5年前に作ったパスワードは忘れた
「だから、あれほどパスワードはメモを取れと……」
そんなお小言言われても。
ブーとむくれてそっぽを向く。
「だって……」
そう、だって、だ。
「だってじゃない」
殴られた。
「DVだ！」
「躾の間違いな」
「懲戒免職されてしまえ」
「お前の世話しなくて良くなるとか、褒美かよ」
「育児放棄？ ね、ね、ね……」
「ネグレクト」
「それ。正解！ よく出来ましたで賞」
「パスワード思い出したらお前にも進呈してやるから早く思い出せ」
「だってさぁ……言ったじゃん」
パスワードを覚えやすいように揃えるとセキュリティが甘くなるから、重要なのは分けろ。
そして、漏洩対策でメモは別に用意しろ。
「そしたらメモ無くすに決まってるし」
「お前ほんとお前ぇ……」
「全部おなじにしたら忘れないのに。私、悪くなくない？」
「じゃあ誰が悪いんだ」
「私以外の誰か」
「あの時、お前の戯言に付き合った俺を殴りたい」
「何か言ったっけ？」
「『恥ずかしいから内緒。私がちゃんとするから！』とか言ってたな」
「辱めを受けた私は悪くなかったね？」
「お前を少しでも信じた俺が馬鹿だった」
「ドラフトミー」
「トラスト。誰から指名受ける気なんだお前は」
「プロポーズされたしー」
「くっ……」
しかし、恥ずかしいから内緒、ねえ？
恥ずかしかったっけ？
「あ」
「思い出したか？」
「うん！ 私、恥ずかしくないのが恥ずかしいから内緒にしたかったんだ！」
「そっちじゃねえし！ そんな事も今更聞きたくなかった！」
「照れる」
カタカタとキーボードでパスワードを打ち込む。
───827182と
「何だこの数字」
「パスワード」
「……それで中身はちゃんと残ってるんだろうな」
「そこは任せて。ちゃんと盗撮したから」
「ちゃんと盗撮」
「許可取ったし。あなた以外に」
プロポーズされたシーンだし。
別にいいよね？
アレから5年も待ったし。
「絶対逃がさない」
「逃げてたのお前だけどな！？」
「やっぱり恥じらいは必要かなって。好き避け？」
「今からでも捨ててやろうか」
「私を押し倒した非公開映像もあるよ？」
「は？」
「私初めてだったのに……絶対証拠残してやろうと思って」
「出せ」
「パスワード忘れた」
1000文字は少ない(笑)
気づいたら倍も文字使っててびっくりした。
スリムにする方が大変w
中身はあってないようなものですがクスッとして貰えれば幸いですm(_ _)m
ドラフトミー！
