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私、主人公はじめました。  作者: れるの
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04「誰か助けてえええ!!!」




じめじめと湿った空気。

コツコツと鳴り響く足音。

薄暗く、少し寒気もする。

剣の柄を強く握りしめ、一歩一歩慎重に前へと進む。


きっとゲームを操作する側であれば、躊躇なく走って進んでいたであろう。

が、現実はそうはいかない。

この先に何があるか、何が起こるのかがわからない為、慎重に歩みを進めるしかないのだ。


この地下通路に入るまでも勇気が出ずに何時間もかかった。

さて、次はこの地下通路を出るまでには何時間かかるのだろうか。


メニューカードでスキル一覧を確認する。

スキルは誰でも覚えることの出来る基本スキルと、職業に就かないと覚えることの出来ない特殊スキルの2種類に大きく分けられている。


【特殊スキル (Lv.)】

・薬草作り (Lv.1)

・???

・???


と、記されていた。

どうやら村人は最大で3つの特殊スキルがあるようだ。

そして今、私の覚えている特殊スキルは薬草作り。


村人はこのスキルを使って薬草を作り、たまにプレーヤーにくれていたのだろう。

試しにスキルを使ってみたいところだが、このスキルを使うには種類は問わず、とりあえず草が必要らしい。

地面も壁もコンクリートでがっちりと固められた地下通路。

草なんて1本も生えていない。


「あとの2つのスキルはどうやったら覚えられるのかな。やっぱりレベ」

『キュイーキュイー!!』『キュイー!』

「えっ!?えっえっ!?何!?」


私の言葉を遮り、急に変な鳴き声のようなものが聞こえてきた。

その鳴き声と共にバサバサと羽を動かすような音も聞こえ、段々と音は大きくなる。

も、もしかして…モンスターなんじゃ!?

すぐさまに剣を引き抜き、構える。

周りは薄暗く、どこから襲ってくるのかが全くわからない。

何か辺りを明るくできるようなもの……そうだ!魔法!

火系の魔法を使えば周りが少しだけでも明るくなって見えるんじゃ!?

よし早速…って、私の使える魔法は…


【魔法】

・火:???

・水:???

・風:???

・地:???

・雷:???

・光:???

・闇:???


うっそ…。

火系の魔法どころか、私は1つも魔法を覚えていないらしい。

1つくらい最初から覚えてるものじゃないの?МPの意味は?


「キュイーッ!」

「いたっ!!」


肩に痛みを感じ、触れてみると、手には赤い液体が付いた。

私の血だ。

ステータスを見るとHPは「8/10」となっている。

ということは少なくともあと4回攻撃されてしまえばお終いだ。

ただでさえ戦い方がまだわからないのに、こんな薄暗い中じゃ絶対に勝ち目はない。

この場から逃げるのが一番だ。

確か基本スキルの「ダッシュ」は覚えていたはず。


「ダッシュ!っ…わっ!?」


凄い。普通に走るスピードよりも速く走れている。

これなら逃げれ…


『キュイー!!』『キュキュイー!!』

「なんでーっ!?」


逃げているにも関わらず、相変わらず鳴き声と羽の動く音は聞こえてくる。

そうか…確かダッシュのスキルは敏捷力が関係していたんだっけ。


目の前には二手に分かれた道。

右か左か。

迷ったら左に行けとよく聞いたことがあるからここは左に行くべきなんだろうか。

スピードはどんどん落ちて行く。

今は迷っている暇はない!よし左に行こう!





* * * * * *





「はぁ…はぁ……」


なんとか巻くことが出来たようだ。

逃げながらも、攻撃されたところがヒリヒリして痛い…。

残りのHPは3。

運が悪ければ次は死ぬ。


とにかく早くこの地下通路から出たい。

そんな一心で足早に進む。


しばらく進むと壁が見え、その壁には梯子が取り付けてあった。

上を見上げてみるが、やはり暗くて先は見えない。

でも、行き止まりな上にこんな梯子があるということは、おそらく出口だろう。

私は梯子を掴み、一歩一歩慎重に登って行った。





* * * * * *





重たい蓋をなんとか持ち上げると、柔らかなオレンジ色の光が目に入ってきた。

空を見上げると薄暗く、夜が近づいてきているのがわかる。


草の匂い、風で揺れる木々の音、モンスターたちの呻き声。

出てきた場所はどうやら森の中のようだ。

辺りを見渡すが、木、木、木、木。

そして此方を睨みつけるように威嚇してくるオオカミのようなモンスターが3匹。


序盤からこんな森の中に出てくるなんて思いもしなかった。

街のすぐ外とか草原とか。

こう…the冒険のはじまり!って感じの場所に出ると思っていたのに。


「…ふぅ」


じりじりと距離を詰めてくる3匹。

さて。

私は剣を抜かずに、その3匹に背を向ける。


「ダッシュ!!!」


なんでなんでなんでえええ!?

やっと地下通路から出ることが出来たと思えば、次は森の中だし、やっぱりモンスターいるし!!

こんなのあんまりだよー!!


「誰かっ…誰か助けてえええ!!!」


私は泣きながら、ただひたすら走る。

先程のコウモリ型より遥かにオオカミ型のほうがスピードが速い。


あっという間に追いつかれ、私は木を背にガタガタと震えながらその場に座り込む。

もう足は動かない。

3匹が一斉に飛びかかろうとした瞬間、強く目を瞑った。




【薬草作り】

そこら辺に生えている草が2種類以上あれば作ることが出来る。

スキルレベルが高いほど、完成数量や回復量が増す。

たまにМPを回復する特殊な薬草を作ることがある。

【ダッシュ】

通常より、速く走ることが出来る。

敏捷力の能力値が高いほど、スピードが速くなり、

スキルレベルが高いほど、継続時間が延びる。

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