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振り向いたら座敷わらし  作者: 日野あべし
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【第十六話】

ここは公園である。今日は穏やかな天気で空には雲がゆったりと浮かんでいた。

私はその公園のベンチで一人座って目の前の様子を眺めている。

目の前では夏樹さんが手当たり次第福ちゃんを連れて福ちゃんと同年代ぐらいの子供に「この子が視えるか!」と声をかけていて、声をかけられた子供の中には「うっせぇババぁ!」なんてキレる子供がいて、それで夏樹さんが更に「なんだと!私はババアじゃなくてお姉さんだっ!!」とキレ返す始末。

最初は私もそれに混ざって夏樹さんの代わりに声をかけたりはしていたが、言わずもがな公園にいる子供たちに白い目で見られ始めてから少々考え直しているのだ。

白い目で見られるのも当然と言えば当然である。何しろ視えない子からすれば何もない空間を指してこの子が視えるかと聞いているのだから。

(どうしたものかな…。)

私は空を見上げた。

大家さんの話ではここいら近辺では視える子もいる、という事だったが、どうやら数はそういない様だ。

今更思うのだが、大家さんに見える子を紹介してもらってもよかったかもしれない。

そうこう考えていると、夏樹さんがベンチの私の隣にドカッと腰かけた。

「いやぁ、なかなか視える子がいないもんだな。」

夏樹さんも少々お疲れのようである。

「ですね。そろそろお昼ですし、一旦休憩しましょうか。」

「そうだな!」

福ちゃんは今一人でブランコに乗って遊んでいる。楽しそうには遊んでいるが、その姿を見ていると少々寂しいような気持になる。

「思ったんですが、大家さんに視える子を紹介して貰ってもいいんじゃないでしょうか。そっちの方が確実に視える子と知り合えますし。」

「うむ。それも手かもしれんな。」

私と夏樹さんが二人そろってため息をつく。

気持ちを切り替えて今日のお昼は炒飯にでもしようかと考え始めた。

「福―!一旦お昼ご飯にするぞー!」

夏樹さんが福ちゃんに声をかける。福ちゃんはコクンと頷いてこちらに走ってくる。

私は何の気なしにブランコの横にある砂場を眺める。そこでは男の子が一人砂場で遊んでいた。

(…ん?)

その男は遊びながら何かを眺めている。その視線の先には福ちゃんを除けば何もない。

寧ろ福ちゃんを目で追っている様ですらある。

(もしかして…。)

私は立ち上がってその子のもとへむかい、その子の近くにしゃがんで目線の高さを合わせた。

男の子はその間も福ちゃんのことをじっと眺めている様だった。

「こんにちは。」

「…。」

男の子は私の方を一瞥したが、手元の砂で作った山に目を移した。

「これはお城かい?」

「…山。」

「そっか。楽しそうだね。」

男の子はずっと砂の山を作っている。

若干警戒しているようだが、それもそうだ。何せ知らないおじさんに声をかけられているのだ。

「おじさんの名前は修介っていうんだ。君のお名前は?」

「…こうすけ。」

「こうすけ君って言うんだ。いい名前だね。」

そうこう話をしていると、福ちゃんがこちらに来ていた。こうすけ君はまた福ちゃんのことをじっと眺めている。

「こうすけ君はこの子の事が視えるのかい?」

「みえる。」

「そっか。」

即答。私ははやる気持ちを抑えるのに精いっぱいだった。

「わたしの名前は福。あなたのお名前は?」

福ちゃんが今度は声をかける。

「…こうすけ。」

「一緒にあそんでもいい?」

こうすけ君はしばらく黙ってじっと私と福ちゃんを眺めている。

警戒をされているが、それだけではなく思案しているようだった。

この子は頭のいい子だ。そう思った。

「…いいよ。」

「ありがとう。」

福ちゃんはお礼を言うとこうすけ君のすぐ隣に座って一緒に砂をいじり始めた。

私は内心小躍りするぐらい気持ちが弾んでいたが、それを抑える。

うしろから夏樹さんのドドドドという走る音が聞こえたので、それを止めに私はその場を離れた。

「あの子!視えるのか!」

「夏樹さん一旦落ち着いて下さい。」

私は夏樹さんと一緒にベンチに戻った。

「あの子、視えます。」

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