ピエールはなるべく彼女の方を見ないようにしながら、その手にバスタオルを持たせた。
なにせ、うら若き乙女であり、その容姿だけを見れば絶世の美女なのだ。
ピエールは自分の欲望を必死で堪えながら、視線をそらせていた。
すると、浴室からバスタオルを体に巻いただけのレイラ姫が出てきたのだ。ピエールは慌てて彼女の方を見ないで済むように、体を反転させて後ろを向いた。
一瞬だけではあったが、タオルを巻いているとはいえ、その豊かな体の曲線は抜群のスタイルの良さを感じさせるに十分であった。
「ほう、随分と紳士的だな。今までのピエールは見ないふりをしながらも、横目で私の着替えを盗み見ていたというのに、今度のピエールは完全に目をつぶっている。
ふーむ、それだけ私に魅力がないという事か・・・。」
ピエールの背中越しに衣擦れの音がして、彼女が後ろで着替えていることは明白であった。
「い・・いえ。目を開けていると、どうしても無意識のうちに姫様のお姿を追ってしまいそうです。
そのような失礼なことが無いように、しっかりと両目をつぶってお着替えが終わるのを待っております。
決して姫様に魅力を感じないわけではなく・・・むしろその逆なくらいで・・・。
いや、でも・・・お着替えの最中にチャンスとばかり姫様に襲い掛かろうなんて大それたことは、考えてもおりません。」
ピエールが口ごもりながら、たどたどしく言い訳をしていると、後ろから含み笑いをしながら声がしてきた。
「まあ、このように侍従たちが居るなかで、私の着替え中に襲い掛かる奴がいるとは思ってはおらん。
それよりも支度は終わったぞ。出かけるが準備はいいか?」
ピエールが振り返ると、そこには既に侍従たちが控えていて、着替えが終わったレイラ姫が佇んでいた。
侍従たちは、はしたない妄想にふけりそれを口に出してはばからない男を蔑むような目つきで眺めている。
ピエールは、自分より5歳は若いであろう成人前の少女のいたずら心を、軽く躱すことも出来ない幼稚な自分を恥じて、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。しかも、よく見ると彼女の恰好は先ほどと同じく、甲冑に身を包んでいるのだ。
「へっ?わ、私はこの格好のままで構いませんが、本当に姫様は甲冑のままで外出なされるおつもりですか?」
ピエールはビロードで出来たジャケットの胸を手で軽く叩きながら胸を張って見せた。と同時にもう一度レイラ姫の真意を確かめるように、その顔を眺める。
「この格好で構わぬのじゃ。行くぞ。」
レイラ姫は大股で客間まで歩いて行った。ピエールも大急ぎでその後を追った。
「待たせたな。では参ろうか。」
客間のドアを開けるなり、ソファで待ちくたびれた様に生あくびをしているジェノバ王子に挨拶をした。
ジェノバ王子は突然の事に焦って起立をして、直立不動の体勢を取った。
「や、やあレイラ姫。相変わらず美しい。
でも、僕が先ほど持ち込んだドレスには袖を通してくれなかったみたいだね。
デザインが気に食わなかったかな?それともサイズが・・・。
うちの諜報部に調べさせたスリーサイズだったけど、間違っていたかな?」
ジェノバ王子は落ち着きがなそうに手もみをしながら、自信をなくしてレイラ姫の顔色を窺っている。
「いや、デザインも気に入ったしサイズもバッチリだ。ありがたく頂戴しておく。
でも、今は両国間で休戦条約を結んだとはいえ、戦時中であることに変わりはないから、あのようなちゃらちゃらした姿で外出することはままならない。
両国間で本当の平和条約が締結されるまで、取っておくことにしよう。いいかな?」
レイラ姫はジェノバ王子の顔を見ようともせずに答える。
「いやあ、そうだねえ。戦時中だものねえ。
でもそんな戦争だって、僕たちが良い仲になっていずれ結ばれれば、両国間の仲たがいもなくなってしまうさ。
あのドレスは結婚式まで取っておくというのはいい考えだね。今日の所は時間もないからそのまま行こうか。」
甘やかされて育ったのであろうか、小太りの2重顎は青年の年を実際よりは多く見せていた。
レース地のドレスを身に纏い精一杯のおしゃれをしてきた王子は、それでも色気を感じさせない甲冑姿のレイラ姫の腕を取って歩き出そうとしたが、うまくいなされてしまう。
仕方がないので、先に一人だけで城の外に停車してあったホバーカーに乗り込んだが、レイラ姫はそれには乗りこまず、自国のホバーカーで付いて行くと言い張った。
「どうじゃピエール、お主も王族であろう?感応者としての適性はいかほどじゃ?
