壱「お留守番をこっそり」
―「いってきまーす」
―「いってらっしゃーい」
弟は、普通に『見せて』と言っても見せてくれない。
そこで、出掛けたふりをしてお留守番をさせ、弟の部屋にあるpcの近くにある人形にカメラを仕掛け、
見ている内容を見るのだ。
「なんだか、モニタリングみたいでドキドキする。」
本当はそんな気持ちだった。
けど、見ている内容を見ると、何故か真剣な思いになってきてしまった。
―「…よし、誰もいないし…」
と言うと、弟は、ヘットホンをPCから外し、音楽を流し始めた。
どうやら、カラオケのようだ。
弟は気持ちよさそうに歌い始めた。
留守番のときにしかできないことを、思いっきり楽しんでいる弟に、感心した。
何故か、感心した。
―「……あー、歌った歌った。さて、ちょっと……するか」
そう言うとサイトを変え、ズボンを脱ぎ始めた。
ビックリして目を手で隠してしまった。
PCの中から聞こえる女性の喘ぎ声。
それを見て興奮し、発情している、弟。
ああそうか、弟もこういう御年頃か…
―ん?
なんだか、そうか、と思っただけなのに、
何故か、心が痛い。
何故なんだろう。
『気持ち悪い』とか思ってるわけでもないのに。
「…っ」
なんだか、痛さが増してきた。
本当に何故なんだろうか。
愛 。
何故かそんな言葉が頭に浮かび、はっとした。
―「観たい。」
そうだ、観たい。
もっと、観たい。
もうちょっと観たい観たい観たい…
愛が、愛が。
愛か、分からないけれど。
観たい観たい。
観たい
観たい
観たいなぁ
観 観 た い 観 た い 観 た い
た た
い い
観 観
た た
い い
「もっと、全部が、ちょっとだけ…」
私は、狂気が溢れてきてしまった。




