燃えろ挑戦者
「『燃えろ挑戦者』を見る!!」
「何言ってんだバカヤロー!!」
恐るべきことにこの駐在所ではチャンネル権の取り合いが発生する。職場兼宿舎兼幽閉先なので本当に駐在所から出る手段がなく、一応宿舎でもあるので茶の間みたいなところがある。ここに備え付けられたテレビをどう使うというのはマジで大問題、何が何でも見る!!とあまりにこだわると画面の中の百面鬼に襲われるかもしれない、という聞いたことのない心配をすることがあるので、基本はレイコと俺で衝突しない範囲で領空扱い、侵犯するとなったら相当の事態。でも今回は、言い争いが起きた。
レイコはこういうヤツなので銭に目がない。自分の銭ならまだわかるが他人の銭の話が大好きだという、あの時代のこういう地方ならすごく適性があるだろうみたいな片鱗がうかがえる。俺はというと、この駐在所に勤務した時間がレイコよりもっと長いので親近感を覚える番組を見たい。こないだの特番のせいだな。最初はグー!!またまたグー!とじゃんけんを始めると「乗せられるところだった!!」とレイコが警戒して勝負が中断する。根本的にコントセットで生きているのだから思考回路は似る。
ねえん、お願い♡なんて言われるとこんなのが相手でもガードが緩むのが男の性で、こちらも厳戒態勢。頼む!オレの母校の入り口にあったヤツにそっくりなんだ!と「通らないよなあ」と思いながら頼んでみたら、「仕方ない」と譲ってもらえた。レイコはこんなんだけど、案外感傷というか泣き落としに弱い。




