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一二〇話 長い長い回り道の果てに


 赦すとも赦さないとも、人々は明らかにしなかった。

 沈黙。それが答えなのかもしれない。

 オクリーは思う。本当にヨアンヌの振る舞い次第なんだろうな、と。


 サレンはすっかり怒気を散らしたようだ。彼女なりに何か思うところがあったのかもしれない。


「ヨアンヌ・サガミクスは我々が常に監視しておく。万が一にも皆には危害を加えさせないと約束しよう」


 身の安全について付け加えて、民衆に納得を与える。ヨアンヌにチャンスを与え、今後どうするかは民が決定する。万が一にも有り得ないだろうが、仮にヨアンヌが再度裏切るようなら、二度とチャンスは与えられない。先刻のような聖火が与えられる。

 これでヨアンヌの処遇についてとやかくいう声はしばらく収まるだろう。


 オクリーは泣きじゃくるヨアンヌの小さな背中をしきりに撫でていた。やはり、小さい。細い。今はどこか頼りない。

 彼女を一番近くで支えてやれるのは自分だけだ。今度こそ絶対に間違えない。オクリーは決意を改めた。


 しかし、セレスティアが地下に下りてこなかったら、どうなっていたのだろうか。

 オクリーが口を出しても「誰だお前」と無視されるのが目に見えていたので、充分な権威と人心掌握に長けた彼女が助け舟を出してくれたのは幸運だったという他ない。


 このタイミングで、セレスティアとノウンが下に聞こえないよう密かに会話を行う。


「サレン様、他の五人も全員無事です。ジアターはしばらく動けそうもないですが……残りの幹部は兵士達と協力して、残党狩りと現状復旧を行っています。安全確保は時間の問題かと」

「分かった。君の口から民を安心させてやってくれないか」


 サレンはセレスティアの登場によって意志を曲げさせられた。今、民衆の心に響く言葉を与えられるのは、どちらかと言えばセレスティアだろう。

 セレスティアは地下に敷き詰められた人々に語りかける。


「皆さん、聖都サスフェクトはアーロス寺院教団の大規模な襲撃こそ受けましたが、民間人の死者は今のところ確認されておりません! そして――憎き幹部スティーラ・ベルモンドは死にました! ヨアンヌ・サガミクスの協力もあって、ここにいるオクリー・マーキュリーが彼女を倒したのです!」


 ここで初めて、民衆にオクリーの名が伝わった。ヨアンヌの背後にいるのは誰だという空気があったのも追い風となり、これまでの注目を一身に浴びる形になる。

 賞金目当てに指名手配書を熱心に眺めていた者などは彼の正体を察したが、そのオクリーがヨアンヌと協力しスティーラを倒したとあれば更に気を惹かれるものだ。それに、幾万人もの正教徒を殺戮したスティーラを排除したという事実に度肝を抜かれた。


 スティーラを倒したオクリーとは何者なのか。正教にとっての新たな兆しになるのか。民衆は固唾を呑んでセレスティアの言葉を待つ。


「彼は魔法使いではありません! 皆さんと同じように特別な力を持たない、ただの人間です!」


 ただの人間(・・・・・)。魔法使いでもモンスターでもなく、ただの人。その属性が思わぬ効果を発揮し、人々の心に浸透していく。


 サレンやポーメットに代表される魔法使いは、強大すぎる故に民から畏怖されている。畏怖は個性の尊重や共感とは程遠く、深く交流のある者以外からは人ではなく『神威』が人格を帯びたモノとして見られることすらあった。

 オクリーは無力だから意味があった。ただの人間がスティーラを討ち取り、民衆の被害を皆無に抑え、聖都を守り抜いたと、権力ある魔法使いが認めたことに強烈な意味があった。


 アーロス寺院教団との戦いで、人々は家族や知人友人を理由もなく亡くした。或いは、洗脳されて敵になった。死屍(ゾンビ)となって牙を向いた。孕み袋の素材にされた。食材に変えられた。

