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狐さんと狐その④

 


<フィノス湖>


 夜のフィノス湖は神秘的な雰囲気を演出していた。

 空には月が輝き、水面を月明かりが照らしている。湖の上には光の翼を広げて佇んでいるキュリア。

 湖はキュリアのステージになっていた。槍を空高く掲げゆっくりと演舞を行う…





「キュリアさん?遊んでないでこっちを手伝ってくれないかな?!夜のモンスター出てきてるんですけど?!梟さんがわんさか来てるんですけど?!痛い!梟の癖に魔法使ってきやがった!」


 俺1人でモンスターと戦っているんです。湖はセーフティゾーンではなく普通のフィールドなので当然モンスターは出てくる。

 3羽の梟に遊ばれている俺。


 マジカルオウル Lv15


 矢を放つが飛んで躱され魔法を被弾してしまう。


「私の邪魔をしないで欲しいのです!月が…月が私を呼んでるのですぅぅぅぅ!!!」

「気のせいだろよ!お前の気の所為だろよぉぉ!頼むから戦ってくれよ!」

「仕方ないマスターですね…やれやれです…」


 光の翼を羽ばたかせ、俺の元に向かうキュリアは梟に羽を飛ばし牽制をする。

 その隙にロックオンして素早く矢を射る。

 俺達の連携で難なく梟を倒し、目的である月詠草を探して回る。


「マスター?月詠草ってどんなのか分かってるのです?」

「……どんなのだろうね!多分光ってたりするんじゃないかな!!」

「調べもしないできたのです…この後北にもいくのですよね?ここで時間を取られるわけには行かないのですよね?なのに…調べてないなんて…」

「キュリアだってさっきまで遊んでたよね?!同罪だよね?!」


 ぎゃーぎゃー言いながらも鑑定を繰り返し使って生えてある草たちを調べていた。

 探している最中も蛙や梟に襲われながらも2人は調べていた。

 ふとある所に目がいく。

 1箇所だけ月明かりが照らしている場所があったのだ。

 照らされている場所に向かうとそこには1つの花が咲いていた。俺はすぐさま鑑定をしてみると


 月詠草 レア度7

 月が満ちる時、花は咲き誇る。



「あったぁぁぁ!!これで1つ目GET!すぐに回収して北に行くぞ!キュリ…ア?」


 後ろを振り向くとキュリアは何者かと対峙していた。


「…光は消えるべき…この世は混沌で埋め尽くすべき…光は消えるが良い…」

「なんなのです!いきなり現れたと思ったら暴言ですか!私は消えないのです!」


 謎の人物は以前、東の森で見た人物と同じ黒いローブを身にまとっていた。

 槍を構えるキュリアに対し謎の人物は右手だけを前に出してこう呟く。


「『カオスゲート』オープン…」


 キュリアの目の前に禍々しい門が現れ、ゆっくりと門の扉が開かれる。


「キュリア!下がれ!」「は、はいなのです!」


 門が開かれそこから一体のモンスターが現れた。


 ブラッディオーガ Lv53


「おいおい…こんなの勝てるわけねーだろ!逃げるぞキュリア!」

「了解なのです!」

「影縫い!キュリアは結界を自分に張っておけ!」

「でもマスターが危ないのです!」

「俺より自分の命を大事にだ!くそ!もう解けやがった!効くかわかんねーけど…麻痺の矢!」


 麻痺の矢が紅黒い皮膚に刺さるが麻痺にはならなかった。攻撃を受けたことによりブラッディオーガは狙いを俺に定めたのだ。

 走り出して追いかけてくる。巨体にも関わらず速く走り出して距離を縮めてきた。


「デカブツのくせに速い?!アースストーンでも食らっとけ!」


 走りながらもアイテムボックスからアースストーンを取り出し投げつけるが、ブラッディオーガはノックバックせずに走り続けている。

 キュリアも光の翼の羽で応戦するが全く歯が立たない。近付こうにも結界の効果が切れているせいで近寄りがたかった。

 俺との距離が縮まって来た時、ブラッディオーガは右手に持っていた斧を振り上げ斬りつけてきた。

 当たる距離では無かったが振り下ろしてきた際、衝撃波が飛んできたのだ。


「くっそ!あんなの避けきれるかよ!衝撃波だけで半分も持っていかれるのか…やべぇなこりゃ…逃げ切れる自信が無くなったわ…」


 半分諦めかけていると、ブラッディオーガが追いつき斧を振りかぶる。

 俺が死に戻りを覚悟したその時、


「させないでござるよ!!狐さん!今のうちに逃げるでござるよ!今の狐さんでは無理でござる!早く!」


 1人の忍者が突然現れ、ブラッディオーガの攻撃を防いだ。


