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第七話 ノーハートたちのお正月

1月1日火曜日。20××年の始まりですよっと。もっとも、年が変わる瞬間は寝てたのでわからないが。

「あけましておめでとー!!」

「おう、佐竹。」

「あ・け・ま・し・て・お・め・で・と-!!!!!!!」

「ああもうわかった!!おめでとう!!」

今、俺たちは初詣に来ている。俺は神なんて信じないからいつも行ってなかったんだが、佐竹がどうしても行きたいというのでついてきた。それにしても佐竹の奴、よくこんなところではしゃげるな。うるさいことこの上ない。

「新年早々しけてるといいことないよ!!」

「お前は少しうるさすぎる。」

佐竹が文句を言ってきたが華麗にスルーする。ダメだ。誰か、ノーハートの定義を教えてくれ。少なくとも、俺は佐竹をノーハートとして認めたくない。

「じゃあ、お参りでもしよっか!」

「ああ、わかった。」

こうやって、神社の中に入っていった。


 当たり前なんだが神社には大勢の人がいた。さすがに人が多すぎる。お参りは後だな。

「どうする?佐竹。」

「う~ん。とりあえず、ならぼっか。」

「・・この大人数でか?」

「ほかに何かすることはあるの?」

「・・・いや、ない。」

しょうがないな。俺たちはひたすら順番を待った。


 1時間後、やっと俺たちの番がやってきた。

「さてやるか。」

お賽銭にお金を入れ、願いを言う。おれにも願いがあるし、一応言っておくか。


―今年一年、面倒なことが起きませんように。


「さて終わったと。」

「黒田君は何を願ったの?」

「今年一年面倒なことが起きませんように。ってな」

「ふ~ん。黒田君らしいね。」

「そういうお前は?」

「え~と私は」

佐竹は少し戸惑いながらいった。

「黒田君とずっと一緒にいれますようにって。てへっ。」

ほらな、やっぱり神なんて信じないほうがいいんだよ。正月から面倒そうなことが起きてんじゃねえか。佐竹、てへっとかいうな。


「じゃあ次はおみくじでもしに行こうよ。」

「ああ、いいぞ。」

おみくじのところは人が少なかったのですぐに順番が回ってきた。

「さて、何が出るかな~?」

まずは俺、出てきたのは小吉だった。まあまあか。

「ジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカジャカ・・・ジャン!」

お、佐竹も引いたようだな。

「大吉だ~!やった~!」

うわ、大吉が当たっただけでめちゃくちゃはしゃいでいるし。

「え~と?{今年は恋愛運が急上昇!異性にどんどん告白されるかも}だって!キャ~!!」

恋愛の神様こんにちは。さっそく面倒なこと起こすなよ。


 初詣も終わったので、俺と佐竹は俺たちの家の近くにある公園に行った。

「あれ?告白されちゃう?キャ~!!恥ずかし~!!」

「うるさい。」ズバッ

厳しいツッコミを一発入れた。その瞬間、佐竹が妙に悲しそうな顔をした。

「そんな・・・黒田君、ひどい。」

「ノーハートだからな。仕方ないことだ。」

それにしても、子供が多いな。それに寒い。

「佐竹、俺ん家寄ってくか?」

「うん。そうする。」

とりあえず、俺たちは俺の家に行くことになった。


「さてと昼飯でも作るか。寒いし、ホワイトシチューでいいな。」

「私も手伝うよ。」

「そうか。サンキュー。」

俺たちは協力してホワイトシチューを作ったのであっという間にできた。

「あ、うまっ。」

「本当、二人で作ったからかな?黒田君と二人きり。キャ~!!」

「佐竹。」

「何?黒・・・」

「そのネタは飽きた。」ビシッ

本日二回目の厳しいツッコミ。またも、佐竹はショックを受けている。

「・・・ネタじゃない。」ボソッ

何か言っているようだったが、特に何も聞こえなかった。


 6時、外はもう真っ暗だ。

「じゃあ、私、帰るね。」

「ああ、家まで送ってく。」

まあ、佐竹のことだし、危ないってことはないと思うが万が一のためだな。

「本当!?ありがとう!!」


 暗い夜道。雪が少し積もっていて、一歩一歩歩くたびに『サクッサクッ』と、音が鳴る。

「今日も寒かったね。」

「まあ、そうだったな。」

「ハッハクション!!」

「おい、大丈夫か?これ着ろよ。」

とりあえず、俺が上に羽織っていたジャンバーを佐竹に着せる。

「あ、ありがとう。」

「さてと早く送らなきゃな。」


 やっと、佐竹の家についた。

「ありがとう。送ってくれて。」

「何、当然。」

「バイバイ。おやすみなさい。」

「おう、おやすみ。」

何気ない会話をしたところで、俺は一人で家に帰った。


―まだ、俺は気付いていなかった。佐竹が今日発した言葉はとても大きな意味を持っていたんだ。


そのころ、佐竹宅。

「ゴホッ!ゴホッ!」

佐竹は手で口を押さえ咳をする。

(本当にずっと黒田君と一緒にいれたらいいのに・・・)

「ゴホッ!ゴホッ!」

佐竹の咳が止まらない。口を押さえていたその手は紅く染まっていた。

次回は急展開!!お楽しみに!!

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