表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その花は天地の間に咲く 前編  作者: 檜崎 薫
第二部
94/96

城に残されたもの

 朝一番の祈りが始まる頃ユーゼフは戻ってきた、そして皆の顔を見るなり意味ありげなことを口にした。

 「今後、…クレステンベルクへは誰であれ、立ち入りを認めない。僕の親族にも適用するつもりだから、そのつもりでいてくれ」

その表情は悲痛そのものだったが、集まった貴族たちにそれを気遣う余裕はない。誰もが不服そうに彼の顔を眺め始めた。 

 「立入禁止ですと?ーそれはまた心外な」

 「訳をお聞かせ願えませんか」

 「…城で見つかった遺体が、他国に籍を持つ人物だったからだ。今後は城で何があったか捜査を行うことになる」

少しざわめきが広がったのを手で制しながらユーゼフは言った、

 「これは僕一人の意見じゃないー異議のある者は侍医に言ってくれ」

それだけ言うと、ユーゼフは会議室から出て行った。だが、彼の口にした言葉がかえってそのざわめきを大きくした。

 「他国人の遺体が見つかっただと?ー冗談はたいがいにしてくれ」

 「自国の人間でないなどとどこから解ったのだろう」

 憤りを口にする者から判定の真実味を疑う者まで、会議室には貴族たちの声が溢れた。だが1人だけ黙って思索を凝らす者がいた。カフトルツ侯爵。ー大公の甥でユーゼフには従兄になる。いくらか痩せ気味だが貧弱まで行かない程度の、やや細身の青年だ。

 「侯爵ー何とか言って頂けませんか」

すぐ脇にいた貴族が彼に訴えかけたが、

 「私が言って変えられるほどなら、もともとああは言わなかったはずだ」

と侯爵は切り捨てた。

 もともと継ぐ気はなかったものの、義兄が早死にして継ぐ羽目になった。さらに、会う気もなかった兄嫁が、聡明で気品高い女性と知り彼は兄の跡を継ぐ気になった。兄は別の女性を妻に迎え、今ではその伯爵家を継いでいる。つまりは替え玉というわけだ。先代が本妻の亡き後踊り子と浮き名を上げ産ませた子、それが今の侯爵だった。バレエの役柄にあったような名がつけられたのも生みの親が踊り子だったため。息子の侯爵には何の罪もない。ジークフリート・フォン・トレッセンベルクーこの人物がフェルディナンドと知り合った、〈あの〉カフトルツ侯爵だった。

 やや銀色がかった金髪に緑色の瞳ー侯爵は顔立ちも家柄もほとんどフェルディナンドとそっくりだった。さらに言えば、生い立ちを見ても2人は同類だったー家督を継いでいるかいないか、そこだけが違うのだった。

 「…お従兄からのお諌めも、殿下のお耳には届かないのでしょうか」

 「聞いてほしいと思うなら、貴殿が意見書を提出したらどうだ。賛同する者を寄せ集めてーそう難しいことではあるまい?」

 「しかし、…閣下」

取りすがる貴族を振り払って侯爵は言った、

 「とにかく、これ以上私にしがみつかないでくれ。ー迷惑だ」

それだけ言って、従弟同様に侯爵は会議室を後にした。

 「殿下とお話をなさったりは?」

 会議室を出ると従者が言った。

 「閣下がお諌めになるのを他家の方は待っておられる気のではー」

 「従弟を諌めろ?…聞く気のない男を、この私が諌めろと?」

従者に聞き返すと、深くため息をついて首を横に振る。

 「だめだね。兄上に飼い慣らされすぎて、私の手に負えない」

 「あのユーゼフ様がですか?」

 「そうだ。…他に誰がいる?」

突き放すように言って、侯爵は従者のついてくるのも待たず再び歩き始めた。

 ーあの男が?あの男が天使だって?ー3つ下の従弟がもてはやされていると聞いた時、侯爵は耳を疑った。ー物腰の柔らかさがいいというなら、他にも大勢いただろう。物腰と顔立ちの良さが合わさって、皆ほめそやしているのか。正直私はごめんだ。ーユーゼフが女を囲い始めたのを、侯爵は人伝に耳にしていたのだった。4年前のこの時期、ちょうどルドヴィカがクラウスと結婚した頃に侯爵はその噂を耳にした。

