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FLAVOR  作者: 深緋
本編
9/13

その5

ようやく今月分アップできます。

「その6」もだいぶ書けているので

近いうちにご覧いただける・・・といいな!!>マテ

いつものように帰宅し、夕飯とシャワーをすませると

ゲームを起動させながらスカイプを起動させる。

ここ最近の鈴子の一連の流れである。


オンライン確認すると、いつもはいるはずの【戒】がめずらしくスカイプ上にいなかった。

(そーいや仕事が忙しくなってきたって言ってたな)

なぜか【戒】がいない、その事が鈴子をちょっぴり不安にさせる。

(あれ?なんで私、不安がってるんだろう?)


んー?と考えながらも手はいつものようにログイン画面を操作する。

そしていつものように【凪】になりギルドチャットで挨拶をすると、

【紗奈】がものすごい勢いで挨拶を返してきた。


『紗奈:【凪】ちゃあああああああああああああああああん』

『凪:うわっ【紗奈】さんどうかしたの?』

『くまおじさん2号:【紗奈】さん少し落ち着こうw』

『紗奈:だって早く言いたいんだもん!』

「凪:?』

『紗奈:【凪】ちゃんこんどのお盆暇?』


お盆?

実家に顔を出しに行こうかとは考えていたけれど、

まだ実家には何も連絡してないので特に予定はないと言えばない。

そのことを【紗奈】に伝えると、


『紗奈:【凪】ちゃんあーそぼ♪』


今、遊んでるのでは?

鈴子の頭の中には「?」がずらずらならんでいく。


『くまおじさん1号:【紗奈】さんそれじゃ【凪】さん意味わかんなくて困るよw』

『紗奈:あ、そっかごめんごめん。

 今度のお盆にね【One person】のオフ会しようかって今話してたんだ。

 【凪】ちゃんも参加しない?一緒に遊ぼうよぉぉぉぉぉ』



オフ会

ゲームの中の人がリアルに会って、遊んだりする・・・

鈴子はルミックスオンラインでは古参の部類の入るものの、

いままでまったく縁の無かった物だった。


【One person】のみんなに会える?


詳しく詳細を聞いてみると、【紗奈】や【くまおじさん’S】の他にも

中部地方や関西からも何人か来るらしい。

そこで【紗奈】が前々から興味をもっていたもんじゃ屋形船に乗って、

みんなでおのぼりさんツアーをしよう!と言うことだった。


『凪:えっと・・・大丈夫ですよ?』


これが一対一のオフ会なら絶対に参加しないのだが

【紗奈】や【くまおじさん’S】が参加するということが【凪】に安心感を与えていた。


【凪】がOKの意志を示すとピコンと【紗奈】からゲーム内メモが届く。

そのメモには携帯のメールアドレスと電話番号がかかれていた。


『凪:【紗奈】さんこれ・・・』

『紗奈:当日なんかあって連絡取れないと困るでしょ?なので私のを教えておくね』


話し方や行動から【紗奈】は女性だと常々思っていたのだが

こんなにあっさり個人情報を流していいものか・・・

少し悩んだけれど、書かれていたメールアドレスに自分の携帯番号を書いて送信する。



『紗奈:あ、お返事キター!【凪】ちゃんの連絡先ゲーット!』

『くまおじさん1号:【紗奈】さん俺らには連絡先教えてくれないのにな・・・』

『紗奈:だって携帯スカイプで連絡とれるでしょー』

『くまおじさん2号:女の子にはあっさり教えるのか・・・』

『紗奈:うふふ そうでーす♪てな訳で【凪】ちゃん【くまさん’S】にはナイショね?』

『凪:あ、はーい』

『くまおじさん1号:ちくしょう女の子の結束は堅いってか!』


画面の向こうで意気消沈している【くま’S】を想像して【凪】は自然に笑みがこぼれていた。





やっとボーナス時期を終え、経理は少し暇になる。

連日残業やら書類のチェックやらをし、残業をしていた鈴子も今日は定時上がり。

いつもは自宅近くのバス停までバスに乗るのだけれども

今日は1つ手前のバス停でバスを降りる。

そのバス停の近くには24時間営業の中型スーパーがあるのだ。


(卵は買わなきゃでしょ、お肉は安かったら買うとして・・・)


あれこれ考えながらぽんぽんかごに品物を投げ込んでいく。

そこそこの量になって、デザートコーナーに差し掛かった時、

ふととある男性が目に入った。

その男性はデザートコーナーであれやこれやを物色している。

今も手に2つプリンを持って、どっちがいいのか悩んでるようだった。


(男の人がスイーツ物色って珍しいな)


そう思いながら鈴子もコーナーを覗き込み、お気に入りのプリンを手にする。

それをかごの中にいれ、レジに向かって歩きだし、ふと気になって振り返ると

件の男性はまだ悩んでいるらしく、スイーツコーナーに立ったままだった。


(好きな味に出会えるといいね♪)


少しだけ親近感を覚えながら、鈴子は再びレジに向かって歩き出した。





そんなこと出来事があった夜。

ゲーム内でじゃがいも掘りをしていると【流華】から個人メッセが飛んできた。


『ねぇねぇ【凪】はオフ会行くの?』

『一応参加予定。【沙奈】さんから熱烈アピールを頂いたし。

 そういう【流華】はどうするの?』

『行きたいのは山々なんだけど正義と先約があるのよー!』

『残念だねぇ』

『正義との約束蹴ろうかしら・・・』

『ちょっと待てw 正義くんとの約束が先なんでしょ?

 オフ会またあると思うからその時参加でもいいんじゃない?』

『でも【凪】を一人で参加させるのは不安というか・・・』

『失礼なw私子供じゃないわよw』

『【沙奈】さんがいるなら平気かなぁ・・・どこで待ち合わせだっけ』

『東京駅の銀の鈴前に集合って聞いてるよ?』

『うー ちょっとだけでも顔出ししようかなぁ』

『リアル優先がギルドの決まり事でしょう?それに顔合わせしてる間、正義君どうすんのよ』

『その辺うろついててもらうとか・・・』

『お盆の東京駅っていつもより人混みすごいとおもうよ?

 はぐれて会うまでに時間かかってもしらないよ?用事あるんでしょう?』

『うー!!!!』

『ちゃんと報告してあげるから。今回は諦めなさい』

『もんじゃ屋形船ぇー!』

『そっちか!?今度二人で行ってくればいいじゃない』

『みんなで行くのが楽しそうで・・・』

『はいはい、次回があったなら頼んであげるから。

 今回はおとなしく先約を優先しなさい』

『ううう いぢわる・・・』

『www』



ひと通り会話が終わったので個人チャットの窓を閉じ、じゃがいも掘りに戻る。

ゲーム内で地面を掘る音を聞きながら、

鈴子はまだ見ぬ【One person】の面々に思いを馳せていた。







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