説教マージャン
おぅ、対面の若い兄ちゃん。
ここいらじゃ見かけない顔だが、この店は初めてかい?
ふーん、そうかい。
ピンのフリー雀荘は初めてかい。
まぁ学生さんには点5の店がお似合いだからな。
ピンの雀荘に一人で打ちに来ただけでもいい度胸してるぜ。
オレなんてよ、ピンで打ち始めたのは30過ぎてたからな。
その頃のオレは仕事が上手くいなかくなっちまってよ。
憂さを晴らすために、たまたま気まぐれでこの雀荘にふらりと立ち寄ったってわけさ。
そんで打ってみたらよ、思ったよりメンバーが大したことなくってな。
それ以来、ずっとこの店で稼がせてもらってるよ。
おっと、そのイーピンはポンだ。
……でもよぉ、兄ちゃん。
若い頃にマージャンに現を抜かしてると、きっと後で後悔するぜ?
このオレが言ってるんだから、間違いないぜ。
あんた、学生さんだろ?
「学生の本分は勉強だ」なんて固いことは言わないけどよ、若いうちにいっぱい恋愛をしておかなきゃ、ロクな大人にならないぜ。
捨て牌なんて読めたって別にどうって事ないが、そんな事より女心が読めるようになることの方がよっぽど大事だからな。
ちなみに俺は高3のときに、当時大好きで付き合っていた彼女にフラれちまってな。
それが原因で恋に臆病になっちまった。
女なんて星の数ほどいるってのによ。
なんであんな女にフラれた事をいつまでも後悔してるのか、今でもよく分からねぇ。
おっと、上家の旦那。
そのパーソーはチーさせてもらうぜ。
……とにかく悪いことは言わねぇからよ、彼女作ったらどうだい。
やっぱ若い頃は恋してナンボだろ。
え? 兄ちゃん、彼女いるのかい?
だったらこんな所でマージャンなんか打ってる場合じゃねーのか?
たまには彼女のイーピンでも摘んでやらねーとよ。
知らないうちに他の男に頭ハネされちまったら、目も当てられないぜ。
なぁんてな。
おっと、そのウーピンはポンだな。
……とにかく今の彼女を大切にしてやんな。
まったくの不意打ちで別れが来ることだってあるんだからよ。
人生なんて一寸先は闇だからな。
交通事故で彼女が突然死んじまうかもしれないし、別の男を好きになって、兄ちゃんから気持ちが離れていっちまうかも知れねぇ。
いくら後になって後悔したって、取り返しがつかないぜ?
あ、そのリャンマンはチーだ。
……だからよ、兄ちゃん。
若い頃の時間は大切に使えってことだ。
時は金なり、って言うだろ。
ん? なんだ。
今さらリーチかい?
兄ちゃん、背中が煤けてるぜ。
悪いな、そいつは通せねぇ。
そのパイパン、ロンだ。
やっぱ学生さんは、まだまだ打ち方が甘いな。
……で、兄ちゃん。
これ、何点?
え? 役が無いから上がれない?
馬鹿言っちゃいけねぇ、白は立派な役じゃねーか。
なぁ、上家の旦那。
え? 雀頭が無い?
ていうか、何で手牌に白が2枚あるのかって?
そんなこと知るかよ。
麻雀格闘倶楽部じゃ、こんな事は一回も起きなかったぜ。
これだから素人は困るってもんだ。
え?
何だよ、多牌って。
まったく訳の分からない事ばっかり抜かしやがって。
もうこんなメンツとは打ってらんないぜ。
じゃあな。
読んで頂き、ありがとうございました。