ホバーカーの運転は可能なのか?」
促されるまま、柔らかそうな革張りのソファに加え、何層にも美しく重ね塗られた外装のホバーカーの後部シートに乗り込もうとしていたピエールの動きが止まり、顔を上げる。
「は・・・はい。一応、ホバーカーの免許証は取得済みでございます。」
ピエールに質問の意味は分からなかったが、もしかしてこの最新鋭のホバーカーを運転して行けと言う事ではないのか?そうであれば大歓迎だ。ピエールはすぐにOKの返事を返した。
「おおそうか、助かるぞ。
では車庫から、我が国のホバーカーを出してまいれ、いちいち運転手を出すのは申し訳なくてな。」
レイラ姫にそう言われて、王族用の豪華なホバーカーを期待しながら、案内されるままに車庫へと向かう。
それは、乗用車というよりトラックと言った方が良いだろう。灰色一色の車体に加えて、座席も木で出来たベンチシートが前後に1列づつ設置されている。
寸詰まりとも言えるその後方には、荷車を接続するための、頑丈そうなフックが設けられていた。
ピエールは思わず、他の車が隠されているのではないかと、辺りを見回したが、他に動きそうな車は見当たらなかった。
「すまないのう、貧乏所帯ゆえ、貨物運搬用のホバーカーしか使える車はないのじゃ。」
ピエールがトラック然としたホバーカーを運転して門扉前へと向かうと、レイラ姫が謝っているとも愚痴を言っているとも、どっちつかずの言葉を発しながら乗り込んできた。
目的のレストランは、草原をホバーカーを飛ばして1/3刻(1刻=1/8日で3時間)ほど北へ駆けた先にあった。
舗装されていない道は所々うねっていて、更に整地用の砂利が乗り心地を悪くさせる。
しかし、30センチほどではあるが地面より浮いた状態で進むホバーカーには、そのような悪路も関係はない。堅い樫の木で作られたベンチシートも、走行中の振動もなく、さほど乗り心地が悪いとは感じさせるものでもなかった。
そこは中立国であるマジック国の領地の南端にある都市の中にある。ペンシル王国とマーカー国とも近く、商業都市として交易で栄えている大きな街である。
休戦中とはいえ、敵国間同士の関係者での会食であるので近場の中立国を利用することにしているのであった。
もとは一つの国という事もあり、人の行き来に関しては何の制約もない。国家間を移動する際の通関と言う仕組みや、国境警備といったものは行われていないのだ。
休戦状態にあるペンシル王国とマーカー国間だけは国境警備をして通行の制限はあるのだが、中立のマジック国を経由して割と自由にジェノバ王子もペンシル国に出入りしているのだ。
もう一方の中立国はと言うと、レイラ姫のもう一人の大叔父が管理するボールポイント国であるが、こちらははるか南の地にあり、ホバーカーでは1日と少しの距離である。
このように中立国の間に挟まれた環境である為、無闇に行動は起こせない状態でいた。
下手をすると今度は周りから自国が攻め込まれてしまうのだ。現在は中立国が紛争中の2国間の言い分を聞いて、平和的解決を図ろうと仲裁に入っている。
問題が発生すると、中立国が裁判官となり、双方の言い分を聞いて裁量する手はずとなっているのだ。
最新鋭のホバーカーを操るジェノバ王子は、先行してレストランに到着していた。
遅れてきたレイラたちは、少々彼を待たせることになった訳であるが、レイラ姫は気にもせずにそのままレストランへと入って行く。
王子と姫は予約されている席に着き、お付きのピエールはレストランフロアーへ続く廊下脇に設置してある待合場所へと通された。そこには屈強な体つきをした黒いスーツの大男2名も同じように通されてきた。ジェノバ王子のお付きの人間のようだ。
四角い顔にあごひげを蓄えた大柄の男は、給仕が持ってきたスープをスプーンでいちいちすくうのがまどろっこしいのか、皿を持ち上げてそのまま口元へ運び、一気に飲み干してしまった。
「俺は長刀の使い手で、突進してくる野牛の首をそのままはねたこともある。
こっちの大男は、格闘技の専門家で寝技が得意だ。立ち技では素手で牛の角を折ったこともあるし、野生の熊の首を絞めて仕留めたこともある。
お前さんはレイラ姫のお付きだな。武術が得意そうには見えんひょろひょろだが、レイラ姫にその身を守ってもらうのか?」
こちらは行儀よくスープを飲んでいたと思った男が、痩せた体形のピエールの体を値踏みするように、頭からつま先へと見下ろして言った。
格闘技の専門家と評された男は、出てきた豚の丸焼きを両手に抱え頬張って、そちらと格闘しているようだ。
「いやあ、お強そうですねえ。」
ピエールは笑顔で答え、後頭部を少し掻いた。そうして自分も出てきた料理を頂いた。
それでも念のために、腰から下げている剣の止め金を外して、いつでも抜けるようにしているようだ。