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初戦闘とマルダの教え

ガルゼンのあとをついていくと、やがて視界が開け、穏やかな川が流れる場所に出た。

水面はきらきらと光を反射し、鳥の声も聞こえる。どうやら、先ほどの淀んだ湖とは違い、ここには魔素溜まりの気配は感じられなかった。

「よし、ここなら安心して魔物との実戦を経験させられそうだな」

うんうんと満足げに頷きながら、ガルゼンは周囲を見渡す。

「ほんとうに大丈夫なのでしょうか……」

ガルゼンの背後では、セルナがやや不安げな表情を浮かべていた。

「大丈夫、大丈夫。むしろ、これすら倒せないようじゃ、旅なんてできねぇぞ?」

「そ、そうですよね。頑張らせていただきます!!」

「おう、その意気だ。さて、どこかにちょうどいい相手はいねぇかな〜……」

ガルゼンは周囲をきょろきょろと見回し始めた。

彼の記憶では、このあたりには不定形魔物の筆頭・スライムや、昆虫型の人型魔物がよく出没するはずだ。


と、そこへ、川の草むらの先に、一体だけうろうろしている魔物の姿があった。

それは《マンサグリオ》━━人の背丈ほどもあるカマキリ型の魔物だった。

中型に分類される魔物で、両腕にある大きな鎌を振るい、鋭く切り裂いてくるのが主な戦法。

ただし、鎌を振り回して攻撃するので攻撃範囲がとにかく広く、仲間と連携を取るのが難しい。また、知能も高くないことから群れを成すことはない。

見た目こそ威圧感があるが、動きは直線的で読みやすく、冒険者の初戦闘相手としては悪くない。

「よし、あそこにちょうどいいのが一匹いるな。あいつで実戦経験を積んでおくか」

「はい!では、行ってまいります!!」

草むらの陰から様子をうかがっていたセルナが、少し興奮気味に飛び出しかける。

「お、おい待て!? なんで急にそんなやる気満々なんだ!?」

がばっとセルナの腕を掴み、ガルゼンは引き止める。

ついさっきまで魔物との戦いを怖がっていたように見えた彼女の突然の積極性に、思わず驚かされた。

「えっとその……こういう緊張する時は、とっととやってしまえというのがマルダ様の教えでして……。なので、とりあえず一回ぶつかってから考えようと」

「……あのババア、やっぱり正気じゃねぇな。……いや、まぁ、あいつらしいけどなぁ……」

遠い目をして、かつての戦友マルダを思い出すガルゼン。

「はぁ……まぁいい。とにかく一つ確認だ。あの魔物について、知識としてどれだけ理解してるか、聞かせてくれ。準備ができてるなら、好きに行っていい」

「はい。えっと、あの魔物は《マンサグリオ》。両手が鎌になっている中型の昆虫魔物で、攻撃方法は主にその鎌を振り回してくるものです。群れは作らず、基本的に単独行動。動きが直線的なので、攻撃をかわしながら戦うつもりでした」

「お、おぉ……ちゃんと考えてはいたんだな。安心したわ。ベルヴィアの時から感じてたが……お前、実はマルダに似て、“ぶつかってから考える”タイプだな?」

「えっと、多分そうです。シスターの皆様にも、そんなふうに言われておりました」

えへへ…と照れたように笑うセルナに、ガルゼンは肩を落とす。

「まったく……しっかりしてそうに見えて、お前さんはどこか無鉄砲だよな。まぁ、分かってるなら任せるさ。俺と修行してきたんだし、いけるだろ。危なくなったらすぐ戻ってこいよ」

「はいっ!改めて、行ってまいります!!見守っていてください!」

ぶんぶんと腕を振って気合いを入れると、セルナは小さな身体でマンサグリオに向かって駆け出していった。

PCが突然お亡くなりになりました。

デスクトップだったので、本体だけ買い直してます。


お金が、無くなり、ました(真顔

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