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巡礼の始まり

 ベルヴィアの村を出て、二日が過ぎた。

 二人の旅路は驚くほど順調で、空は雲ひとつない晴天。太陽はじんわりと照りつけてくるが、そよぐ風がそれを心地よく和らげてくれる。

 ここアグアラカ地方は、メヒアカ大陸の中でも特に穏やかな気候と自然に恵まれた土地だ。水の灯台《セアラ灯台》の加護を受け、土地は肥沃で川や湖が多く、農業も漁業も盛んである。マーマンやマーメイドといった水棲の亜人たちが多く暮らしており、陽気でのんびりした気質の者が多いのも特徴だ。

 それに、この地方はトナリ教会の巡礼ルートの中でも“初心者向け”として知られている。

 火や風の灯台周辺のように険しい地形や強力な魔物が出るわけでもない。この地方には、環境に適応しきれなかった比較的弱い魔物が多く、初めての旅にはうってつけというわけだ。


 セルナにとっては、人生で初めての旅路。見るものすべてが新鮮なのだろう、彼女はきょろきょろと辺りを見渡しながら、時おり草花や鳥に目を奪われていた。

 そんな様子を横目に見つつ、ガルゼンは歩きながら考えていた。

(……そろそろ、一度は魔物との戦闘経験を積ませたいところだが)

 この道では、記憶の限りではそれほど危険な魔物は出ない。だからこそ、ここで実地訓練をしておきたいのが本音だ。あってはならないもしもの時のために。

 ちょうどその時、セルナが問いかけてきた。

「ガルゼン様、あとどれくらいでナシーネの街に着くでしょうか?」

「そうだな。あと三時間も歩けば着くと思う。ただなぁ……」

 少し残念そうな顔をするガルゼン。それを見たセルナが不安げに首をかしげる。

「……ただ?」

「ちょっと順調すぎてな。セルナ、お前に一度は魔物との実戦を経験させておきたいと思ってたんだが、このままじゃ何も起きずに着いちまいそうでな」

「え、えぇ……そんな、わざわざ危ないことをしなくても……」

「いざという時に備えるのも、巡礼のうちだ。俺がいないときに魔物と出くわしたら、どうするんだ?」

 言われてみればその通りだと、セルナも頷かざるを得なかった。だが内心では、やはり少し怖さもある。

 ガルゼンは周囲を見回しながら、うーんと唸る。

「やっぱ街道沿いは安全すぎるな。少し脇道に逸れるか。この先に湖があって、前はそこに水棲の魔物がいた筈だ。まだ人型寄りのやつなら、最初の相手にはちょうどいいだろ」

「えっ、湖……ですか? ま、待ってくださいガルゼン様!」

 そう言いつつも、ガルゼンはずかずかと街道から外れていく。仕方なく、セルナも慌ててその背を追いかけた。


 約二十分後、ふたりは目的の湖にたどり着いた。

「あの、ガルゼン様……本当にここで合ってるんですか?」

「うーん……確かに場所はここで合ってるはずなんだがなぁ……」

 湖は、明らかに様子がおかしかった。水面は黒く澱み、魔素が濃く滞っている。

 ガルゼンは頭を掻きながら唸った。


「前に来たのが、かれこれ五十年前だからなぁ……もうちょっと澄んでたんだけどな、昔は」


すみません、次の話書くのに1ヶ月空きました(真顔

あとセルナの外見めっちゃ悩んでいて顔だけ…とか…になりそう…ですね…。


とりあえず描けたら載せたいと思っているので、今後もよろしくお願いします。

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