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誰得?



 俺達は聖都に向けて歩いていた。

 しばらく歩いているとひとつの街が俺達の目に入ってきた。


「アゲハさん…あれが聖都です…か?」

「やっぱり初めて見ると驚くよね〜。あれだけ立派な教会が街の外からでもわかるんだもん」


 街の外からでも分かるほどに巨大な教会が見えているのだ。

 聖都<ケアノス>

 街の後方にある丘の上に教会本部があり、様々な神が祀られている。

 このケアノスはユーキング達の拠点でもある。


「シウくんは街に着いたらどうするの?キングの所にすぐ行く感じ?」

「まぁそうですね。アゲハさんも早く素材を見たいんでしょ?」

「よく分かってる〜。それなら私達のクランに案内するからついてきてね♪︎」


 聖都に足を踏み入れ周りを見ながら歩く俺達。


「マスター、あの屋台…美味しそうな串焼が…はぅ〜ヨダレが止まらないのですぅ〜」

(主!主!!あそこにはアイストロベリーのスムージーがあるのじゃ!)


 キュリアと姫は聖都の屋台の匂いにやられていた。俺もこの雰囲気に負けたのか、普段はあまり食べないアイスを買ってしまっていた。キュリアには串焼きを、姫にはスムージーを買ってあげていた。


「シウくん…このにゃんちゃんの言ってることわかるんだね…私には猫が鳴いてるようにしか聞こえないのよね…」

「んにゃ!んにゃにゃ!にゃんにゃんんにゃー!!(失礼なのじゃ!妾は立派な森猫姫なのじゃ!猫とは違うのじゃぁぁぁぁ!!)」

「うん、やっぱりにゃんにゃんとしか聞こえないわね…テイムしてるシウくんにしか聞こえないんだろうね〜」

「まぁ念話でしか話せませんからね。それよりここがユーキングのクラン…これって普通の家ですよね」


 案内された場所はごく普通の二階建ての家だった。


「ふふ〜ん♪︎中に入ったら驚くわよ〜。とりあえず出入りの許可は有効にしてるから今度からも自由に来ていいからねぇ〜」


 クランハウスは基本的にはクランのメンバーのみしか入れないのだが、クランのマスター、副マスターはクランメンバー以外のプレイヤーを指定して立ち入りを許可する事も可能なのだ。

 俺達はクランの中に入るとかなりの広さがある部屋が目の前にあった。


「ここは高級ホテルのロビーですか?てかなんでいきなりこんな広さになってんの?!さっきまで普通の家だったよね?!」


 部屋に驚いて居ると部屋の中に設置されているソファから1人立ち上がり俺に向かって声をかけてきた。


「やっと到着したか。我がクランハウスにようこそ」

「うわぁ…そのセリフ、ユーキングが言うと鳥肌立つぅ〜なんか似合わねぇー」

「少しはカッコつけさせろや!」


 ユーキングが俺達を迎えてくれたのだ。


「キング〜挨拶はもういいでしょ!シウくんを工房に拉t…連れていくからね!」

「アゲハさん…今、普通に拉致って言いそうになってませんでした?聞き間違えすっかね…」

「シウ…諦めろ…拉致られてこい!」


「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」


 アゲハに手を握られ強引にクランの中にある工房に拉致…もとい、連行されていった。

 その後をキュリアと姫が呆れながらついて行っていた。


 クランハウス内 工房<地獄の部屋>


「アゲハさん、なんでこんな名前の部屋なんですかね?!ガチで俺的に地獄の部屋に拉致られた気分ですけどね!」

「部屋の名前は私の趣味よ!」

「まぁ諦めろ、シウ。それより久しぶりだな」


 工房の中にはギンガムが既に居たのである。工房の中には扉が幾つかあり、それぞれの専用工房が設置されている。

 今現在俺達は工房の待合所(休憩室)に案内されていた。


「シウく〜ん、今回はどんな素材達が待ってるのかにゃ〜?お姉さんワクワクだよ〜」

「たまには俺にもお前の弓を改造させてくれよな!前回なんかアゲハとパンだけ強化しやがって…俺は除け者になってたんだぞ!だから今回は俺も絶対に改造すっからな!」


 俺はイベント中にドロップした素材達をアゲハとギンガムに見せ始めた。

 モドキの皮や雪那が暴れた時にドロップした素材、ストーンボア、コボルト、ロックスコーピオン達の素材、聖都向かう途中で現れた蛙、蟷螂、狼の素材、そして叢雲から貰った妖魔水晶をテーブルに置いた。