「え?え??なんかよくわからんけどありがとうございます!」「なのです!!」

「気にする事はないでござるよ!ここはオイラに任せて早くいくでござるよ!」

「あざす!直ぐにフレ登録だけ送っておくんで今度お礼させてください!すみません!」


 俺は忍者にフレンド登録を送り、すぐ様走り出していった。


「むふ…後をつけていたらこんなラッキーがあるなんて…掲示板のみんなに自慢出来るでござるよ…ぐふ。それよりこのオーガを倒さないとでござるよ」


 忍者とオーガが戦い始めた時、謎の人物は姿を消していた。


 俺達はフィノス湖を後にし、次の素材がある北に向かっていた。


「さっきの人はなんで助けてくれたんだろな?それに俺のことを知ってた感じだしな」

「でも助かったのです!あのままだったら確実にやられてたなのです…」

「だよな〜ギリギリなんとかフレ登録送れたから名前も分かったし、メールも送れるからゆっくり出来た時にお礼をちゃんと言わないとな」

「そうするのです!次は光蜜を取りに行くのです!」

「北のどの辺にあるんだろ…ボムビーの巣だったよな?」


 2人はアインスドットに戻り北門から北エリアに向かった。


<鉱山へと続く道>


 夜の北エリアにはリザードマンに大きな蜥蜴(ラージリザード)が現れ、ロックビーストはただの岩に変わっていた。

 リザードマンの頭目掛けてインパクトショットを放って爆散させ、ラージリザードはキュリアが槍で串刺しにして倒していた。

 歩いてボムビーを探していると岩壁が目に付きふと上を見上げると何かの巣を見つけた。


「…キュリアさんや、あれって…あれかな?」

「多分そうだと思うのです!マスターの跳躍でも流石にあそこまで届かないです?」

「まず無理だな、高すぎる!ビルの6階ぐらいの高さまで飛べねーよ!どうするか…」

「私が飛んで取ってきますです?」

「1回だけやってみていいか?やってみてダメだったらキュリア頼むわ」

「了解なのです!」


 跳躍でジャンプをするではなく、魔弓を手に取って木の矢を取り出した。


「あの巣にロックオン…横から狙うは壁ギリギリ…上手く行きますよーに…っし!」


 木の矢を射ると岩壁に張り付いていた巣の間に刺さり、それにより岩壁から巣が剥がれ落ちた。


「よっしゃ!上手くいった!キュリアキャッチ!」「はいなのですー」


 キュリアは落ちてくる巣を光の翼を展開させ上空で見事にキャッチした。その巣は巨大であり、キュリアと同じぐらいの大きさをしていた。


「デカすぎだろ…キュリアもよく落とさずにキャッチしたな…」


 巣を鑑定してみる。


 ボムビーの巣 レア度5


「よし!巣をGETだぜ!あとはここから光蜜を取り出し…て?」


 上空からなにか音が鳴り始め、俺は上を見上げると10匹の巨大蜂が旋回をしていた。


 ボムビー Lv20


「…キュリアさん…」

「マスター…」

「「逃げるぞ(です)ーーー!!」」


 俺達は来た道を走って戻っていった。

 しかしボムビーは逃げる俺たちを追いかけて飛び始めた。


「追いかけてきたぁぁぁ!!いやぁぁぁ!!ファイアストーン!アイスストーン!ウィンドストーン!!」「ライトボール!ライトボール!ライトボール!光の羽!!」


 逃げながらも攻撃をしたことにより半分以上は駆除に成功したがまだ数匹残っており、執拗に追いかけて来ている。


「よし数が減った!また逃げながら攻撃するぞ!水魔法も新しい魔法が使えるようになってたから使うチャーンス!アクアランス!」


【水魔法】アクアランス 消費MP10(20)

 水で出来た槍を放つ。


 水の槍はボムビーに刺さりはするが効果はそれ程無かった。


「おぅふ…水に強いのかよ…意味ねぇ…」

「マスターの槍はダメダメなのです!私の穿き丸の方が強いのですぅぅ!!せいっ!」


 キュリアは光の翼を展開させたまま反転して、そのまま白兎をボムビーに突き刺し光に変える。

 その後もキュリアが残りのボムビーを倒し、無事に巣も手に入れた。


「キュリア無双やん…でもそのお陰であとは聖水だけだな。街の教会に行けば買えるみたいだから街に戻りますかね」

「ゆっくりと休みたいのですぅ…疲れたのです」

「だな。戻ったら宿に行っておれもログアウトしないともう日にち変わってるしな…」


 俺達はアインスドットに戻り宿に向かった。



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