 正教兵や魔法使いの到着を待たずに壊滅した集落があった。あと一歩間に合わず犠牲になった者達がいた。


 だからこそ(・・・・・)、兵士でもなく魔法使いでもない一般人のオクリーは、この宗教戦争の新たな英雄像となり得る。

 ヨアンヌのやりたかったことは、それだ。

 人々を熱狂させ、唯一神や魔法使いとは別の形で崇拝させ、神話を見出してもらいたかった。ただの男を英雄に仕立て上げ、聖都襲撃を盛大な演出にして印象づける。そうすれば、オクリーは宗教戦争において人々の願望の中心に据えられるだろう。


「オクリーは勇気を以て強大な敵に立ち向かいました! そして、勝った! これからは、やられてばかりの我々ではいけません! 全ての人間が力を合わせて戦いましょう! オクリーに続くのです! 真の平和を実現するために!!」


 肩書きや背景(バックボーン)は印象付けの際に多大な効果を齎す。魔法使いではダメなのだ。兵士ではダメなのだ。普通の青年がやったという印象付けが完了すれば、民衆が尾ひれをつけて勝手に話を大きくしてくれる。何なら、こっそり噂を流してやってもいい。

 “大陸随一の宗教国家で執り行われた聖祭にて、カルト教団の襲撃を返り討ちにし、結果的に観光客の死者をゼロに抑えた英雄がいる”――という風説が流れたなら、国内外からオクリーは賞賛の嵐だ。現状、この風評は九割方真実。あとは演出の如何で人々の熱狂具合は変わってくる。


「……オクリーを生かすための条件が、たった今揃った……」


 ヨアンヌが呟く。彼女の理想の世界に必要なのは『正教の勝利(邪教の撃滅)』と『オクリーの生存』という二つの条件である。

 まさか、ヨアンヌではなくセレスティアが後押ししてくれるとは思いもしなかった。ひょっとすると、セレスティアが洗脳されて闇堕ちしたことすら功を奏しているのかもしれない。


 人々の心の中でオクリーという存在が急速に大きくなっていくのを感じる。


「いいぞ、オクリー・マーキュリー!」

「オレ達も続くぞぉ!」

「信じらんねぇ……俺らみたいな人間でも魔法使いを倒せるのかよ……!」

「うおおおおお! オクリー! オクリー!」


 人の波が揺れて、オクリーに向かって手を伸ばす。

 満身創痍のオクリーは呆気に取られながらも、ヨアンヌに支えられて身体を起こす。


「俺、何か言わないとダメな雰囲気か……?」

「気の利いた一言を頼みますよ」


 セレスティアが含みのある口調で言う。やれやれと肩を竦めつつ、オクリーは腹の底から声を振り絞った。


「――俺の名前はオクリー! 先の発言の通り、何の力も持たないただの人間だが、スティーラ・ベルモンドにとどめを刺した!! この世界に混沌を齎す邪教徒共を、これ以上野放しにしてはおけない!! アーロスを倒すために、皆の力を貸してくれ!!」


 雄々しい歓声が湧き上がる。人々は見知らぬ者と肩を組み、或いは拳を突き上げて叫ぶ。


 この瞬間を以て、『英雄(オクリー)』の虚像が打ち立てられた。

 それはまるで、かつてのオクリーが縋りついていたアルフィー・ジャッジメントの如く――





「現状復旧が終わったようです」


 セレスティアがそう告げたのは、地下演説を行ってからたった四時間後のことだった。

 現状復旧とは、災害等の外的要因によって破壊された建造物や街並みを元の状態に戻すことである。応急処置ではあるが、人が暮らす分には問題ない程度の状態には戻ったらしい。


「そんなに早く壊れた街並みが元に戻るのか?」

『破壊が奴らの十八番なら、再生は我らの十八番というわけじゃ』


 地下都市の一角にて、植物の根茎を通じて元気な声を響かせてくるノウン。彼女は地上で建物の復旧作業に汗を流しているらしく、音声出力口となっている花弁が元気に開閉を繰り返している。


