1.さみしい
ちょこちょこっとキャラ設定。
翔鶴/正規空母
18歳程度の見た目
黒髪長髪、ゆるいパーマ
一人称「わたし」、敬語
零式艦上戦闘機 21型(零)
16歳程度の見た目
ベリーショート(わからない方はぐぐってみてください)
一人称「私」、口調は荒め
※箱入り娘ではありません
それではどうぞ↓
「……見つけたのですね」
光が暁を告げる頃。
少女は己の身を高く浮かせ、空を舞っていた。
遠く、青く透き通る海に浮かぶ、物々しい鉄の塊。
人々の声、息遣い、士気。
「…………どうか……!」
勝って。
生きて。
少女の祈りは、届かない。
*
*
*
*
午前6時半過ぎ、翔鶴、船室にて。
「……ああ、また」
始まる。
そう言って短い黒髪をかきあげる少女。
凛々しさの中にはまだあどけなさが残る。
ん、と小さく伸びをしたあと、少女はすっと目線を横に移した。
“ 龍太郎 ”
口元だけで、名前を呼ぶ。返事はない。
目を閉じて寝ているように見える。
「……お願いだから起きないでくれよ」
本当は起きて欲しいけれど。
そんなことを素直に言える自分でもなく、少女は眉をひそめ、身を屈め、顔を近づける。
そっと、唇が触れるか触れないかのところで彼女は顔を離し、
「……なに、やってるんだ、私は」
言い残して船室を出て行った。
*
*
*
*
なんだか、落ち着かない。
胸がざわつく。
すう、とひとつ息を吸って、地面を蹴る。
高く高く舞い上がり、飛行甲板の真上まで来ていた。
……高い。
高度を落とし、甲板の上に足を付ける。
ここから私は飛ぶんだ。
彼と。
そう思いながら滑走路を見つめる。
「ここに、いたんですね」
海を眺めていると、ふわりと髪をなびかせて舞い降りてきた少女が言う。
「……翔鶴さん」
短髪の少女は、この船の魂の名を呼ぶ。
翔鶴はふと笑うと、
「敵艦を発見したと、捜索隊が伝えています。出撃準備を」
事務的に伝える。
少女達は顔つきを変える。
翔鶴はそんな自分達の恐れを叱咤する。
「……勿論、心の準備も、です。レイちゃん」
「分かっています。…………あの、」
翔鶴に向き合うレイと呼ばれた少女。
翔鶴は緩やかな笑みを作ると、
「どうか、ご武運を」
それだけを言って去っていった。
一人取り残された少女の正式名称は“零式艦上戦闘機 21型”。
いわゆる零戦の具現化された魂である。
彼女は海に反射する朝焼けを見、己の掌を見、そして空を見上げる。
これから戦わなければならない。
これから殺さなければならない。
これから生きて帰らなければならない。
これから、操縦士を守らなければならない。
作られた時から、今も、これからも、ずっと。
用済みになるまで。
―――怖い。
人を殺さなければならないなんて。
―――恐ろしい。
人の未来を奪うことが、彼の未来が奪われることが。
―――悲しい。
殺すことしか能がない私は、こんなにも非力なのだから。
―――寂しい。
こんなときお前に、そばにいて欲しい。
このシリーズは、「確かに恋だった」様のお題、「君に言えなかったことがある5題」からです。
2話に続く⇒
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