 「侯爵、…1つよろしいですかな」

 やや年配の貴族が言った、

 「かの城でみつかりましたは…どなたの骨になるのでしょうな」

 「遺体の身元をお尋ねなのですか?」

私にもそれは解りかねます。ー侯爵は抑揚のない声で言った。

 「それは重々承知しております。ーですが殿下が赴かれたからには、…相当身分ある方があちらで見つかったと考えた方が」

 「そのお考えには一理ありそうですがー」

侯爵は言った、 

 「今の状況では、私見をお話しすることはとてもできません」

そうして相手に礼をして再び歩き始めた。

 雑念を振り切るようにして侯爵はその足を進めていたが、その侯爵にも気がかりはないわけではなかった。唯一気になっているのはクラウスの妻のこと。早くに未亡人となったルドヴィカが侯爵には気がかりだったのだ。

 従弟に断ることもなく、侯爵はユーゼフの城を訪れた。婚約式でも結婚式でも、従弟の妻とはまともに話せなかった。せめて今回は会ってこようー侯爵はそう考えてユーゼフの妻に、ルドヴィカに会いに来たのだった。

 大公妃の亡くなった今、宮殿でも一番位の高い女性がルドヴィカだった。本来は自分が呼ばれない限り顔を見ることもできないが、カフトルツ侯爵家とハウデンブルグ伯爵家、この2家は自由に謁見を申し込めた。それは両家が親戚筋だからで、ユーゼフは執務室にいる間だけだったが、ルドヴィカは腹に子を宿して自由に動けないせいか、周りの様子を探るためにも進んで応じるのだった。

 ルドヴィカは女主人なので、塔の最上階で寝起きしていた。衛兵の宿舎は城壁の四隅、警備兵や捜索兵は各塔の最下部に住み込んでいる。4つの塔全部に厨房があり、料理人も塔ごとに配置されていて、料理人1人につき1つの塔で食事を提供した。そして中一階が侍女の待機場所だった。

 湯浴みの後だったのか、大きな桶を持った侍女が水場へ行こうとしていた。侯爵はその侍女を呼び止めて言った、

 「妃殿下にご挨拶を」

 「申し訳ございません、…どなた様とお取り次ぎしたら…」

 「カーゲルスタン家の次男が来たとだけ」

 「少々お待ちください」

侍女は一瞬青ざめたが、すぐに主人の部屋へ走って行った。そして息を整えながらやっと戻ってきた。

 「…お会いくださるそうです」

 「それはありがたい」

 中間部で話し声がする。女官だろうが誰が何を話しているのかー侯爵は聞き耳を立ててしまった。

 「お戻りになってから妃殿下と?まあ…」

 「お子を身ごもっていらっしゃる方にそのようなお振る舞いを…」

非難めいた口ぶりと会話の断片から、彼らがユーゼフを話題にしていたことに侯爵も気がついた。

 「先に湯浴みをお済ませになってらしたらよかったのではございませんか?」

また女官が言った。ーここから解ったのは、ユーゼフは帰ってから湯浴みも何も済ませず妻の部屋へ来たということだ。それを女官は言っているらしい。ー侍女が大きな桶を手にしていたのもユーゼフが湯浴みをしたからでルドヴィカのためでなかったのだ。

 〈匂いや汚れを洗い落としてからこちらへおいでになればよかったのに…〉

女官たちが苦言を呈したのはつまりそういうことなのだろう。これが自分の従弟なのか、本当にやりきれないー1人で物思いに沈んでいると、侍女の声がした。

 「お見えになりました。…こちらへ」

 女官たちがいるすぐ脇の部屋、その部屋が面会所だった。垂れ幕で仕切られていたが、膜の隙間から、コテで巻いた黒髪と琥珀色の瞳、それに黒いドレスが見え隠れしていた。侯爵も、叔母を亡くしたため、やはり喪服を着ていた。それでもルドヴィカの喪服は袖にレースをあしらった豪華なものだったが。

