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狐さんと狐その⑤

 

 イベント2日目



 ログインした時刻は午前11時。すこし遅くログインした俺はキュリアと共に宿屋を出た。

 向かう先は教会である。残りの材料の聖水を貰うべく教会に向かっていった。

 教会に向かう途中、屋台で串焼きなどを買って早めの昼食にしていた。

 腹ごしらえを済ました俺達は目的である教会に向かった。


<教会>


「死に戻りした時以来だな…さてと…聖水はどこで手にいれたらいいんだ?」

「どこでしょう?とりあえずそこにいる方に聞いてみるのです?」


 近くにいる1人の神官に声を掛けた。


「あの…聞きたいことがあるんですけど…」

「なにか御用ですかな旅人よ」

「えっと…聖水が欲しいんですが…」

「ふむ…ならまずは神にお祈りをするのです」


 俺達は教会に飾られている銅像の前に行き立ち止まる。


(祈る言われても…どうやってすればいいんだよ…)

(マスターのやりたいように祈ればいいのです!)

(俺のやりたいように…)


 俺は神社でお参りするように手を合わせ頭を下げた。


(シウ様〜来ましたよ〜!声だけですけど!!)

(ディーネ?!なんでいきなり?!)


 祈っている最中に頭の中にディーネの声が聞こえたのだ。


(あまり時間がないので簡潔にお伝えしますね〜)

(えぇ…まぁ聞くけどさ…)

(ココ最近変な動きをしてる人たちが居るみたいだから気をつけてくださいね〜特にキュリアちゃん!光は闇に弱いけど…闇を払う力もあるから飲まれちゃダメよ!あとシウ様!なにがあっても我を忘れないように!気を強く持ってくださいね!)

(はいなのです!闇なんかに負けないのです!)

(気を強く…わかったよ)

(もうお時間なのでまた機会があれば会いましょうね♪それでは〜)


 ディーネの声が無くなると俺達は顔を上げ呆けていた。すると神官が声をかけてきた。


「無事にお祈りが終わりましたね。聖水でしたね、お渡ししても宜しいのですが…お布施の方をお願いしても?」

「あー、お布施ね…」


 シウは5,000Gを神官に渡すと聖水を渡してくれた。


「あなたに神の御加護があらんことを…」


 教会を後にし師匠の工房に移動し始めた。

 移動しながらも先程のディーネの言葉について考えていた。


「マスター?先程の事を考えてるのです?」

「まぁな、ディーネは湖でも言ってたろ?黒き力とか…昨日現れた奴が使ってたスキル…になるのかな?あれが多分黒き力とか言うのかな…それにあのオーガ、掲示板で調べたけどあんなオーガは載ってなかったしな」

「でも昨日は忍者さんに助けられたのです!あの人が居なかったら私たちはやられてたのです!」

「確かにな、とりあえずお礼のメールはしておいたから返事が来るだろうよ。このイベント絡みじゃないよなぁ…あの黒ローブ達は」

「考えても一緒なのです!まずは目の前のことをするだけなのです!」

「だな。とりあえず解呪アイテムを作って狐の所に戻らないとな!急いで工房にいくぞー!」「はいなのですー!」



<森の隠れ家>工房


「師匠、素材全部揃ったけど…あっ、巣から蜜取ってないや」

「巣のまま持ってきたのかい?!ボムビーに襲われたろうに…この子は」

「え?巣から蜜を取り出すんじゃないの?だからそのまま持ってきた方がいいと思ったんだけど?」

「巣を少し削れば蜜は出てくるさね…まぁ巣ごとなら光蜜が大量に取れるから他にも使えるからいいさね…」


 師匠は巣ごと持ってきた俺に呆れていたが他のアイテムの素材にもなるので結果オーライであった。


「早速その巣から蜜を取り出すさね。少し削ったら出てくるからポーションの空き瓶でいいからその中にいれるさね」


 言われた通りに巣をダガーで傷を入れるとそこから光る蜜が垂れてきた。

 素早く空き瓶を近づけ中に入れていった。


 光蜜 レア度6


 これで解呪アイテムの素材が揃い、錬金シートを取り出し3つの素材を置く。


「後は錬金するだけさね、ほれ早くするんだよ。時間がないんじゃろ?」

「わかってるよ。ふぅ…錬金!」


 錬金が終わると錬金シートの上には薄く光っているアイテムがそこにはあった。


 聖なる気つけ薬 レア度6

 呪いを解く薬。

 聖なる光がその者を包み込むだろう。


「これであの狐が助けられるかもだな!」「なのです!」

「出来たようだね。ほら、早くいってあげるさね。もしこの気つけ薬が効かなければ呪いを掛けた者をどうにかしないと行けないからね」

「おっけ!師匠ありがと!行ってくるよ!」「行ってくるのです!」


 俺達は工房を出ると直ぐに走り出して西の森に駆け出した。



<西の森>


 道中出てくるモンスターを蹴散らしながら進み、長が居るボスエリアにたどり着いた。


「あと少しだな。さっさとここを抜けて狐の所に行くぜ!」

「駄犬なんかあっという間に終わらせるのです!」


 ボスエリアに踏み入れると、何時もなら長が居るはずなのに今回は何故か違うモンスターが座っていた。


「ん?いつもの長じゃないぞ?あれは...」

「駄犬じゃなくて猫ですの!マスター!こんな所に大きな猫が居るですの!」


長がいるはずの場所に巨大な猫が居た。うん、猫。


「まさかのイベント限定ボスか?それにしても...狼じゃなくて猫...」

「可愛いですのぉ〜」

「とりあえず鑑定してみるか」


鑑定の結果がこちら!ばばん!


