第12話「ナマクラが轟く」
一方、アルメッド神殿内では
レガス「来たぞ、親父」
俺の親父レグルス・アルメッドが玉座に居た
レグルス「何っ!?お前.......この神殿の全ての兵を相手にとって勝利したと言うのか!!!」
かつて『アルーンの獣王』とまで言われ、幾度も戦争で自ら前線に出て勝利を収めたあの親父も今では俺に恐れを成すほどに落ちぶれた
目の前の親父の態度に、そう思ってしまった
レガス「御託はいい。どうする?アルーンを腐らせ、獣王の欠片もない今の親父は俺の敵じゃない」
俺が生まれたころから、既に親父に獣王の面影は無かった
どうして親父がこうなってしまったのかを俺は知っている
50年以上前のこと
獣人は全て奴隷だった時期がある
飼い主に虐げられ、人権なんてのは既に空想の物語
時には労働、時には奉仕。俺らは意思疎通ができない生き物として扱われた
そんなときに立ち上がったのが親父達アルメッド一族と多数の獣人
当時のアルーン王国は獣人が多く住んでいたものの、そのほとんどが奴隷
実権は人間の一族が握っていた
これが『アルーン奴隷解放戦争』
結果、獣人が勝利した
これから獣人主体の国が出来上がる。そう信じて親父はアルーン王国の国王になった
でも、ただ全てが上手くいく。そんな都合の良い世界じゃない
アルーン王国の経済を支えていたのは何か、奴隷の売買とほぼ無償の労働力
こんな砂漠のど真ん中の国が生きていくためには奴隷という「金がかからない上に金を生む労働力」を売買して資金を得る方が合理的。既にアルーン王国は腐り切っていた
新しいアルーン王国になったことで、様々な問題が生じた
今まで考える必要が無かった労働者への賃金
最大の産業であった「奴隷売買」が断たれたことによる急激な資金不足
これによってアルーン王国はまた窮地に追いやられることに
そして、再び奴隷売買が始まった
国を動かすことに躍起になったのが今の親父
レガス「もういいだろ、アンタの世代は終わったんだ。奴隷だけじゃなく他にもやれることはある。当時は奴隷に頼るしかなかったんだろうな。でもその時代は終わり、アルーンでも新しい産業が発展してきた。これ以上奴隷商売を続ける必要はない」
それでもなお、過去の自分の判断が間違っていないと眼に映し親父は臨戦態勢を取る
レグルス「お前は分かってなどいない、躾が必要だ」
レグルスは一筋の光を宿した剣を掲げ、レガスめがけて突進する
レガス「既に、親父は俺の敵じゃない」
俺は親父の行動に応えるように、剣を出す
その剣は大地をも喰らい尽くす漆黒の竜の大剣
とは言っても、伝説の剣でも何でもないただのカッコつけた(世間一般では中二病扱い)鍛冶屋が作ったナマクラだけどな
瞬間、俺のナマクラと親父の剣が激突する
親父が素早い動きを見せるのに対し、俺は怒号の一撃を与える
そして、二人一斉に
レガス&レグルス「「【獣化】!!!」」
お互いのギアが上がる
それでも俺には届かない。剣技は俺の方が上だ
俺のナマクラが親父の剣を弾き、親父は無防備な状態になる
レグルス「ぐっ!?」
そのまま俺はナマクラを親父の喉に突き付け、勝利を宣言する
レガス「親父、いやレグルス・アルメッド。お前の負けだ」
第5回解説コーナーです!
少し空いてしまいましたが、変わらず続けます
今回のテーマは「この世界の時間」について
前提として、現実とこの物語の世界を区別するために名前を付けましょう
現実の世界を【現実世界】、この物語の世界を【魔法世界】とします
まず、現実世界は西暦という年単位の表し方を使っています。イエス・キリスの生まれた年を基準に西暦は決められていることは有名な話ですが(でも近年ではキリストの生まれの年とずれがあるとかないとか)、魔法世界にも暦があります。その名も「神暦」、一年は365日でうるう年とかは無し
現在は神暦1712年、文明レベル中世真っ只中。治安はかなり悪いです
以上、解説コーナーでした!次回もお楽しみに