 「よく来てくださいましたこと。何日ぶりでしょう…婚約式以来かしら」

 ルドヴィカは言った。

 「はい。…お久しゅうございます」

 「ご領地はだいぶ遠いのでしょう?それをわざわざ来てくださるなんて」

ー侯爵は微笑んだ。

 「近隣に別邸がありますので…昨日はそこにおりました。義兄からいろいろしごかれ朝方戻りましたらお聞きのように」

柔らかな口調で侯爵は答えた。ひざまずいた彼の前に女性は片手を差し出した。

 かがんで相手の差し出す手を取り、そっと唇に近づける。触れる直前で手の動きを止め少し停止させるとその手を離した。

 「夫は、…明け方やっと戻ったそうで」

ールドヴィカが言った。

 「ーはい」

 「朝早くから会議招集と聞いて、私も驚きました。いったい何がありましたの?」

 「まだ詳しくお話しできません。ただー」

侯爵は少し口を閉じた。少しでも慰めになるようなことを彼女には話しておきたかった。

 「何者かが前のご夫君と揉めたような跡があったことはお伝えしておきます」

 「夫が、…亡くなったクラウス卿が?」

従弟嫁の声が震えたことから、侯爵は自分の話で相手が動揺したのだと感づいた。それで努めて平静に返事をしていた。

 「口論のようなものは、数回ですが聞いたことがあります。私が見たのはその程度ですから、まさか死者まで出ていたとは…」

 「お察し申し上げます。ーことここに至りましては、我々といたしましても痛恨の極みにございます」

 「死者がこの国の人でないというのは?」

 「なぜそれが特定できたのかは、我々にも解りませんー侍医がそう判断したのだと私は考えておりますが。ただ身元まではさすがに解っていないと聞いております。今後侍医が遺体を解剖などしてそれを突き止めましょう…遺体の身元については、今後いかなる判断が出ようとも殿下が仰せになった通りに我々は受け止める以外ないと私は覚悟いたしております」

最大限に感情を抑えて侯爵は答えた。 

 「私と侍医と、その2者だけが今回殿下に同行いたしましたが…何とも後味の悪い結果に終わリまして、大変申し訳なく」

 「では、遺体はもうこちらへ?」

 「はい。…じき解剖が始まるものと」

 「…残念の一言に尽きますわね」

 「ーはい」

 「正直なところあの城のことはあまり私の記憶にないのだけど…。争いや揉め事のもとがいくらかあったのかしら」

前夫の領地についてルドヴィカは記憶を呼び覚まそうとしたが、思い出せなかった。

 「…私の存じます限りでは、クラウス卿に、そういった面はございませんでした。むしろ問題は相手方にあったかと」

 「なら良いのですが…」

夫の支えになりきれなかったとルドヴィカの悔やむ声。従弟嫁をいたわるように、侯爵は語りかけた。

 「何も妃殿下のせいではありません…政務を執るのはもっぱら男の務めなのですから」

それより、ー侯爵は続けた、

 「ー昨日は城からお出ましになれなかったと宮殿で聞きました。少し息苦しくはございませんか?…何でしたら、妻を話し相手に」

 この提案にルドヴィカはえ?と声を上げ、侯爵の方を見た。

 「遠いと申しましても半日あればこちらへ着きますので」

主君の妻と話をしてみたいーことあるごとに夫がたびたび会ってくるため、また兄がその名をよく口にするため、自分の姻戚となった皇女にアレクサンドラは興味を持っていた。城を襲われることも今ではないので、執事に城のことを任せておけばいい。何かあったら宮殿まで電報を打てば済む。

 「お気遣いありがとう。…けれど、そこまでして頂く必要はありません。義妹から手紙をもらうので」

義妹とはもちろんシャルロッテだ。夫たちが思う以上に、この2人は仲が良かった。

 「私たちのために、…皆さんには世話ばかり焼かせてしまいましたね」

クラウスの城から死体が出てきたので彼女はそう言ったのだろう。つまりは、自分たちが一緒になったために迷惑をかけてしまったと詫びているのだった。だが侯爵は言った。

 「ーとんでもないことにございます」

 「1つお聞きしていいかしら」

 少しの沈黙を挟みルドヴィカは尋ねた。

 「お答えできる範囲でしたら」

従弟嫁の言葉に侯爵はそう告げた。

 「クラウス卿が貴族に属していなかったと言ってくる人がいたのだけど、…あれは本当のことなんですの?」

重い空気が流れた。侯爵としては一気に吹き払いたい気分だったが、事実は事実だ。そのまま打ち明けるしかない。 

 「…残念ではありますが、妃殿下がお聞きになった話は事実です」

 「そうでしたの。…侯爵、教えてくださってありがとう」

 その後軽く世間話をすると侯爵は従弟嫁の部屋を離れた。来たときと同じように、唇がその手の甲に触れるか触れないかのところで

動きを数秒止めーそうして挨拶を済ませると侯爵は塔を降りた。その後ろ姿を女官たちが不安そうに見守った。

 「カフトルツ侯爵…お従兄とはいえ、殿下とお顔をお合わせにならないのに」

 「何でしょう…昨日の今日でさらに何か?」

不安は皆抱いていたのだが、誰もそれを口に出せなかった。女主人のルドヴィカが身重で自由に身動きできないからだ。だが、従弟に黙ってその妻を見舞う侯爵の姿は、彼らにはどこか悲壮感を漂わせているようにも映っていた。


 ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽


 高位貴族の控室がある宮殿の一角、そこに複数の女を侍らせる男が1人いた。日焼けで浅黒くなった筋肉質の肌と、野心や権勢欲をみなぎらせる群青色の瞳。やや細い弓なりの眉と冷酷さや苛烈さを相手に感じさせる鋭い眼差しー声の掠れ具合から、相当な愛煙家というのが解る。

