7
ぼくはまた暗闇の中にいた。孤独の恐怖から、目を逸らしたくなる暗闇だ。
目をつぶろうが、どこを見ようがこの暗闇からは逃げられない。
孤独であることを強く認識させ、一人でいるぼくを苦しませ続ける。
どうしたらいいかわからない。
どうやってこの暗闇から抜け出し、孤独の苦しみから解放されればいいんだろう。
騒がしいと思うことさえあった人々の営みが、自然の奏でる鬱陶しい歌声が恋しくなっていた。
光は望まなくとも、せめて誰かがいることを耳で感じたかった。
ほんの微かな物音でもいい。ぼく以外の誰かがいなくてもいい。ぼくに希望を抱かせる音だけでも聞こえて欲しかった。
いくら耳を澄ませても、ぼくに聞こえるのは無音の叫びだけ。心臓が脈打っているのかもわからない。耳をつんざく無音が、ぼくを、この空間を、支配しているんだ……。
何も聞こえないこの状況に耐えられそうもなかった。
暗闇、孤独、無音がぼくを蝕んでいた。
水が石を穿つようにゆっくりと、でも確実にぼくを貫こうとしていた。
逃げ出すべきなのに、足が動かない。
このまま恐怖に飲み込まれ、未知の世界へと旅立つことも頭をよぎった――。
ぼくにそんな勇気はなかった。
どうにかして、この恐怖から逃れたかった。
人の暖かさを感じたかった。
一人じゃないと誰かに言って欲しかった……。