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プロローグ

俺の家の前にはいつも猫がいる。それもただの猫じゃない。人間の姿……いわゆる擬人化というやつだろうか。


ただでさえ学校で疲れているというのに、扉の前で体育座りして俺の邪魔をしてくる。最初は変人か不審者かと思った。猫耳と尻尾まであるのだから。それでも姿は人間。これのどこが正常な人間と言えるだろうか。


「また、いるのか」


生憎、幸い?家の玄関は正面ではなく横にあるから近所の人に見られる心配は無いのだが、それでも隣から偶々見られたら大きな騒ぎになるだろう。


「いちゃ、だめにゃの?」

「ダメって言ってもいつもいるだろ」

「知らないにゃ」


ちゃんと言葉の中に、にゃが付いている。もう猫のイメージのそれにぴったりだ。

はぁーもういいや。とりあえずある程度の説明も終わった事だし。って俺は誰に説明してるんだ?

とりあえず家に入ろう……


「どいてくれ」

「入れてくれにゃいからいやにゃ」

「当たり前だ。とにかくどけ」

「やにゃ!」


クソが。……ふっ、いつもなら力ずくで退かすのだが今日の俺は違う。ペットショップで買ってきましたネズミのおもちゃ。2580円。高い!

だがこれさえあれば無駄な力を使わずに済むと考えれば安いもんよ。

どこら辺に投げようか。庭でいいか。


「ほれ」

「にゃあ!」


予想通り、おもちゃにまっしぐらだぜ。さて、あんなやつほっといて勉強でもしよう。ちなみに俺は一人暮らしだ。

正確には一人では無いのだが、親が世界旅行やらで家に帰ってこないのだ。なんて自由な奴らだ。


%%%


「……」

「にゃー!開けろにゃ!」


さっきからずっとこれだ。ガリガリ戸を爪で引っ掻く音が家中に響き渡る。


「にゃー!!!」

「だー!分かったから!うるさいさから!」


リビングから出て玄関の戸を開ける。


「やっと開けたかにゃ!」

「はい、開けた。さよならー」

「にゃ!まてにゃ!」

「何だよ」

「入れてくれにゃ」

「やだ。獣臭い」

「にゃ!そんな事ないにゃ!ちゃんと川で洗ってるにゃ」


川ってこいつ。この姿で川で洗ってんの?やばくね?

ネットとかに上がってないよね?猫擬人化川で検索っと。

あ、大丈夫ぽい。可愛いイラストばっかり出てきた。

てか、こいつも普通に可愛いだけどな。綺麗なブランド色の髪だし。目もクリッとしてるし。胸もそこそこあるし。くびれもくっきりしてるし。普通の人間ならアプローチしまくるんだけど。


「川で洗っても臭いんだよ」

「にゃー、臭く無いにゃ!ほにゃ!」

「うわ!ちょ!」


こ、こいつ思いっきり抱きしめてきやがった。おう、胸が当たっちょる。てか、こいつ服着てるけどめっちゃボロいし臭いし。ダメだろこれ。


「うん。くせぇわ」

「にゃ!女の子に臭いって言ったにゃ!最低にゃ!」

「知るか」

「ゔー!ならお風呂に入るにゃ!お友達がお風呂に入れば万事解決って言ってたにゃ!」

「やだ、汚い」

「にゃー!!!!どけにゃ!」

「痛!爪で引っ掻くとか……おい!勝手に入るな!」


こうやっていつも家の中に入られるんだよな。で、朝起きたらいないし。なんなのこいつ。







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