 片手で煙草をくゆらせながら彼は逆の手で女を抱いていた。抱いていた、というよりは女と戯れていたというべきだろう。この男は連れてきた女1人1人に熱い口づけを与え、その気にさせてしまうのだった。もっとも、ここにいる女は皆遊女やその類の職業にある者たちだから何も問題はない。

 「ー弟が従弟の城に?それは事実なのか」

 男は掠れがかった声で問うた。  

 「間違いございません。…複数の者が弟君の出入りを見届けております」

 「本人がいないのにか?」

 「ーはい」

侍従の言葉に、男は口元から歯を覗かせた。ほくそ笑みというやつだろう。

 「ほう。…あいつも思い切ったな」

 「…ご通知はなさったのでしょうが」

 「それはそうだろう」

そう言うと男は含み笑いを漏らした。ー我が弟ながらよくやってくれるわ。まああいつが従弟の嫁に手を出すとは思えんがな。ー男は

酒の注がれた盃を手に取り、一気に酒を飲み干した。

 「ー城へ斥候はやっているんだろうな?」

 男は尋ねた、

 「万が一妻を奪い取られたら…その時には我々も終わりだ。妻だけは、何としても取り戻さなければ」

 「…では、例の交換約定は」

 「やむを得ず書いてしまった。ーだが弟と約束したのは爵位交換だけだ。爵位と領地の交換ーそれ以外譲り渡す気はない」

それを聞いて、侍従が顔を見合わせる。

 「もう、…以前の奥方様ではないように私はお見受けしました」

 「…どういうことだ」

 侍従の話に、男の眼光は鋭くなった。

 「近頃は町へのご外出も弟君とご一緒に、また昼夜問わず、他貴族訪問はお二人で必ずお出かけになるとか」

 「城に囲っておられた女たちも、一部屋に集めて処遇裁定を待たせていると私は聞いております」

 ー男の顔から笑いが消えた。

 「弟と、ー俺の妻が弟と一緒に動いているだって?」

 「奥方様もご満足そうでして…、おいそれと引き離せそうにございません」

ーその言葉に男は唇を広げ、歯を剥き出しにした。

 「満足そうだった、だと!?主人の妻が寝取られ辱められ、それでもお前たちは良しとするのか!?」

 「…奥様にご意向の確認を」

1人の侍従が言った。

 「どうしてもとおっしゃるのであれば私はそうお勧めいたします」

 「…あれに、戻る気がないか尋ねろと?」

 「それが一番確実かと」 

 「今から会いに行って何ができるのだ」

男は呟いた。

 「ーそれは閣下次第でしょう」

侍従が言うと、男も押し黙った。ー一度城へ戻った方がいいか…。ー妻に会うにはそれしかなかった、だが正直彼は気乗りしない。妻も男の好みではなかったが、父親が頼み込んで一人娘をよこしてもらったのだ。社交界でも才色兼備と名高いカダルシェフ公爵家の娘、アレクサンドラ。彼女が彼の妻だった。だが今はー。