『とはいえ、全てが元通りというわけにはいかん。わらわの植物はガワ(・・)を元に戻しただけに過ぎんからのう』

「家財等は正教ができる限りの補填を行います。ノウンの植物はあくまで応急処置……復旧事業にもいち早く着手しなければなりませんね」


 セレスティアがそう言うと、異形の植物に覆われた地下都市を見下ろす。眼下では兵士達が市民の誘導を行っている。

 恐るべきことに、『幻夜聖祭』は翌日から再開の見通しだ。宿屋や飲食店の経営者はいち早く持ち場に戻り、商売を再開するつもりらしい。

 実際、被害を受けたのは聖都北部がほとんどで、それ以外のエリアはノウンの言う応急処置で事足りるレベルのものだった。


 避難の混乱で軽傷を負った者が数百人ほど出たが、治癒魔法をかけてやればすぐに動ける容態の者ばかり。ノウンの操る植物で削られた道をコーディングし、失った街並みを再現してやれば、本当に何もかもが元に戻ってしまった。

 この地下都市は、再生のための練習台という意味もあったのかもしれない。ただの避難所を作るだけなら、植物の摩天楼を作る意味なんて無かったはずだから。


「この地下都市にも使い所が沢山あるでしょう。ただの避難所として封じておくには勿体ない出来ですよ」


 地上に戻っていく市民達の顔色は、どこか夢うつつだ。特に外国から来たと思しき観光客。まあ、無理もない。地上で邪教徒の襲撃があった間、彼らは地下都市に誘導されて屯していただけなのだから。

 敵の姿を見た者はほとんどおらず、死者もなく、しかも半日も経たずに事態が収束したとあれば、本当に邪教徒の襲撃があったのかという疑念すら生じてしまうかもしれない。


 ただし、そんな薄ぼけた感覚を抱くのは民間人に限っての話。

 正教兵は多大な被害を被っていた。


「……そうか。壁外で戦っていた者達は、ほとんど逝ってしまったか……」


 サレンが細々と呟く。

 聖都の外でポーク・テッドロータスと戦っていた対邪教徒部隊は半数以上が死んだ。エヌブランが駆けつけなければ間違いなく全滅していただろう。

 せめてもの救いは、エヌブランとジアターが死屍の軍勢を消し飛ばしたため、その亡骸を弄ばれることがなくなったことだろうか。


 合流したマリエッタは、わんわんと泣き喚いている。

 ダロンバティが戦死したという。マリエッタを身を呈して守り、アプラホーネの魔法に消し飛ばされた。遺体すら残らず、即死だった。戦いが落ち着いて冷静になった途端、マリエッタはその行為の凄絶さに感情がぐしゃぐしゃになってしまったようだ。