森猫姫 Lv20


「狼が猫に変わってるだけやないか!そしてまた姫かよ!」

「マスターは姫に好かれてるのです...マスターに這い寄る姫種は私の穿き丸で...ふふふ」

「キュリアさん?!怖いよ?まじで怖いからやめてくれます?!ヤンデレちゃんなのかな?!とりあえずやることはいつもと同じで!」

「了解なのです!」


俺はすぐ様弓を構え、キュリアは白兎を手に持ち光の翼を展開させ空に飛び出す。

 姫がゆっくりと立ち上がると同時に俺は姫に向かって矢を放つ。


「付加火からのインパクトショット!周りの雑魚は邪魔だ!」

「突貫ですのぉぉぉぉ!!」


 インパクトショットは見事に姫に当たり爆発を起こし周りの配下である森猫達を巻き込み、その間にキュリアは上空から白兎で姫を刺し下りる。

 剛一閃を放ち残りの森猫を全て光に変えた。


「影縫い!クイックショットのパワーショット!そしてアクアランス!」

「槍はダメダメなんですから私の役目なのですよ!!乱れ付き!!」

「ダメダメ言わないでぇぇぇ!それはボムビーの時だけだからぁぁぁ!!」


俺達の連撃を受けた姫は残りHPは残り僅かになっていた。


「すまんな新しい姫さんよ、早く先に行きたいから倒させてもらうぜ…本当ならスルーして進んでも良かったけどポイント稼ぎもさせて貰うぜ!」

「ポイントうはうはなのです!」


 俺が弓を構えた時だった。


「んにゃ?!んにゃ!んにゃぁぁぁん!」

「んなぁ?!また話しかけてきた?!お前…姫なのか?」

「駄猫が何をマスターに話しかけてるんですか!お腹見せて服従ポーズなんかして!猫吸いしちゃうのですよ!」

「んにゃ...にゃ...にゃー」

「えと…なんて言ってんだ?この猫姫さんは。キュリアわかるか?」

「全くわからないのです!」

「だよな〜。とりあえず...珍しいからテイムしてみるか!」


とりあえずテイムをしてみると見事に成功してしまうという。


「おぅ...テイム出来たんですけど...エリアボスでしかも姫で更にダメ押しでイベント限定だよな...このお猫様」

「テイムした瞬間にマスターにじゃれつくなです!この駄猫ぉぉぉ!!」

「んにゃーん!んにゃんにゃおーん!(お主の強さに惚れたのじゃ!だから付いて行きたいのじゃぁ!お願いなのじゃぁぁ!)」

「この…駄猫がぁぁぁ!!発情してんじゃねぇですぅぅぅ!!マスターの足に絡み付かせてる尻尾を刈り取ってやるですぅぅぅ!!!」

「んにゃぁぁん!(うるさいのじゃ!この羽ちみっ子がぁぁぁぁ!!)」


 キュリアと猫姫は臨戦態勢になっていた。キュリアは槍を構え、猫姫は飛びかかろうとしている。


「俺を置いて2人の世界に入るの辞めてくれない?!最近のキュリアさん暴走気味だよ?!お猫様も落ち着こうか?!そして念話が出来てるし!」

「んにゃーーん!(これから主の為に頑張るのじゃ!)」

「うーん...これからは仲間なんだからキュリアとお猫様は喧嘩するなよ?」

「そこは了解とは言えないのです!」(そうなのじゃ!)

「こんな時は息が合うのね…まぁいいや…」


 先程から俺の目の前に画面が現れており、お猫様のステータスをじっくりと見ることにした。



『名前を決めてください』Lv10

 種族:森猫姫


 HP:250

 MP:100


 STR:32

 VIT:25

 INT:10

 MND:22

 AGI:40

 DEX:6


 スキル

【魔爪】【噛み砕き】【金剛】【空き】【空き】

 固有スキル

【疾風】【雷装】


「とりあえずスキルは後で決めるとして名前だな」

「駄猫でいいのです!」

「んにゃ!(可愛い名前にするのじゃ!)」

「うーん…もう姫で良くねーか…考えるのもめんどいし...」

「んにゃぁぁぁん!(お姫様なのじゃぁぁぁ!主のお姫様になるのじゃぁぁぁ!!)」

「高速で周りを走るなですぅぅぅ!!!さっきからばしばし尻尾が当たってるのです!意外と痛いのです!」

「もうめんどくさいからそのまま姫で決定な。おてんば姫だけどな」

(お姫様なのじゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!)



 んにゃぁぁぁぁん!!!!



 森には姫の遠吠えが鳴り響き他のプレイヤーを怯えさせたのだが、この時2人と1匹は知らなかった。




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