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FLAVOR  作者: 深緋
本編
6/13

その2




『凪:こんばんはー』


ゲームにログインするとまず行うのがギルドチャットでの挨拶。

ゲームにログインした時点で、友達登録した相手やギルドメンバーには

【凪】がログインしてきたことはわかっているのだが

最低限の礼儀は必要かなと思い、毎回挨拶をする。


中には挨拶すらしない、オンライン状態を隠して

ログインする人もいるのだが(通称忍者)

もうみんな慣れっこになったもので

気にする人は少なくとも今のギルドにはいない。


『くまおじさん1号:こんばんはー』

『くまおじさん2号:こんばんは』

『紗奈:こんこー』



それぞれ今ログインしているメンバーから挨拶が帰ってくる。

さて、今日は何をしようかな?と考えてると、


『くまおじさん1号:みんなちょっといい?手伝ってもらいたいんだけど』

『紗奈:なぁにー?』

『凪:?』


【くまおじさん1号】は脳筋と言っても差し支えないくらい強いキャラクターである。

その【くまおじさん1号】さんからの「お願い」に

鈴子は「ん?」と画面の前で考える。


【くまおじさん1号さん】からの「お願い」は、

鈴子が所属しているギルドと仲の良いギルドメンバーからの

手助け要求で(ゲーム内用語HELP)

鈴子自体数年前にクリアーしたクエストだった。


『紗奈:手伝うのはいいけどあのクエスト人数制限あったよね?』

『くまおじさん2号:8人だっけな』

『紗奈:私でしょ?くまさん’Sに凪ちゃん、その人。3人足りないね』

『くまおじさん1号:もう少ししたら・・・ってアルクさんが来たな』


会話をしてると画面に小さなポップアップが出て、

【アルク】と呼ばれている人物がログインしてきたのを知らせる。


『紗奈:よしアルクさんも拉致ろう』

『アルク:こんばんはーって一体何事ー!?拉致って何ー!?』

『沙奈:ふふふ♪よいではないかよいではないか♪」

『アルク:沙奈さんが怖いー!』

『くまおじさん2号:まぁまぁ沙奈さんもそれくらいにしてw

 アルクさんHELP要請来てるんだけど行けるかな?』

『アルク:なんだHELPか びっくりしたー いいですよ~』

『くまおじさん1号:よし、向こうのギルマスも手伝うって言ってるから後一人だな。

 誰かフレンド誘えない?』

『凪:ちょっと待ってもらえるなら流華召還できるかも?』

『くまおじさん1号:んじゃそれ待ってみるかー。

 流華さん来る前に誰かきたらそいつを・・・って、

 広場にて忍者発見!!戒、ギルチャ見てんだろ!!』



【くまおじさん1号】さんの発言の後にまた小さなポップアップ。



『戒:見つかった・・・不覚・・・』

『紗奈:戒さん聞いてたなら話早いよねー 盾役よろしく♪』

『戒:盾!?くま1号にやらせりゃ・・・』

『紗奈:よ・ろ・し・く』

『戒:了解・・・』


正直鈴子は【戒】という人をそんなには知らない。

同じギルドのメンバーとしての認識はあるものの

【くまおじさん’s】や【紗奈】のようにしょっちゅう絡んでるわけでもなく

【戒】自体、基本忍者が好きなようでギルチャにも滅多に顔をださない。


どんな外見だったっけなぁ・・・


そんな事を考えながら、鈴子は指定された集合場所に向かった。





「こんばんは。みんな今日はよろしくね」


集合場所に到着するとHELP先ギルドマスターの【ルエン】が声をかけてくる。

その横で少し緊張したように見えるキャラが今回のHELP主なのだろう。


「よ、よろしくお願いします」

「気にしなくて良いよ、私たちも手伝ってもらって攻略した身だし。

 後進の手伝いをするのは当然なんだから」


【くまおじさん1号】さんが声をかける。

みんなが一斉に『うんうん』と行動エモーションを出すと

HELP主がちょっとほっとしたようなそんな空気が画面から流れてきた。


「紗奈さんから連絡もらったんだけど、戒さんが壁で私たちが攻撃。

 トドメをこの子がするでOK?」


「それでいいよー。」

「そうだなーそれがいいなー。」


各々の発言が頭の上を飛びまくる。


「凪ちゃん凪ちゃん」

「ん?どうしたの紗奈さん」

「凪ちゃん戒さんの戦いみたことないでしょー?なかなか彼も強いのよ」

「ほえー、そうなんですか」

「うん。なかなかのものよ」

「沙奈さんハードル上げないでくれる?」

「ふふふ がんばるがよい♪」


【紗奈】の言葉に鈴子は画面の前で

自分がこの状況を少しワクワクしているのを感じていた。



圧巻・・・と言ってもいいと思う。

鈴子は画面の前で硬直していた。



今回のクエは大型のヘビを4体倒すというもので、

そのヘビの防御力の高さにこのクエストを行った当時の鈴子は

かなり苦戦した覚えがある。


まずは盾役。


これが一手にヘビの攻撃をうけ、その隙をねらって攻撃していくのだが

【戒】の受けているダメージはわずか「1」。


こっそりと戎の装備を見てみようとキャラクターを右クリックして画面を開き、

開かれた戎の装備に鈴子は軽く目を見開く。


このゲームは課金していると『装備』の他に

『アバター』といって別の衣装を表示させることもできる。

今鈴子が目にしているのはアバターの下に着ている装備である。


鈴子もアバターは可愛いしっぽの生えた衣装を着てはいるのだが

戦闘用装備は俊敏性を考えて軽鎧で固めてある。

軽鎧は俊敏性には特化してはいるのだが、

こういった盾役にはむいてない装備である。

盾役は重鎧を着こむが通常なのだが、

戎は重鎧どころか衣装すら身につけていなかった。


(え?ってことは今見えてるアバターだけで防御してるってこと?)


鈴子の頭の中はもうぐるぐるである。

自分がもし盾役なら100~200前後のダメージは覚悟しなければならない。

そう考えるとこの【戒】という人物がどれだけ自分より強いのか。


数年前に苦戦したとはいえ、あれから苦手な戦闘も少しずつも行うようになり、

今は多少強くなったかな?と思っていた鈴子の自尊心を砕くような【戒】の姿に

ヘビを遠距離攻撃しながらついついその姿を目で追っていた。


強いな・・・すごいな・・・どんなスキル持ってるんだろ。


鈴子の中に生まれた【戒】への興味。

それはまだ鈴子自体も気がついていない小さなものだった。






ヒーロー(?)出てきました。

これからどう動いてくれるのか、私も楽しみです♪


良かったら感想など聞かせてくださいませ!

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