 男があれこれ思い悩んでいると、扉を叩く音がした。ー侍従が扉を開けると執事の姿があった。執事は静かに会釈し、こう告げた。

 「夫人がお見えです」

 「いったい誰の夫人だ…?」

男はうそぶいている。

 「閣下…、執事殿が困っておられます」

 「アーレングランツ伯爵…?」

 執事は訝っていた。

 「ここにおいでなのは、アーレングランツ伯爵ではございませんでしたか?もし部屋を間違えておりましたらご容赦を」

そう執事は男に告げたが、男は放心したのか返事をしなかった。代わりに侍従が答えた。

 「主には伝えておきます」

 「お願いいたします」

ー扉の閉まる音にようやく男は我に返った。

 「…今のはいったい何だ?」

 主の声で侍従はまた顔を見合わせ、1人がこう伝えた。

 「奥方様がお見えになったと」

 「奥方ー俺の奥方と言ったら誰だ」

男はまた呟く。

 「ベネディクタ様ではありませんか」

 「ベネディクタ…それが妻の名か?」

 「そうですとも。ーフォン・アステンマイアー家のご当主なのですから」

 「アレクサンドラ様は前の奥様です。今の奥様は、アーレングランツ伯爵家を継がれたベネディクタ様でいらっしゃいます」

 「…そうだったのか」

憑き物が取れたとでもいうような表情で男は言った。

 「もう一度侯爵家の領をお継ぎになりたいのですか」

 侍従に言われ、男は言葉を濁す。

 「継ぎたいわけではないが…」

 「アレクサンドラ様をお望みなら、弟君とお話しになって位をもとに戻されるほかありません」

ーそれはそうだ、男は思った。だがもともと婚約の交換を言い出したのは男の方だった。今からもとに戻せと言ったところで、それを聞いてもらえる保証はない。

 「…あなた?」

 女性の声に男は振り返った。

 「何をしてらっしゃるの?…あまり遅いと、お医者様がお帰りになってしまいますわ」

妻のベネディクタだった。時間が来ても夫が出てこないので彼女は様子を見に来たのだ。

 「医者が…?」

 「来診をお願いしておりましたから。もうお忘れだったのですか?」

ベネディクタが眉間にしわを寄せた。

 「そうだ、…義父上のご容態を診てもらっていたのを忘れていた。ーすぐに出よう」

義理の父親が病床に就いたため、城へ医者を呼び診察させていた。

 「それなら、お支度を」

男の言葉に侍従も動き出した。ーここにいる侍従は皆普段男が使っている者たちだ。弟は自分の使うはずだった控室を兄の名で借り、自分は別邸で少し休むとその日のうちに都を発つのだった。この兄弟は、爵位交換と共に城や領地、そしてそれらに付随する任務も、それぞれ交換してしまった。弟は他の何より兄嫁のアレクサンドラを気に入ったようで、特急でとんぼ返りするか、でなければ兄嫁と別邸へやって来てそこから宮廷へ出るかしていた。それで控室に用がなくなり、借用者の名を自分の名義から兄名義に変えたらしい。これは兄にとってもいいことずくめだった。愛人と抱き合っても、従者と密議を開いても、大きな音が出なければわからないのだ。

 ー馬車の中で男は妻に言った、

 「弟が世継ぎの妃と会っていたらしい」

妻はそれを聞いて目を丸くした。

 「ルドヴィカ様と…?どういうご事情があるのでしょう」

 「お前は、…あれの妻を名指しで呼ぶのか」

 「一応は姻戚にございますもの。行事には呼ばれないとしても」

男が呟くと妻はさみしげに笑った。

 「お目通りの機会がないのは、それ相応に寂しいことなんですのよ」

ベネディクタ・フォン・アステンマイアー、称号としてはアーレングランツ女伯、またはアーレングランツ伯爵夫人と呼ばれていた。新興貴族の娘で、父親は前アーレングランツ伯ローレンツ・フォン・アステンマイアー。経済発展に寄与したため叙爵にあずかったとされている。男には、幼馴染というより単に都合の良い愛人だった。子を孕ませなければ愛人の1人で終わったのが、子を宿したのが解り男は結婚せざるを得なくなった。高額な慰謝料を払う代わりに弟に前妻を押し付け、自分は身軽なふりをして男はベネディクタと結婚した。だが生まれた子も数日で逝った。我が子の夭逝した理由もベネディクタは知ることがなかった。

 同じ伯爵ではあっても家格はイマヌエルの下になるため、自分から声かけはできない。登城は以前より減らされたが、それも婿入りした家が重んじられていない証ではあった。ちなみにユーゼフが結婚を決めたときも男は婚約式に呼ばれなかった。2年前だったら、男も親族として招かれていただろう。それが弟と入れ替わったため男は主要貴族の座から外れ、親族にも数えられなくなった。だが、再び宮廷に上がるための散弾を男は少しずつ初めていた。

 「…今度、お茶会をいたしませんこと?」

 ベネディクタは言った、

 「一度お話をしてみたくて」

 「話をしたいー弟夫婦とか?」

 「ええ。…親族同士ですし」

 「こちらは良くても、あれの妻がいいとは言わんよ」

 「まあ、どうしてですのあなた」

 「どうしてもだ」

ー夫に却下され、ベネディクタは残念そうにした。自分と一緒になる前の男の姿を彼女は知らないのだった。何より、一人娘の彼女が愛人の一人だったと知ったら、病床の父親は毒を仰いで死んでしまうに違いない。前妻が格上から嫁いできたあのアレクサンドラで、愛人と快楽にふける夫に愛想を尽かしたゆえ離縁がかなった。それがあっての円満離婚ーそう言えなくもなかった。

 領地に戻ってみると、医者も執事も帰りを待ちわびていた。只今戻りましたー男の声に寝台の老人が軽く手を上げて答える。これがベネディクタの父親ローレンツだった。男の義理の父親。

