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その花は天地の間に咲く 前編  作者: 檜崎 薫
第一部
41/96

兄妹の事情

世界史大好き人間です。

ー頭に思い浮かんだものを

セリフや文章にして書いています。

…気が向いたら読んでやってください。

  以上です。。

 「ー殿下」

 切羽詰まった声を聞き、ルドヴィカは目が覚めた。起きてしまったかーユーゼフがそう言ったのでイマヌエルも我に返った。

 「何かあったのか?…息を切らしているようだが」

ユーゼフは彼に言った。

 「おくつろぎのところ申し訳ありません。ールドヴィカ様まで起こしてしまって」

 「お気になさらないで」

ルドヴィカは微笑む。ーもったいない、そう彼女に言いながらイマヌエルは礼をした。

 ルドヴィカが起き上がったのでユーゼフも抱き寄せる手を放した。

 「それで、ここへ会いに来たのは」

ユーゼフが尋ねると。

 「ー妹様のことで伺いました」

 「妹?…シャルロッテのことか?」

要件を聞いてユーゼフは目を丸くする。

 「シャルロッテがどうかしたのか?」

 「いいえ…変わったご様子がないので、逆に心配なのです」

 「君が言おうとしているのは、つまりー」

ユーゼフも立ち上がった。 

 「伯爵夫人とすれ違ったのですが、何かを書かれた紙がその手に見えたので」

覗いてしまいました。ーイマヌエルは言う。

 「…端にotteとありましたが、あれは妹様のお名前をお書きになったのでは?」

ユーゼフもそれだったか、とため息をついてこう答えた。

 「そう、あの紙には僕が書いた。ー君には知らせたくなかったんだが、逆に心配させてしまってすまない」

 「ーご事情をお聞かせください」 

イマヌエルも声を抑えて言った。ユーゼフは彼に耳打ちした。

 「…シャルロッテは心変わりをしたらしいーそれも、兄嫁になる人の友人に。まだ本気と解ったわけではないんだが」

 「…えっ!?」

イマヌエルの声が上ずった。

 「何とか諦めさせたかったんだが、僕から話をしたら、自分も親友から婚約者を奪っただろうと言われて喧嘩になってしまった」

イマヌエルは目を白黒させた、こうも事態が深刻とは思っていなかったのだ。

 ーイマヌエルとフェルディナンド、2人は境遇が似ていたせいもありすっかり意気投合していた。イマヌエルはフェルディナンドと話すことが増え、宮廷で並んで歩く姿が誰の目にも入った。だが、シャルロッテは、彼が話しかけてもあまり多くを話そうとしない。時々目が合うと微笑んでみせたがー自分から物を言ったり尋ねたりということを、彼女はしないのだった。

 「殿下へは話しかけておられましたね」

 イマヌエルはルドヴィカに言った、

 「こちらへご到着なさった日に。あれから何かお話は?」

 「いいえ。ー私にはあれきり」

ールドヴィカは答えた。

 「ゴットフリートが服喪すると言った日に妹は彼の養父の話を始めた。大事な話だからと言って」

 「妹様のお母上は、男爵令嬢でしたね」

 「…うん」

 「お母上の亡くなった背景に疑問をお持ちなのでしょうか」

ーイマヌエルはユーゼフと話し合った、だがこれと言って思い当たることがない。

 「…妹は、僕のことも憎んでいるのかも知れない。自分の祖父を憎んだように」

 「それはさすがにないでしょう」

 「だが、シャルロッテを見ていると、僕は時々怖くなるんだ。何を考えているかまるで解らなくて」

 婚約者とイマヌエルのそばでルドヴィカは様子を見守っていたが、2人の沈黙した時にこう言った。

 「周りに聞こえる厄介ですから、後は中でお話しになっては?」

 「そうしよう」

ユーゼフも同意した。

 「…今シャルロッテ様は?」

イマヌエルが聞くと彼は言った、

 「どこだろう。ー最近はよく黙っていなくなるから、僕も居場所は掴めないんだ」

その言葉にイマヌエルも気落ちしたが、意を決したように言った。

 「ー探してみます」

2人に礼をすると彼は足早に立ち去った。

 「すぐ見つかるでしょうか…」

 「そう願っているが、そればかりは…」

 イマヌエルの後ろ姿を見ながらユーゼフとルドヴィカは話し合った。胸の内をなかなか明かさない妹に気をもむユーゼフだった。


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