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孤独と不安が支配する、真っ暗な世界への感じたことのない恐怖で飛び起きた。
飛び起きて、自分が今まで寝ていたことに気づいた。
どうやらあれは夢だったみたいだと安心はしたけど、ぼくは確かめずにはいられなかった――本当に夢から抜け出したのか。
ぼくは急いで自分がどこにいるのか確かめるために辺りを見回した。寝起きで霞んだ目に飛び込んできたのは長年愛用しているベッド、勉強道具が置かれていない勉強机、乱雑に本が置かれている本棚、壁にかけられた制服。その他すべてがいつも通りで、ここは間違いなくぼくの部屋だった。
ここには光があることにも気づいた。それは至極当然で、真っ先に気づいてもよかったのに。光がなければ、ぼくのいる場所が自分の部屋だと気づけるわけがないんだ。月の光があまりにも自然にぼくの部屋を照らしていたから気づかなかったのかもしれない。
淡く儚い月の光はカーテンの隙間から忍び込んでいた。ぼくはゆっくりとベッドから這い出て、喉の渇きを癒すようにカーテンを開けた。
暗闇の世界に閉じ込められていたぼくには、月の光はスタジアムの照明に照らされているように強烈すぎた。
一瞬目がくらんだけど、暗闇に閉じ込められていた時のように、孤独や不安は感じない。心地良い安心感がぼくを包んだ。
強烈に思えた光に目が慣れ、窓の外にも広がる日常のおかげで、夢の世界から完全に抜け出せた。闇の世界に怯えることもなければ、月の光に驚くこともない。
ぼくは安心してベッドに戻った。孤独も不安も消失したから、ぐっすり眠れるだろう。ゆっくりと目を閉じて、心地良い静寂と暗闇に身を任せると、瞬く間にぼくは眠りについた……。