その1
お待たせしました新作「FLAVOR(仮)」スタートです。
手探り状態で書いてますので、まだまだこれからですが
一緒に物語を見つめていただけると嬉しいです。
深緋のお尻を叩けるのは読者様!
ご感想お待ちしております♪
今日も疲れた・・・
新入社員が入社してもうすぐ3ヶ月、各々が職場に慣れてきたそんな頃。
来月支払われるボーナス様の準備で経理はちょっと忙しい。
「冷蔵庫、なにがあったっけな」
つい口からこぼれる独り言。
20代半ばに一人暮らしを始めてから、気がつけばついてた癖。
「えーっとキャベツにレタスにピーマンに人参かぁ。卵もあるな。
お肉は冷凍してあるからなんでもあるし・・・あ、もやし食べ切っちゃわないと!」
頭の中で考えてるはずが、つい確かめるように口に出してしまう。
そんな鈴子に誰も何も気にしない。
「うん、もやしの卵とじにしよう!」
肩から半分ずり落ちかけてた鞄を抱えなおすと最寄り停留所からバスを降り、
徒歩3分の我が家へと向かう。
途中にあるケーキ屋に心ひかれつつも根性で通り過ぎ
階段を上り、玄関の鍵をあけ、室内に入った。
「うわー さすが6月 むっとしてるなぁ」
着替えもそこそこに洋室の窓を開ける。
鈴子が暮らす部屋は、駅まで徒歩20分という立地の悪さから
2kにしては少しお安めの賃料である。
最初は自転車で駅まで通おうとしていたが、意外に近くにバス停があること
バスだと雨の日にも困らないことなど理由をつけて、いつの間にか定期を買っていた。
「ご飯は・・・炊けてるな。とりあえずお化粧だけ落としてーいや、もうシャワー浴びちゃえ」
部屋着と下着をタンスから取り出すと、鈴子はさっさとシャワーを浴びることにした。
所要時間15分。
女性は長風呂だと言われてるが鈴子はそんなことないのになぁといつも思う。
湯船にお湯をはっていてもいなくても入浴時間がそんなに変わることはない。
頭にタオルを巻いて、ささっと今夜のおかずをつくると
右手にお皿、左手にはお茶碗。
お行儀が悪いとは思いつつも箸を口でくわえ、パソコンの前に座る。
プン
パソコンの起動スイッチを入れると小さな起動音がなる。
目の前のディスプレイにPC会社のロゴが大きく映し出され
起動準備をしてる間にご飯を食べる。
三分の一くらい食べたところでパソコンが起動し終わったので
ブラウザーを立ち上げ、まずは明日の天気の確認。
そして個人メールの確認をすませる。
もちろんご飯を食べながらである。
ご飯を食べおわると、流しにお皿を運びそのまま洗い物へ。
少ない皿数なのですぐおわる。
コップに麦茶をつぎ足すと、ふたたびパソコンの前へ。
音楽プレイヤーをたちあげ、ランダム選曲をえらぶと
モニター中央で紺色に光っているアイコンをクリック。
いつもの見慣れた画面に切り替わるのを見つめながら、麦茶を喉に流し込んだ。
*
ルミックスワールド
淘汰されていくオンラインゲーム業界の中では中堅クラスのゲームである。
職業が自由に選べ、多少のお金はかかるものの好きな外見に変更できる。
このゲームを鈴子がハマったのはその自由さ。
何をしてもいい。
何もしなくてもいい。
戦闘で無理矢理レベルを上げることを強要されることもなく
その気にならなければ雑談だけですむ。
そんなところが気に入って、このゲームが正式OPENしてから
友人の美由紀に「鈴子は絶対に気に入るから!!」と進められ、
友人の言葉を裏付けるようにどハマりしたのである。
ゲームのキャラ選択画面がモニターに現れた。
もちろん鈴子はメインキャラクターを選び、ワールドにログインする。
ここからは鈴子は鈴子ではなく【凪】になるのだった。