一雪目
第二章というか、今までのプロローグで第一章です。
間にロザラオ視点とジュノット視点入れたくて頑張ったけど書けなかった(´・ω・)
なので新章突入!
恋の逃避行、もとい駆け落ちをして、1年の月日が流れ、私達は17歳になった。
「パリシア!ヒッヒッフーだよ!」
「息を吐くの!がんばりなさい!」
「旦那様方!出ててください!!」
絶賛出産中です。
ジュノットとロザラオは、産婆に私からひっぺがされて廊下に叩き出されました。
産婆曰く、『居心地の良い』私のお腹の中にいる我が子は出産予定日を過ぎ、2週間目に突入しかけてやっと激痛とともに産まれてくる気になったらしい。
おかけでジュノットとロザラオは気を揉むし、産婆には『きっと居心地が良いんだよ!』と励まされた。
ジュノットでもロザラオでも、どっちの子でも私達3人にいっぱい愛されるんだから、心配しないで早く出てきてね!
―――
生理が来なくなって、妊娠したって分かった時、最初は嬉しかった!でも、日が経つにつれて不安になってきた。
「パリシア?どうしたの?顔色悪いわ」
「あ…何でもない」
「…もしかして俺かジュノットの子産むの嫌なのか?」
ロザラオの言葉に首を横に振る。
でも、そう、お腹の子の父親は、ジュノットかロザラオ。でも、どっちなのか分からない。
愛されるか分からない子。
「違う!ただ…私は、どちらかの子を産むしかできないから…」
産まれてくる子は選べない。
極端に父親に似るなんてあり得なくて、きっとどこか私に似てしまう。
「…パリシア」
ジュノットとロザラオに呼ばれて、無意識に下がっていたを上げれば、両方から手を握られ、肩に手を回して抱き寄せられる。
「確かに俺達はパリシアを一番に愛せない」
「でもね、パリシアが私達の特別なのは本当よ」
「パリシアとの子なら、俺以外とのジュノットの子でも愛せる」
「私以外とロザラオが子供を作っても、パリシアの子なら愛せるわ」
そう言ってキスの雨を降らされた。
「ッありがとう」
「どういたしまして。…でも、疑われたのは心外だわ!」
「う゛…だって仕方なくない?!ロザラオとジュノットは愛し合ってんだよ!」
「じゃあ、疑った罰も含めて、二度と疑えなくしようか」
「え?ちょっ!?何、服脱がそうとしてんの!私、妊婦!!」
その後、疑った罰として美味しく頂かれたけどね!
―――
「奥様!生まれましたよ!元気な女の子です!」
大きな泣き声と一緒に産婆の嬉しそうな声に意識が覚醒する。
終わったんだ。生まれたんだ。
「旦那様方を呼んできますね!」
産婆が扉を開ければ、待ってました!とばかりに勢いよくロザラオとジュノットが入ってきて、私の両脇に立ち、私と私が産婆に渡されていた赤ちゃんの様子を伺う。
「お疲れさま」
「よく頑張ってくれたわね。最初は、私の子よ!」
「ああ、可愛い」
ロザラオとジュノットの緩んだ顔を見て、幸せを噛み締める。
本当に産んで良かった。
ジュノットと同じ栗に近い金髪と顔立ちの赤ちゃんが、泣きながら目を開く。
「え…」
そう言ったのは、誰だったんだろう。
ジュノット?ロザラオ?産婆?私?
でも、琥珀色の瞳を見た瞬間に誰が呟いていた。
だって、私の瞳は赤く、ジュノットの瞳は緑色。
琥珀色は、ロザラオの色なのだ。
「何で…」
自分の言葉にこの1年、忘れていた《夢》を思い出す。
追憶する夢の中、少女は《救世主》を承諾していた。
これがこの世界の《救世》なんだ。
自然と浮かんだ思考に息を呑む。
「私…!違う!違うの!私!違う!」
「パリシア!」
取り乱す私をロザラオとジュノットが抱き締めてくれる。
「疑わないわ。この子は、私達の子でしょ?」
「どうしてか分からないが、俺の遺伝子も混ざったらしい」
「そんな…!」
「多受精。稀にあることです。生まれるなんて本当に極稀ですが、ない訳じゃないことです」
「ほら!そうでしょ!」
「だから大丈夫だよ!」
違うの!私は、多受精の子を産める身体なの!
「パリシアは嫌なのか?3人の子なんて」
「私は嬉しいわ!愛した人と特別な人と繋がった子が生まれたのよ!」
ジュノット、その言い方はずるい。
そんな言われ方したら拒絶なんか出来ないよ…。
「…うれ、しい」
「でしょ!大丈夫よ!この子だけが特別だって、他の子がパリシアに似てたって、私は同じように愛すわ!」
「親として当然だろう」
ロザラオとジュノットは、本当に幸せそうにそう言って微笑んでくれた。
使命なんかどうでもいいかもしれない。
「ありがとう」
ロザラオとジュノットが望んでくれるなら、二人の為に産もう。
ただ、私達のために最愛の子達を《救世》なんか関係なく。