四雪目
まだ、プロイスとスレルトが出てこない(´・ω・)
お風呂から上がり、質の良い服を纏う。
メリッサに紅茶を入れて貰い、昼食まで時間を潰しながら待つ。
お風呂から上がったのが微妙な時間帯だったので、何をする事も出来ず、爵位の上のメリッサにお茶を入れてもらうのは、些か居心地悪かったが、向こうも仕事なのだと割り切った。
実際、身分の低い娘が王の寵愛を受け、自分より身分の高い者に世話された事例もあるし、仕方ないことだ。
「パリシア様」
「あら、ポーストン様。どうなさいまして?」
部屋の扉をノックする音と私を呼ぶ声のする方を向けば、逃げやがった野郎がキザなポーズで立っていやがった。
まあ、笑顔が引きずってるけどね!
「いえ、王様と王妃様がお昼をともにしたいとおっしゃっております」
「…分かりました。では、すぐに向かいますとお伝えください」
「っはい!」
かなり苦手意識を持たれたらしく、逃げるように去っていったポーストン様を尻目に、メリッサに用意をさせる。
にしても、王太子やスレルト様以前に王様と王妃様に会うことになるなんてなぁ…。
「出来ました!」
「ん?ああ、ありがとう。では、行きましょうか」
「はい!」
服は先ほどよりも上質な絹織物となり、髪型も簡単ではあるものの上品で鮮やかな髪飾りをつけられ、手早ではあるものの、王様と王妃様とご飯をともにしても恥ずかしくない格好になった。
「急に呼んですまない」
「いえ、お相伴あずかり、光栄に存じます」
「そうか…座ってかまわん」
「はい」
大きな食卓では、王様と王妃様が座っており、許可が出たので私も座る。
特に話しかける必要性も感じないので、ゆっくりと味わいながら、それでいて黙々と食べていた。
あー、これ好きだわー。
「…ごめんなさい」
「え?…王妃様?」
ずっと暗い顔で俯いていた王妃様が何かを呟いていたけど、聞き取れなかった。
べっ、別に仕事放棄して駆け落ちしたから気まずいとか、ないんだからね!
「プロイスの事…。あの子、普段こんな事する子じゃないのよ!でも…それなのに…」
「ソルディア…。ふぅ…パリシア。わしからも王としてではなく、プロイスの父親として謝らせてほしい。…すまない」
「っあの!気にしていないとは言えません。でも、わたくしにも王妃様の侍女を放棄したという後ろめたい事実があります。両陛下にそのような態度をとられては困ります」
泣き出す王妃様にその肩を抱く王様の姿は、一枚の絵画のように美しいが、そんなお偉いさんに謝られても、反応に困る。
「それで、殿下はどちらに?」
話を逸らすために聞いたのに、ばつ悪そうに顔を逸らす王様とそんな王様の腕の中でさらに肩を震わせる王妃様に嫌な予感しかしない。
「………スレルトが風邪をひいてしまってな…、その、心配だからと側を離れなくてな……すまない…」
うわぁー、こちらこそ言いにくい事言わせてすみません。でも、ざけんな!!って叫びたくなったのは仕方ないよね?そうだよね?さらった挙げ句放置とか何考えてんの?まじで子供産む道具とでも思ってんの?あいにくこっちとら順風満帆な生活しとったんだよ!!金要らないから帰しやがれ!!私を大切にしてくれるロザラオとジュノットの所に!!
「っ!パリシア!これからはお義母様と呼んでくれて構わないわ!何でも相談してちょうだい!」
「考えておきます。それで、お言葉に甘えさせて頂くと、どうやったら帰してもらえますか?」
王様と王妃様が泣きそうな罪悪感の浮かぶ顔に、悪いことをしてる気になるけど、帰りたいものは帰りたい。
でも、殺伐とした食事も嫌だしなぁ…。
「…申し訳ございません。王太子殿下のなさった事、王太子殿下に申します。ですが、両陛下も殿下を説得してくだされば幸いです」
まあ、妥協策だよね。
「ええ、言うわ!必ず!」
「すまないな…」
「いえ、それよりも今は食事を致しませんか?勝手ながらわたくし、暗い食事はどうにも苦手でして…」
「そうだな」
「ええ、食べましょう」
豪華で美味しい料理に舌鼓をうちながら、しっかり味わう。
はぁ…やっぱりプロは違うなぁ。私のと比べ物になんないくらい美味しい。




