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その花は天地の間に咲く 前編  作者: 檜崎 薫
第一部
42/96

出仕

世界史大好き人間です。

ー頭に思い浮かんだものを

セリフや文章にして書いています。

…気が向いたら読んでやってください。

  以上です。。

 ゴットフリートは、服喪を切り上げ早めに登城した。午前中は空いているとユーゼフは言っていたが、必ずしも昼まで話をできるという保証はない。朝の食事を簡単に済ませ、彼はペトロネラと一緒に出発の準備をした。

 「ーお前には殿下に仕えてもらおう」

 ゴットフリートは言った。

 「殿下、ですか?」

ペトロネラは不思議そうな表情だった。

 「ロッセラーナの皇女だ。ー前に俺と婚約していた」

 「ルドヴィカ様にお会いできるのですね」

 「…ああ」

ー侯爵家の侍女だから、誰が主人と婚約していたか彼女もよく覚えていた。捜索兵が城に遣わされた時も彼女は様子を見守っていた。

ルドヴィカについていた侍女が結婚のために役を降りると聞き、自分のところから連れて行こうとゴットフリートは決めたのだった。

 「ーユーゼフ様にもお伝えしてあるから、お目通りさえすれば」

 「ありがとうございます、旦那様」

 公爵領から都までは馬車だと2日掛かってしまうので、ゴットフリートは、特急列車の二等席を2つ取った。ー貴族だから一等席を予約してもいいのだが、一等席は国外からの来賓も乗るため避けたかった。駅まで馬車に乗って、列車で都へ向かうのだ。荷物は脇に載せ、ゴットフリートと向かい合って座ったペトロネラだが。

 「あら、⋯旦那様?」

仕事熱心な主人が何故か窓を見つめている。気づくと彼を見つめてしまい、視線を感じたゴットフリートは、彼女に問いかけた。

 「どうした?ー何か変か?」

 「ごめんなさい」 

ペトロネラは慌てて謝った。

 「窓をずっと見ていらしたので、お考え事の最中なのかと⋯」

 「それでだったのか」

ゴットフリートは苦笑いした。

 「ずいぶん会っていないから、あれからどうしたかと思って」

殿下と婚約したと聞いたきりだ。ー彼は少し目を伏せた。

 「⋯皇女様ですか?」

 「ーああ」

それから2人は口を閉じた。2刻ほど乗ると駅に着いたので、2人は改札へ急いだ。都はこれから列車に乗って四半刻はかかる。

 特急列車で都へ向かうと、いつもとかなり様子が違った。乗客たちも顔を見合わせ息を潜めている。宮廷警務兵が複数乗り込み厳重に身元確認をー。ゴットフリートは席の小机に身分証を載せて順番を待った。

 「いつもこうなのですか?」

ペトロネラは言ったが、ゴットフリートは

 「いやー」

と言ったきり口を閉ざしてしまった。ー絶対何かあった。中の雰囲気から何か起きたのだと彼は感じたのだ。これだけ列車の雰囲気が物々しかったことは一度もない。

 「お久しぶりです、侯爵閣下」

 ー警務兵が回ってきた時、自分の身分証を見せながらゴットフリートは彼らに尋ねた。

 「今日はいつもと違うな。何があった?」

 「妃殿下が逝去されました」

 「それはいつだ?ー昨晩か、今朝か?」

ゴットフリートは身震いした。ー俺の登城を待って動いているな。いったい何者なんだ。

 「ー今朝です」

 「殿下のご様子は?」

 「検死を急がせておられますが、ご拝謁する分には特に支障ないかと」

 「解った。ーありがとう」

 ゴットフリートに敬礼し、警務兵は2人の前を立ち去った。ペトロネラはすっかり体を強張らせている。

 「この状況で宮廷に上がって大丈夫でしょうか?」

彼女は言うが、ゴットフリートは

 「大丈夫だ。ー宮殿にも殿下の城にも衛兵が交代で詰めている。心配するな」

ーその言葉にペトロネラも解りましたと答え軽く笑顔を見せた。ゴットフリートもそれを見て少し口元を綻ばせた。列車は2人が話をしているうち都に到着した。

 

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