春分の日(二百文字小説)
「もしもし、母さん」
「何だい、お前かい? どうしたんだい?」
「お彼岸なので墓参りをしたいから、これから友人にお金を取りに行ってもらうので渡して欲しいんだ」
「そうかい、じゃあ、振込先を教えておくれ」
「違うよ、取りに行くんだよ」
「鶏肉を持って来てくれるのかい? 助かるよ」
「違うよ! お金を受け取りに行くんだよ!」
「大丈夫だよ、鶏肉だけでお金までは要らないから」
ボケ倒す母親に根負けした詐欺師は受話器を置いた。
ボケ倒すのもほどほどにしないと、本当にボケていると思われ、押し込み強盗に豹変される恐れがありますので、決して真似をしないでください。