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魚意!


 海のすぐ傍にある港街<ドーシート>までの街道をひたすら歩いている俺達。

 歩いていると再び看板があり、確認してみるとドーシートに向かう道ともうひとつはドーシート海水浴場となっていた。


「海水浴場?!まさかの泳げるのか?」

「マスター!行ってみるのです!そしてダイブするのです!マーメイドになってやるのですぅぅぅ!!」

(妾も泳いでみたいのじゃ!)

「マーメイドにはなれないだろ…それに姫?お前泳げんのか?」

「駄猫は猫かきしてたらいいのです。ぷぷっ」

(しっかりと泳げるのじゃぁぁぁ!!犬かきなのは反論できないのじゃ…)

「後でちゃんと行くから、まずはドーシートに行こうな?」


 看板通りにドーシートに向かう道を進んでいくと海が徐々に近づいてきており潮の香りが俺の興奮を増加させて行っていた。

 そして街が俺達の目に入り、俺は走り出した。

「海だぁぁぁ!!街だぁぁぁ!!魚を俺に食わせろぉぉぉ!!雑魚は邪魔じゃ!消え去れい!」


 走りながらも現れたカエルの首を刎ね、消していっていた。


「マスターが壊れたのです…カエルの首を狩り、カニは焼き蟹にして…足の生えた魚を瞬時に3枚に下ろしてる…もう化け物なのです…」

(しかも走り続けておるしの…笑いながら殺しながら走るなんて、あれはもう人ではないのじゃ…あれは人の形をしたオーガじゃな)



「焼き蟹フェスティバルじゃぁぁぁ!!!カエルも焼き蛙にしてやんよ!!はーははは!!!」

 狐火に氷炎魔法の煉獄を使い、次々に現れてくるモンスター達を焼き尽くしていた。


 俺が暴れていると港町<ドーシート>のすぐ近くまで来ていた。


 港町<ドーシート>


 俺達は街の中に入ると直ぐにポータルに触れ登録をしておく。

 街の中は屋台が至る所にあり、キュリアと姫の腹の虫を刺激していた。


「マスターマスター!美味しそうな屋台がいっぱいなのです!お腹すいてきたのです!何処かでなにか食べる事を提案するのです〜」

(賛成なのじゃ〜さっきからいい匂いが妾を誘っているのじゃ〜ちみっ子と同じなのは癪なのじゃが…ご飯にするのじゃ!)

「お前たちは花より団子だな…まぁ確かにこの美味しそうな匂いにはやられるわな。とりあえず何処か店に入って飯にすっか」

「やったーなのです!」(さすが主なのじゃ!)


 1軒の店を見つけ店の名前を確認する俺達


 食堂<大盛りところてん>


「なんか嬉しいような嬉しくないような店の名前!ところてん好きな人には良いかも知れないけど!俺はところてんの大盛りは嬉しくねーよ!」

「マスターの好みはどうでもいいのです。さっさと中に入るのです」

(いちいち主は店の名前に反応するのはどうかと思うのじゃ…)


 席につき注文をし、料理が来るのを待っているとこちらを見ているプレイヤーを見つけた。

 人でも無く、獣人でも無く、エルフやドワーフでもないプレイヤーだった。


(なぁ2人とも…変なプレイヤーに見られてるのは気のせいかな?)

(私も気になってたのです…ずっと見られてるのです)

(妾の美貌に夢中なのじゃろ!)

((それはない!!))


 するとそのプレイヤーが近づいてきて話しかけてきた。


「少しよろしいかな?狐さん」

「あっはい。なにか御用で?」

「掲示板で有名になってる方に遭遇したら声をかけないとダメでしょうに。私は種族、魚人のきなこと言います。あっ…鱗が乾いてきた…すみませんが水を掛けてもらってもよろしいですかな?」

「えぇ…でも店の床が濡れてしまいますけど…」


 厨房の近くの席に居たので調理をしていたコックに全ての話を聞かれていた。

 コックが俺に声をかけた。


「彼に水をかけてあげてくれないか?床の事は気にしなくていいから。彼には新鮮な魚を届けてもらった恩があるから大丈夫だ!さぁきなこ!床に寝転がるんだ!」

「魚意!さぁ狐さん!たっぷりと水をかけるのです!そして煮込むのです!!」

「煮込むの?!出汁でも取れるの?!」

「ふむ…魚人の煮込みか…それは店では売れねーな」

(この2人はなんなのじゃ…)「謎の2人なのです…」


 魚人であるきなこにクリエイトウォーターでたっぷりと水を掛けてあげると鱗が潤い輝いていた。

 そんなことをしている間に注文していた料理が届き俺達はきなこを無視して食べ始めた。

 食後にはコックであるサクライがコーヒーをサービスしてくれてゆっくりとしていると再びきなこが話しかけてきた。


「狐さんにお願いがあるんでごわす」

「なんか口調が変わってますやん…んでお願いって?」

「私とフレンド登録をして欲しいのでやんす!」


 きなこがフレ登録を頼むとサクライも厨房から出てきて


「この魚がフレ登録するなら俺ともして欲しい!食材を持ってきてくれたらタダて飯を作るから頼む!」

「あっしとフレ登録すれば海の中を案内するでありんすよ?人魚と合コンもセッティングするでやんすよ?お得でやんすよ?」


 2人からのフレ登録を許可した俺はこの後この付近のエリアについて2人に聞いていた。

 魚人のきなこからは海のことについて、コックのサクライからはドーシートの先にある洞窟についての情報を貰ったシウは海の中に興味を持ったが水の中での行動手段が無いことにガッカリしていたら、きなこが


「スキルの水中行動を取るか私と同じ魚人になるかですぞ。水中装備を手に入れたら楽なのでやんすけど」

「…水中装備…聞きたくないけどアゲハさんに聞いてみるか…すっごく嫌な予感しかしないけどな!!」

「水の中に行くならいい素材をお待ちしてまーす。高く買取まーす」


 大盛りところてんから出て俺は一旦ログアウトをする為に宿屋に向かった。

 ログアウトをする前にアゲハに水中行動が出来る装備についてメールを送っていた。

 すると直ぐに返事が返ってきた。


『水中行動が必要なのね!任せて!キュリアちゃんは貧乳よね…うん。ワンピースタイプを用意しておくね!シウくんは…ブーメラン?ダメね…普通の水着かしら…よし!色々と考えて直ぐに用意するわ!ドーシートにいるのね?あとで届けるからまってて!』


「うわぁ…やる気満々だわ…」

「今は貧乳かもだけど…成長するのです!マスターを虜にするぐらいボンキュッボンになってやるのです!」

「うん、期待しないで待ってるね、うん」

(妾…妾のことが書かれてないのじゃ…無視されているのじゃ…動物虐待なのじゃぁぁぁ!!!)



 嫌な予感を抱えながらとりあえずログアウトをした。




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