 「婿殿まで呼び戻して申し訳ない…娘だけで足りるものを」

 ー老人は掠れた声で言う。

 「義父上は我らの要ですから、…まだ現役でいて頂かないと」

義父のねぎらいに男はもったいぶった。

 「今お戻りですか。…ご予約の時刻を間違えましたかな」

ー白い髭を撫でながら医者は言った。

 「あちらで話が立て込んで出るのが遅れてしまった。…先生の間違いではない」 

 私の到着はご予約くださった時刻に合っていたということですかな?…ご夫妻もお戻りになられましたゆえ、これより診察を始めるといたしましょう」

そう言うと、医者は手袋を両手にはめ老人の体に触れた。

 「こちらは痛みますか?…こちらは?」

医者は腹のあちこちを軽く押しながら痛みの有無を聞き取っていった。その後少しすると医者は明るい顔でうなずき、診察は終了ですと患者に告げた。そして、

 「だいぶ落ち着きましたな。後は養生して頂ければ、何も心配はありません」

と患者の娘夫婦に語った。

 「…安心いたしました。次は何日後に診ていただけるのでしょう?」

 「1月しましたらまた参ります」

ベネディクタの問いに医者はそう言った。

 「それでは、…このあたりで失礼いたします」

 「またお願いいたします」

 「はい、確かに」

男はベネディクタと一緒に医者を見送った。 

馬車が見えなくなると、ベネディクタは夫に語りかけた。

 「あなた…お願いがあるのだけど」

 「何だ。ー何がしたい」

 「…殿下のお妃様とお話しできないでしょうか」

男は目を剥いた。ーユーゼフの妻と話したいだって?夫の俺ですら会ったことないのに、何てこと言いだすんだ。ー伯爵とはいえこの家柄は格があまり低いので、宮廷へはあまり自由に出入りできなかった。

 「弟君は、お妃様とよくお会いになれるのでしょう?」

ー〈会える〉ではなく、〈お目にかかれる〉〈お目通りがかなう〉が本来の言い方だったのだが。

 男はしばらく考えてから言った。ー父親と弟、…それに弟と従弟を仲違いさせてやろう。ー男はほくそ笑んだ。

 「親父に話してみる。ーひょっとしたら、謁見がかなうかも知れん」

そう男が言うと、妻は目を輝かせた。 

 「お願いしますわ」

 「…ああ」

男は笑ったが、その裏にあるものを彼の妻は見抜けなかった。

 

 ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽


 従弟嫁と話した後で、侯爵は従弟その人と話すため執務室へ向かった。聞かれることはないと知ってはいたが、妊婦の耳に死者だの何だの物騒な言葉が入ったとなると放ってはおけなかった。男たちが耳にする分にはいいが、ただでさえ女性には聞かせたくない言葉だった。

 宮殿へと続く別棟へ侯爵は足を運んだが、その壁には例によって迫力あるーというか、圧迫感のある絵画が飾られている。こういう趣味の持ち主が身内にいるのを侯爵は知っていた。宮殿の控室にも同じような絵が飾ってあった。父親は絵画に興味がないのであれは兄が飾ったのだろうー城の執務室や書斎にも同じような絵は飾られていた。

 「…こういうものがお好きですの?」

 絵を眺めていると侍女が聞いてきた。

 「いや…似た趣向の絵を見てきたから、まだあったのかと思ってな」

 「そうでしたの。…取り扱いのないものだと私は聞いたのですが…」

 「『取り扱いのない』…画廊で売られていない絵だと?」

 「…はい」

どこからお求めになったのでしょう?ーそう言って侍女は首を傾げた。

 「盗品ということか…」

話を聞いて、絵の出元についても調べようと侯爵は決めた。ここまで来ると、従弟でなく叔父にかけあった方が早い気もした。だが、絵を調べる前に、朝の大会議について従弟に一言言わないといけない。

 執事を探し出すと、侯爵は従弟に会えるか尋ねた。

 「おいでですが、…なぜそれほどにも閣下はお急ぎで」

 「とにかく会わせてくれ」

ー侯爵の勢いに押され、執事も侍従も無言で執務室の扉を開けた。侯爵が執務室で従弟と会うのはもう半年ぶりだった。部屋へ入ると挨拶もそこそこに侯爵は従弟に言った。

 「殿下ーお願い申し上げます。…女性、特に身重の方に対してもう少しご配慮頂けませんか?」

 ユーゼフは何のことだい?と目を丸くしている。だが侯爵の表情には少しばかり怒気があった。

 「…大会議でのご発表ですよ。悪意が殿下になかったことは、私もよく存じております。とは申しましても、あの場で人の死について公言なさるのはいかがかと」

 「…待ってくれ。僕がいったい何をした?」

話についていけず、ユーゼフは頭を抱えた。

 「ー宮廷には多くの貴族が出入りしております。奥方や令嬢が取り立てられて、奉公に上がっている家もあるでしょう。出入りする者全員を集めた会議で死者だの何だのと口になさるのは、お控え頂きたい」