 彼の親友ホセは何も言わない。覚悟はしていたが、いざ親友との別れに直面すると何も発することができなかった。

 ポーメットは「剣に長けた優秀な男だった」と短く男を評した。

 マリエッタは命を賭して護られるのが二度目になる。普段から狂乱じみた癇癪を起こす性質故に何かと茶化されがちだが、その心労は計り知れない。


「メルチェとゴッラムも死んだそうだ」


 聖都に先んじて潜入していたホイップ=ファニータスクを殺害する際、臨時的にチームを組んだ面々も、勇敢に戦って散った。

 伏蟲隊に引けを取らない優秀な兵士がどれだけいるだろう。そういった意味でも精鋭の喪失は痛手だった。


 数々の報告を聞いていたヨアンヌは、どういう反応をすれば良いのか分からずに、服の裾をぎゅっと握り締める。ここでオクリーに縋り付くのは違うと思った。


「アタシのことを恨んでいるか?」

「当然だ」

「……そうだろうな」

「民衆はああ言ったが、私からすれば到底許せるものではない。貴様を今すぐ灰にしてやりたいくらいさ」


 サレンはそう言いながら、感情の読めない瞳でヨアンヌを見つめる。


「私の評価を覆してみせろ」


 言い残して、サレンはヨアンヌの隣をすり抜けて地上へと戻っていった。

 ポーメット、クレス、セレスティア、ヨアンヌ、オクリー達は、地下都市の一角で沈黙した。


「……生まれも育ちも環境も、何もかも人によって違います。真の意味での相互理解はきっと不可能なのでしょうね」


 ヨアンヌを赦す空気を作り出した発端とも言えるセレスティアが切り出す。


「ただ……分かり合おうとする努力は無駄じゃありません。言葉を尽くして想いを分かち合うことも……。そうでしょう、ヨアンヌ。わたくしの心を裏切らないで下さいね」


 静かで、重々しくて、どこか薄ら寒いような、心の内を探るような……不可思議な空気が場に満ちていく。気心の知れた仲間の中にヨアンヌが混じるだけで、妙な風が流れた。

 その気まずさを嫌ったか、クレスが今後について口火を切る。


「しかしまぁ……これで聖都襲撃は一件落着なんだよな。これからどうやって邪教徒を追い詰める?」

「それについてなんだが……アーロス寺院教団は月蝕の際に幹部を補充することができるんだ。だから、その前に奴らを根絶する必要がある」


 オクリーが明瞭に答え、クレスは肩を竦める。


「どうやって?」

「良い考えがある」


 返す刀で、青年は告げた。


「『メタシム奪還作戦』――それに伴う移動要塞化計画だ」


 セレスティアを筆頭として、魔法使い達はぎょっと目を剥いた。


今まで(・・・)正教が(・・・)されてきたことを(・・・・・・・・)そっくり(・・・・)そのまま(・・・・)返してやるんだ(・・・・・・・)。中々のアイデアだと思わないか?」


 ――幹部爆弾はオクリー。失った左腕の先に魔法使い達の肉片をつけ、聖地メタシムで起爆する。固められた防衛網を掻い潜って、八人の魔法使いが闇の聖地に降臨。大混乱の中、アーロス共々魔法使いを討ち取って戦争は集結する。

 防御不可、対策困難の奇策をブチ当てるのだ。スティーラ死亡、ヨアンヌの裏切りもあって、邪教対正教の魔法使いの数は五対八。圧倒的優位で敵を叩き潰すことができよう。


「オイオイ……そいつぁ、ヤベェな……」


 クレスが身震いする。隣のポーメットは瞠目したまま、強く聖剣の鞘を握り締めている。セレスティアは顎に指を当てて思案顔だ。


「――なるべく早いうちが良いですね。聖地メタシムに敵が集結しているタイミングを見計らわないといけませんから」

「そういうことだ。だから、『幻夜聖祭』の余韻が抜け切らないうちに敵を叩く。立て直しのタイミングなんて与えない。準備期間だってくれてらやない。奴らがそうしたように、俺達も同じ方法で敵を叩く」


 『幻夜聖祭』でケネス正教の聖地を穢された。奴らにも同じことをしてやるのだ。アーロス寺院教団の聖地を破壊し、奴らを根絶する。それで、全てが終わる……。


「これで最後だ。全て、終わる。戦争も、殺し合いも、何もかも。もう、血を見なくて済む……」


 やっと、この地獄が終わるかもしれない。血で血を洗う悍ましい戦いに終止符が打たれるかもしれない。勇猛な感情と言うよりは、安堵に近い溜め息がその場に満ちた。


「……皆、戦争に疲れています。人間の悪い所ばかり見せつけられてきました」


 セレスティアが呟く。

 人の業によってアーロスが生まれ、アーロスの業によって地獄が生まれた。全てが廻り廻って、世界中にぶちまけられている。


「もう、戦争にはうんざりです……」


 ゲルイド神聖国の民は疲弊している。兵士だけではない。一般人もだ。教団によって日常を侵蝕され、非日常を強いられるか、或いは少しだけ非常事態に変遷した暮らしをさせられている。それは正教徒に限らず、洗脳された者や孕み袋から生を受けた罪なき人形達にも言えること。

