第8話「目に映ったワタシ」
私はエレ、17年前にこの世界に降り立った女神
私はこの世界の最初の転生者が持っていた【神ノ剣】の回収のために、もう一人の女神と共にこの世界に来ました
【神ノ剣】を探していたところ、この世界の魔王に見つかり戦闘が始まりました
その時にもう一人の女神に裏切られて、二年間とある洞窟に封印されていました
なぜもう一人の女神が私を裏切ったのか、その真意は未だに分かりません。恐らく、私の普段の無能さに嫌気が指して裏切ったと考えるのが妥当だと思います
私は至って平凡な女神です
天界にとって、何の利益も生み出すことができないお荷物のような存在です
いや、本当にお荷物だったんでしょうね
もっと以前の私は、強大な力を持っていたらしいです
今の私に、以前の記憶はありません。記憶喪失です
なぜそうなったのかは不明ですが、記憶を失ったことで無能に成り下がったのは事実です
しかし丁度15年前、ある赤ちゃんが洞窟の目の前に捨てられていました
自分の子供を捨てるなんて、最低な人達です。しかし不思議なことに、捨てられた赤ちゃんは一切泣きもしませんでした
とは言え赤ちゃんは赤ちゃんです。危険なことがないように、見守っていました。結局何も危ないことは起きなかったですけど
その赤ちゃん「浩太」は15歳とは思えない言動や行動をよくします。まるで人生のほぼ全てを経験していて、それこそ人生2周目のような余裕さがあるように感じられます
そして浩太のおかげで、私は居場所を見つけられました
浩太は私が一番欲しかった「存在意義」をくれた
浩太は私がされてこなかった「感謝」をしてくれた
私に多くの物をくれた
それでも浩太は完璧じゃないと知った
ミスもするし
人に軽く八つ当たりすることもあるし
大人の女性に対して常に色目を使うし
道徳的とは、かけ離れた存在です
しかし彼には助けられた
依存と言えば、多くがあてはまるでしょう
いずれにしても、この依存したいという気持ちは正さなきゃいけない時が来るでしょう
この気持ちの真意は私にも分かりません。私は女神で、浩太は人なのだから、もしかしたらその気持ちは間違っているのかもしれません
それがあってもなくても、私は浩太を含めたみんなを一人の存在として大切にしていきたいとずっと考えていました
浩太「ムードもクソもないが、指輪を買ってみた。どう?合うかね」
だから、浩太に指輪をプレゼントされたときは嬉しかったです
大切な存在に形として贈られた物は、何とも比べられない唯一の宝
そして咄嗟に抱きしめた
大切な存在に感謝される。それこそ前の私にはなかったもの
今思えばとても恥ずかしいことをしたと思います。でも何とかして伝えたかった、ありがとうという気持ちを
あ、でももっと恥ずかしいことがありました
彼のその‥‥‥当たってしまいました。すっごい恥ずかしいです‥‥‥‥‥‥。
◇◇◇◇◇
あれ?俺何してたっけ?
そうだ、確か黒より黒い俺の俺がエクスプロージョンしたところまでは覚えているが‥‥‥。もしかして俺、気絶してた?
ガバッ!っと俺は布団をぶっ飛ばして、辺りを見渡す
浩太「ん?誰もいないんか?」
誰か看病してないの?お兄さん悲しいよ?
ちな窓を見ると、深夜っぽいな。気絶してからあんまり時間が経っていないのか?
そんなくだらないことをしていると、扉がゆっくり開く
エレ「失礼します」
浩太「あ」
いや今あったら気まずい方No1キター
これは非常に気まずいですね。はい
エレ「えっと‥‥‥。大丈夫ですか?」
浩太「あ、はい。大丈夫デス」
うん、終わった。カタコトになってしまいました
エレ「えと、その‥‥‥‥‥。治します?‥‥‥‥それ」
そしてエレは俺の俺に視線を合わせる
いや待って、どういうこと?治すって一体何を治すのかい?