ユーゼフは眉間にしわを寄せた。

 「それが妊婦とどうつながるんだ?ー何も参加者の奥方全部が身重というわけではないだろう?」 

ユーゼフは言った。ーだが侯爵は渋い表情で1つ忘れていると注意した。

 「…妃殿下は、殿下のお妃様はーご懐妊しておいでなのでは?」

 「そうだけど…?」

 「死体発見の報が、あの方のお耳に届いておりました。そのうえ妃殿下はあの城で以前過ごされたはずです。…かつて住まわれていた方に、私はあまり不穏なことを聞かせたくはございません」

 ー従兄の苦言に、ユーゼフははあ。と軽くため息をついた。

 「そういうことか…」

 「『そういうこと』とは?」

 「ー僕も正直聞かせたくなかった。それが昨日シルヴァーナ姫がやって来て、ちょうど僕が捜査に出る時に彼女とすれ違ったんだ。声をかけられたので話をしたが…あの人は僕が話したことをそっくり妻に聞かせたのか」

侯爵の顔が青ざめた。

 「シルヴァーナ姫が?ーもしや、大公女がこちらに?」

カンブレーぜ大公女。ー夫のアレッシオとは離縁に向け調停中なので、侯爵は公爵夫人と呼ばず大公女と呼んだ。

 「…うん。従妹に会いたいと言ってね」

 「彼女の二つ名はあのセイレーンで、声を聞くと気が触れてしまうことで知られているのです。…その大公女を妃殿下のおそば近くへ行かせておられたとは…はあ…」

 従兄の話から、ユーゼフも対応が悪かったと自分の過ちを認めた。彼は従兄に言った、

 「次からは話す相手を厳選しよう。…それと

大勢が集まる場で死に関する言葉は出さないことにする」

これでいいかな?ーそう従兄に尋ねながら。

 「もう1つ相談があるんだ」

ーユーゼフは言った。 

 「妻に専属の女官をつけたい。これという女性が見当たらないので、…心当たりがあれば教えてもらえないか」

 「1人これという女性がおります」

 「誰かな、それは」

 「ハフシェンコ伯爵夫人を」

ユーゼフは思い出した。母親がまだこの世にあった時に妻とやり取りした内容をー。顔を見てもいないのにこの人を知っていると妻のルドヴィカは彼に言ったのだ。

 「亡命貴族の奥方を女官に…?」

ユーゼフは従兄に聞き返した。

 「あのご婦人でしたら、妃殿下の女官にも話し相手にもなり得ましょう」

ー侯爵は言った。

 「解った。ー話をしてみよう」

ユーゼフも同意したので、亡命貴族に嫁いだ美貌の伯爵夫人は、宮廷で高い地位を占めることになった。


 ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽ ∽


 ー舞踏会の開催当日が近づき、貴族はどの家門も準備に余念がない。それもそのはず、

公女の結婚披露宴を兼ねているので、1つも粗相はできないと皆が気を張っていた。だが1人だけ椅子の背にもたれ鷹揚と構える女がいた。ーシルヴァーナだった。その肉感的な体型を隠しもせず、肩の周りや上下の四肢を薄手の生地だけで覆っている。娼婦でさえもここまで扇情的ないでたちはしないだろうーそれを、シルヴァーナは何のためらいもなくやってのけるのだった。

 服装があまり扇情的なので、侍女たちさえ彼女には目を合わせようとしなかった。目を向けるとまず見えてくるのがシルヴァーナの装いだった、下着しか着けていませんとでも言いたげな恰好なので見ていられないのだ。

今日も1人の侍女がやって来たのだが、扉を叩いた後侍女は盆で顔を隠しながら言った。

 「お部屋に入っていいでしょうか?」

 「…どうぞ」

侍女が扉を開けたら、着替える直前のような姿で部屋の住人が座っていた。この姿を見て驚かないほうがおかしいだろう。見た途端に侍女は真っ赤になった。

 「…!も、申し訳ございません!」

出直しますとすぐに扉を締めた、だがそれをシルヴァーナは呼び戻した。

 「いいのよ。用事があったのでしょう?」

お入りなさいと言われ、仕方なく侍女は盆を手に部屋へ入って行った。

 「お便りが届きました、…妃殿下」

 ーまだ離縁前なので、公爵夫人への敬語でシルヴァーナを〈妃殿下〉と侍女は呼んだ。

 「まあ。ーありがとう」

侍女に礼を言ったのだが、侍女の方は笑顔を見せる余裕もなかった。

 「御礼の言葉を頂戴しましたけれど…。私といたしましては、お召し替え頂けましたら、一層嬉しく存じ上げます」

 「私の服装が何か?」

シルヴァーナは言った。彼女にしてみれば、他者の感想などどうでもいいのだった。

 「室温を上げすぎましたでしょうか?もしお暑いのでしたら下げますが」

 「ああ…大丈夫。気にしないで」

ここでシルヴァーナは笑ってしまった。だが侍女はその様子に気味悪さを感じた。

 「…私はこれで失礼いたします」

そう言うと、侍女は来た時と同様、盆で顔を隠し部屋から出て行った。

 シルヴァーナは受け取った封書を開いた。

差出人はフェルディナンドだった。自分より8つは下の青年だが、彼女には年齢差も気にならなかった。便箋を開いてみたが、彼女の期待した返事は来なかった。両親も舞踏会に参加するので、既婚女性の相手はできないという。

