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プロローグ
「まぁ……。陛下とも有ろうお方が面白い事を仰いますのね」
コロコロと鈴の音が音を立てるような笑い声を上げながら彼女は言う。本当に可笑しそうに。
「そう、だろうか」
その楽しそうな声に俺は浮かれてしまう。だから先程の俺の言葉を受け入れてくれる、と信じた。ーー何故、その発想になったのだろうか……。客観的に見れば、変だと解るはずなのに。
「ええ、ええ。面白いですわ。ーーだって陛下。
やり直したい
と仰いましたけれども。再構築とは、お互いにやり直せる前提の信頼関係が有るからこそ言えますのよ? 陛下と私の間にやり直しが出来るような信頼関係が今まで構築されていたでしょうか?」
ーーそんな関係まるで無かった事に気付いた。
この場に居る皆の心の声が聞こえて来た気がする。
ーー全く持って王妃殿下の仰る通り。やり直すための信頼関係なんて、無いですね。
と。俺は、初めて、自分がこれほどまでに残念な奴だっただろうか、と打ち拉がれた。