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第29話:ゴブリン狩り


「ぎああああ!」


 洞窟の空間そのものを占拠するような大きさのゴブリン。ていうかこれをすでにゴブリンと申してもいいものか。振るわれる魔剣はガリガリと壁を削り。そうして俺に襲い来る。


「ほい」


 その俺は剣を掻い潜って、ゴブリンジャイアントの顎に蹴りを加える。結構威力高めだが。ギロリと睨んでくるゴブリンには然程効いていないようだ。


「――感電ショック――」


 さらに銃撃。顎から頭を……撃ち抜けなかった。


「うそん」


 ちょっと予定が崩れた。簡単なレールガンとはいえ、ゴブリンの肌を貫けない銃撃ってあるのか?そして距離を取るためにゴブリンの胸板を蹴って距離を取る。ほぼ同時にリインの魔術が飛んだ。


「――火球ファイヤーボール――」


 火炎が球状に圧縮され飛ぶ。それはゴブリンジャイアントに被弾して爆発。辺りを炎で包む。その爆炎の中から。


「ぐうううう!」


 唸り声を上げるゴブリンジャイアントが現れた。ダメージ無し……ね。


『そもそもゴブリンなのか? アレは』

『ゴブリンロードじゃなかったか?』

『いやあんなにデカくねえって』

『新種?』


 肥大王は視聴者に見えていないので、確かにそういう結論になるか。


 俺はマヨイバシの銃口をゴブリンに向けた。


「――雷撃ライトニング――」


 ズバシュウッッ! と空気を割いて弾丸が飛ぶ。さすがにこの威力を装甲も纏っていないゴブリンでは防ぐことは出来ないだろう。


「があああああ!」


 貫いた弾丸がゴブリンの身体に穴をあけ、そうしてダメージを与える。と思いきや。


「ううううう」


 グジュグジュと肉が盛り上がって、穴をふさいでいく。


「再生能力だにゃ?」


「他のものには見えんな」


「ああ。面白いだろう? ゴブリンにも可能性はある。私はそれを具現しているだけだよ」


 肥大王は面白いとばかりにそう言う。コイツのせいでゴブリンロードがゴブリンジャイアントになったのだから文句をつけるべきなのだろうが。今は構っていられない。


 一応一発撃っておくか。


「――感電ショック――」


 肥大王目掛けて銃弾を撃つ。


「――レイドカレイド――」


 撃たれた弾丸が肥大王の残影をすり抜ける。


「エクスカリバー騎士道魔術にゃ?」


「だろうなぁ」


 ウィンディーズ王道魔術と市場を争っている魔術だ。オーバリストが使えるとは寡聞にして知らんのだが。


「ぐおおおおお!」


 おわっとぅ!


 意識をゴブリンジャイアントに戻す。振るわれた魔剣を反射で躱す。前衛は俺だ。後衛はリイン。ウツロ? そもそも戦力外。ゴブリンのみぞおちに拳を埋め込み、そのまま正中線を殴り抜く。


「雄雄雄雄ッッ!」


 フルボッコにする俺。再生能力があっても、叩きつけられる連撃は勘弁してほしいだろう。


「ぐああああ!」


「ああああっ!」


 振るわれる魔剣を夢想願流の足譚で踏み潰し、そこからさらに加速。顎を蹴り抜き、さらに蹴り、蹴り、蹴る。顎を通して脳を揺らす。


「いいいい?」


 そのふらつく意識をゴブリンジャイアントは理解しているだろうか?その頭部に俺はスチャッと銃口を向ける。


「じゃあな」


 ラスト一発。


「――雷撃ライトニング――」


 その一撃がゴブリンを討ち滅ぼした。消える死体。そこから大量のエーテルプリズムをゲット。うん。さすがにアレだけ強ければエーテルプリズムの量もかなりのものだ。


『おお。倒しちゃったよ』

『前から思っていたがパイセンって対個戦闘だったらかなり強くね?』

『で、対軍戦闘がリインちゃん』

『結構いいパーティかもな』


 お褒めの言葉をありがとう。


「で? テメェは何だ?」


 俺は肥大王に銃口を向ける。


「なんだ……と言われても。肥大王は肥大王であるからに」


「モンスターを強化しているのか?」


「可能性を精査しているのさ」


 精査……ね。


「君は少し不思議だね。ギフテッド・ワンかい?」


「ああ、そうだ」


「よろしい。王を名乗らないかい? 共和王政は王を望んでいる」


「却下だ」


 ていうか。こんな輩がうろついているならダンジョンってマズくないか? 場合によっては浅層でも地獄になりかねない。肥大王がうろついていれば、それは即ちエリアボス並みのモンスターが量産されることに他ならない。


「――ランスクリアランス――」


 ヒュンと、見えない刺突が俺を襲った。勘だけを頼りに避ける。


「ッ?」


 つまり敵対するのか?


「ここでは肥大化は難しいかな? 洞窟のエリアだものね」


 もっと広いともっと大きくできる……と聞こえるのだが。


「その通りだよ。残念ながら、ね」


 こっちとしては笑えんのだが。


「肥大王。あにゃたはにゃんだ?」


「単なるオーバリストだよ。人類と仲良くしたいだけの、ね」


「オーバリスト……にゃ」


 その単語も聞いたことが無いのだろう。当たり前だ。それは神秘世界ミステリアルでの単語なのだから。


「侵略の間違いじゃないか?」


「まさか。こっちはただの共和王政。単なる国民に傅く王様だよ」


 その意味もようとわからんのだが。


「では後刻。また会おうじゃないか」


 そう言って薄れるように透明になっていく肥大王。俺はそこにもう一発ぶち込む。


「――感電ショック――」


 超音速で弾丸が飛んで、だがすり抜ける。一応効くはずなんだがな。相手だって物理的に存在しているのだから。


「うーん?」


 まぁよくわからないことはわからないままに。


「とりあえず報告が必要だな」


「肥大王。アレはヤバいね」


「それでメテオールちゃんは……」


 あ。


「美味」


 普通にアイテムを取り込んで一体だけであっさりとサボタージュをしていた。コイツがいればもうちょっと話は早かったのだが。


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