 人は、生きている以上、人間という同族に何らかの同情心を備えているはずなのだ。涙を流している人を見て寄り添ってあげたくなるとか、血を流している人を見て助けてあげたくなるとか――この戦争ではそういう当たり前の善性を刺激されて、誰もが疲れ果てていた。


 そんな疲弊感が民衆の無意識下で共有された結果、オクリーという英雄が好意的に受け取られた一面もあるだろう。この宗教戦争は末期なのだ。アーロスの自己満足のために続けられているようなものでもある。


「……孕み袋が稼働している施設がある。そこで管理された子達は、正教で保護してやってくれないか。彼らは被害者だ。身体は少年少女のそれでも、心は赤子のまま……でも、環境次第で普通の人間と同じように過ごせるはず。セレスティア、約束してくれ」

「承知しました。……必ずや保護します」

「洗脳されて向こうに行った奴らも、なるべく保護したいモンだな。……教団のトップだけは、徹底的に叩きのめさにゃならんが」


 クレスの発言通り、この『幻夜聖祭』で捕縛された邪教徒についても、自ら進んで堕ちた者以外については洗脳解除の手順を踏み、元の生活に戻らせることを上層部で決定している。

 その場に居た者の数名がヨアンヌに視線を送る。悪意のある行為ではない。ただ、被害者の多さに心が滅入った。この陰鬱さを含めて、アーロスの復讐なのだ。


「……すっきりしねえだろうな。これで戦争が終わったとしても」


 クレスが言う。

 苔むした森のような、どんよりとした雰囲気が場に留まっていた。


 それから更に六時間が経過して、オクリーはマリエッタのいる宿舎の元にやってきた。

 彼女は酷く憔悴しており、目元を真っ赤に腫らして部屋に閉じこもってしまったのだ。扉を隔てていても、啜り泣く声が聞こえてくるほどだ。


(……流石のマリエッタも、堪えているか……)


 オクリーは治療を終えて「これ以上動くと死ぬから絶対に動くな」と言われていたのに動き回っている。休んでいるのは性に合わなかった。

 オクリーは扉をノックしようとして、何度も躊躇った。少女の声があまりにも痛々しかった。まだそっとしておいてあげるべきかと踵を返そうとした時、扉の向こうからマリエッタの涙声が聞こえてきた。


『うぅ……オクリーさん……どうしてあんな女を救うために……! どうせ、したんだ……仲直り臓器交換(・・・・・・・)っ……! 仲直り! 臓器交換セックス!! わっわああぁぁぁあああああ!! け、穢らわしいッ!!』


 狂犬マリエッタが相変わらずの癇癪を起こしていた。


『したんだもん! あたしに黙って、隠れて! おっぱい四時間吸わせてあげたのに、やっぱりあたしは遊びだったんだ!!』


 そういえばそうだった。励ましは不要のようだなと思いながらオクリーは自室に戻ろうとしたが、振り返ろうとした彼の肩をとんとんと叩く手があった。

 嫌な予感がして、的中。ヨアンヌがそこにいた。


「オイ、オクリー。そういえばその時のツケ払わせてなかったな。覚悟してろ」

「余計なこと言いやがって!」

「スティーラとのキスもだ。死んだから許すとか、もういないから許すとか、ない。後で殴らせろ」

『ええ!? す、スティーラ・ベルモンドともディープキスしたんですか!!? やだぁぁぁぁあぁ!!』

「聞こえてたのかよ……」


 オクリーは頭を抱える。

 この世界には問題が多すぎる。というより、何故か自分だけ妙に女絡みのトラブルが多すぎる。これからこの国を、引いては世界を救うための戦いを仕掛けようというのに――


(……まぁ、これも全部自分が撒いた種か……)


 こちらはこちらで、自らの力で解決しておくべきなのだろう。

 それにしたって、運が無さすぎる気はするけれど。


 そして、数日後――

 水面下で『聖地メタシム奪還作戦』が動き出した。


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