考えがまとまっていないうちに、エレは俺に迫ってくる
‥‥‥は?ちょっと待ってくださいよ‥‥‥。人には心の準備というものがありましてね、そんなホ〇ビみたいに唐突に来るものじゃないでしょそう言うシチュエーション
え、マジでやるんですか?逆にいいんですか、私前世を含めたらDT暦85年目なんですよ。四十路になってから完全に諦めていた卒業の機会がこんな簡単に手に入るものなんですか?
この一瞬の出来事の間に、エレはマイサンの眼前まで来ていた
エレの顔はかなり赤くなっておる
いや、もう男としてここは受け入れよう。よし、来るならどんと来い!
スルスルと、布が肌と擦れる音が聞こえてくる
あぁ、ありがとう女神様、初めて生きた心地がした希ガス
遂にステップアップ!の時
ズドーン!
爆発の音がした
と、思った瞬間には、俺の体は宙に浮いていた
モロダシ・ボンの状態で
クルクル、と宙で回転して
ズズズッ、と仰向きで地面に吹き飛ばされた
仰向きなため、勿論既にエクスプロージョンしたジュニアは地面と垂直なベクトルの如く起立していた
浩太「‥‥‥‥‥‥‥‥へ?」
俺にはズボンを穿くという考えは思いつかなかった
そうして俺の頭が真っ白なタイミングで、煙の中から人影が現れる
見るからに女だ、女にこんな状況を見られるとか恥ずかしすぎだろ
来るならDon't来い!
???「アナタ、穿きなさい。キモいわよ」
コイツ、一体なんだ?‥‥‥ああ、これが野次馬ってやつか。なんか腹立つなぁ
浩太「なんだ、ただの野次馬か。冷やかしなら帰りな。今の俺は卒業に失敗した醜い男だよ」
???「その失敗が私のせいだとしたら?」
浩太「え殺す」
???「殺意むき出しじゃない。でもまあ、この爆発を起こしたのは私であることは事実だけど」
次の瞬間には、既に身体が動いていた
モロダシ・ボンの状態で、手には愛刀である狩猟刀を持ってスキルの詠唱を即座に行う
浩太「じゃあ死ね【高時空歪曲重力】」
???「ちょっと待って発動が速いっ!?」
奴は紙一重で攻撃を回避した
ちっ、と言いたいが、攻撃の手を止めるわけにはいかない
俺は再び攻撃体制に入る
だが二度目ともなると、相手も反撃を仕掛けてくる
あの構えはなんだ?弓のように構えている
???「【回転矢】」
奴の手から、光の矢が射られる
マズイっ!急いで防御に徹さなければ!
浩太「【全防御展開】っ!」
【全防御展開】は自身が持つ防御スキルを全て展開するスキル
俺が作ったスキルなため、他の誰もが使うことのできないユニークスキルだ
そして俺の防御によって、奴の攻撃は完全に防がれる
???「なっ!?」
そして奴が啞然としている隙に、一気に奴の間合いに入る
狩猟刀を持ち替え、奴の喉元目掛けて全体重を乗せる
俺の初体験を邪魔したんだ、これくらいの天罰は当然だ!
だがしかし、奴が咄嗟に口を開く
???「待って待って待って!一旦私の話を聞いて!」
ここは悩むとこだが、そんなに言うなら聞くだけ聞いて見るか。無論クソみたいな話なら即首切りだ
俺は狩猟刀をしまい、ついでにズボンも穿いた。奴のせいですっかり萎えちまった
???「‥‥‥それで、私は貴方に話したいことがあるの」
浩太「はいはい、下らない言い訳なら即首切りするぞ」
???「いやサラッと脅さないでよ!」
浩太「それで、結局何でこんなことをしたんだ?」
奴は少し考えてから話す
???「それは最悪の未来を防ぐため、世界のためよ」
‥‥‥‥‥‥何言ってんだこいつ、頭イかれてんじゃねえの?