 シルヴァーナは便箋を握り潰した。

 「皇族の誘いを断るだなんて…!」

この子どうかしているのだわ。ー年下の男に腹を立て、シルヴァーナは強く頭を振った。ただ、舞踏会へ出る以上は、当日の晩までに護衛を頼んでおかなければならない。護衛を誰に頼もうか、シルヴァーナは悩んだ。

 「そう言えば、このお城の先代は確か…」

 先代カフトルツ侯爵、コンラート・アレクサンドル。彼は早くに妻と死別し、独り身で過ごしている。彼になら自分の護衛を務めてもらえるだろうーそう考え、シルヴァーナは先代に頼むことにした。それで彼女は侍女を呼んだが、部屋に来る気配がない。先ほどのこともあるので扉から様子を見たら、自分の装いが噂になっていることにシルヴァーナも気がついたのだった。

 「…また、下着だけになっているの?」

 「そうよ、いくらお城の中だからってあのお姿は不謹慎じゃなくて?」

 複数の侍女が眉間にしわを寄せながら話をしていた。自分の装いが下着姿と見なされていることに、シルヴァーナは少なからず腹を立てた。だが、彼女は夫からも、同じことで苦言を頂戴していた。身分ある者の妻が肌をみだりに露出するなと。それを聞けないのはある種の反抗心というものだったのか。その自覚は彼女にはなかったが、娼婦とよく似た装いやよく似た暮らしを彼女は好んだ。男の腕の中で夜を過ごす方が自分に合っているとシルヴァーナは思ったのだ。その相手が夫でないというので彼女は烙印を押されていた。無理もない話ではあったのだが。

 先代侯爵が、ー大公妃の兄がこの城に姿を見せなくなって数か月経つ。さらに、一番の夜伽相手だった先代の長男も来なくなった。ただ1人、長男の妻だけは城に残っていると声で解ったがーシルヴァーナはさすがにこの女性と仲良くなれなかった。

 ある時シルヴァーナは侍女に尋ねた。

 「先代様はお戻りになれなくて?それと、前の侯爵様は」

ー玄人のような口ぶりで言うシルヴァーナに

侍女は思い切り嘲りの口調で答えた。

 「あの方々はもういらっしゃれません」 

 「なぜなの?それは」

 「ー今のお殿様が来られる時、城の権限が完全に明け渡されたからです。奥様の方でも前のご城主様と縁をお切りになりたいご意向なので」

ーそれは残念だわ、シルヴァーナは思った、仲良くなりたいのは私だけだったのかしら。お近づきになるって難しいのね。ーそれでも気持ちを切り替えて彼女は先代侯爵に使いを出した。

 その夜、夫にアレクサンドラが言った。

 「あの方、…お義父様へ使いを出されたわ」

 「…父に使いを?どういうことだろう」

 「舞踏会で頼みがあるとおっしゃったそうですけど…護衛のことではないかしら」

妻の話に、侯爵は侍女長を呼び出した。

 「例の部屋にいる貴婦人ー彼女を見張ってくれ。父と縁を切らせたいのだ」

 「心得ました」

侍女長も黙って監視を引き受けた。使用人は誰もシルヴァーナにはいい印象がなかった。

 侯爵は父親に手紙を送った、だが書かれた内容は父親を不期限にしてしまうものでしかなかった。ただ知ってしまった以上は黙っていられないのだった。妻から聞いた話だが、義兄の手紙もあるので疑う余地もないのだ。

ー侯爵は父親にこう書き送った。 


 〔父上がご執心の貴婦人ですが、彼女には父上以外に大勢の愛人がいる模様です。その中には義兄のドミトリィ卿のお名前も入っております。ー来る舞踏会ですが、護衛の役は卿にお譲り頂きたく。これは我々と義実家のためになることと私は信じております。


 トレッセンベルク城主ジークフリート〕


この封書はシルヴァーナの送った使いとほぼ同時に先代のもとに着いたが、先代侯爵は、息子と愛人のどちらを取るか悩んだ。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