「かなりの量あるわね…それより!妖狐の毛皮なんて…激レアァァァ…」

「俺が使える素材が殆どねぇ…なんでだよぉぉぉ」


 2人は別々の意味で声を暗くしていた。

 アゲハは俺がまたレア素材を持ってきたことに呆れ、ギンガムは弓に使える素材が少なく落胆していた。


「あーと…ギンガムさんにはこれもあるんですけど…」


 シウはハシュマル鉱山で取れた鉱石を違うテーブルに出した。

 するとギンガムは数個の鉱石を手に取り声を掛けた。


「おいおい、シウよ…まじで属性鉱石を取ってきたのかよ!火属性の鉱石が4つもかよ…」


 ハシュマル鉱山では火属性の鉱石しか取れなかったが、ギンガムが言うにはそこまで奥に行かないで取れたこと自体が珍しいらしい。


「これなら魔弓に火属性が付けられるな!やる気出たぁー!」

「まだ隠し球があるんすけどね…」


 イベントの報酬で手に入れたアイテム交換チケットの事を2人に話した。


「それで装備とかに変えなくていいの?別に私達のことは気にしなくていいんだよ?ね?ギンガム」

「あぁ、そのチケットを使えば今より数倍いい装備になるんだぞ?素材と交換なんて勿体なくねーか?」


 アゲハとギンガムは俺に装備と変えることを勧めるが俺は首を頑なに縦に振りたくなかった。


「俺はこの装備が気に入ってるんです。だからお2人にこの装備を強化して行ってもらって最後まで使いたいんですよ。なので素材と交換でいいんです!」

「私達はその言葉が凄く嬉しいんだけど…キュリアちゃん達はそれでいいの?」


 アゲハは俺の横に座って居たキュリアと姫に声を掛けた。


「私たちは大丈夫なのです。マスターの装備を強くして欲しいのです!」(のじゃ!)

「キュリアちゃん達がいいって言うなら良いんだけど…」

「チケットは3枚有るんだよな?それならどうするんだ?アゲハで1枚、俺で1枚、残りの1枚はどうするんだ?」


 俺は普段から使っていたダガーを装備から外してテーブルにそっと置いた。


「そろそろこいつも強化してあげないと。俺の相棒ですからね」

「ダガーか、それならパンにしてもらうのがいいか。これでチケット3枚か、本当にいいんだな?」


 俺はアゲハとギンガムの要望を聞いて素材と交換をした。

 ダガーを強化してくれる半生パンは自身の工房で作業をしていた為、俺達と会うことは無かったのだがアゲハが事の顛末を詳しく半生パンに説明をメールで送っていた。直ぐに返事が来て欲しいものを送ってきたのだ。


 「これで全部強化できるな!残りの素材はどうするんだ?売るか?」

 「勿論です。使える素材は全部使って、余ったら換金でお願いします」

 「よーーーし!我が右手が疼き始めたぞ!我はこれから異空間に入る!シウよ!楽しみにしているだぞ!はーははははは!!!」


 アゲハは厨二キャラになり専用工房に入っていった。


 「出来上がったらまた連絡するから待っててくれな!」

 「了解です!暫くは聖都に居るんで…って、俺達の装備無くなったやん…狩りに行けなくね?」


 俺がふと思ったことを口に出した時だった。


 「シウくん!キュリアちゃん!貴方達の装備はこれよ!」


 アゲハが工房に入ったと思ったら勢い良く出てくると同時に俺とキュリアに服を渡してきた。


 シウ専用 学生服セット(ブレザータイプ)

 キュリア専用 白衣の天使セット(保健の先生タイプ)



 「ふざけんなぁぁぁぁ!!!これ!アゲハさんの好みだろうがよぉぉぉ!」

 「はわわわ!ミニスカートなのです?!こんなの私が着るのです?!恥ずかしのですぅぅぅ!!」




(妾のがないのじゃぁぁぁぁぁぁ!!!!!)





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