お年寄りの面会~守るべきは何か~
まん延防止等重点措置が解除され世間が少しずつ動き出してきました。
何か感染者数が爆増していてその内また発令されそうですけどね。
ウチの市町村でも野外フェスやらやりまくってる影響なのかえげつないレベルで感染者数が増えてます。
さて、今回はお年寄りの面会について話してみようと思います。
まん延防止等重点措置の解除に伴いやはり面会の問い合わせが増加します。
そりゃ、今までずっと我慢してきたんですから会いたいですよね?
でも……『会えません』。
世間はまん延防止等重点措置による制限が解除されていますが老人ホームはそういうわけにはいかないんです。
今はタブレットを使った上で条件が限定されたオンライン面会のみとなっており対面は不可能な状態でとなってしまっているのが現状です。
職員の中には『世間は色々解禁しているのに何でウチはしないの?』という意見を言う人も居るのですがちょっと待ってください。
若者がコロナに罹るのと利用者が罹るのではワケが違います。
クラスターが起きれば大パニックです。下手したら死者が出ます。
ていうか以前クラスターが発生した時にどれだけ大変だったかお忘れでしょうかと問いたいです。
職員の数も段々減っていき新しく入職する人も少ないんです。
クラスターが発生したら詰みかねません。
以前、専用の部屋を作ってそこで距離を開けて短時間での対面面会や窓越しでの面会なども実施したこともあり、それを復活させればいいのではという意見もありますが残念ながら予定はありません。
というのも、『ルールを守れない』からです。
気持ちはわかります。久々に会えたんです。嬉しくてたまらないでしょう。
ですが次の様なルール違反が相次いでしまいました。
1.距離を詰めてハグ
ソーシャルディスタンス!
2.職員が居ない事を良い事に持ってきたものを食べさせようとする
マスクを外しており論外です。
3.窓を開けてこっそり物を渡す
それくらいなら、と思っているのでしょうね。
4.時間を守らない
別れが惜しいのはわかります。今生の別れになる事だって無くはありません。
中には遺言書を書かせようとしている方々も居ました。
5.大人数で来る
最大数は二人までです。
とまあ、こんな感じでルール違反が数多くありました。
何が恐ろしいってこれらの違反をした方には事前に説明をきちんとしてるんです。
譲歩に譲歩を重ねて、このルールです。本当は面会は完全にシャットアウトしたいです。
それでも『これくらいなら』という感覚でルールを破ってしまう。
きちんとルールを守っている人だっているんです。
だけど結局、こういう人たちのせいで面会の制限を緩めることが出来ないんです。
世間は色々解除でもウチは命を預かっているので一時の感情で多数のお年寄りを危険にさらすわけにはいかないんですよね。
難しい問題だと思いますがそれでも『何故ルールがあるのか』を考えていただきたい。
因みにですが流石にターミナル期に入った利用者については面会制限が少し緩くなります。
そして、まん延防止等重点措置解除に伴い起きた新たな問題。
『何か見たことない知り合いがやってくる』です。
基本的に面会のガイドラインについては変更になったりすると家族に手紙を送ります。
ただしそれはキーパーソンのみ。
なのでまず、キーパーソン以外でキーパーソンとあまり連絡を取り合っていない家族がやってきたりします。
予約が無い状態なのでお帰りいただく事になり怒る方も居ますがあんたは完全予約制の店に飛び込みで入るのか?といった状態ですね。
そしてもうひとつは利用者の個人情報にも載っていない様な知り合いがまん延防止等重点措置が解除されたからやってくるパターンです。
大抵は高齢の方です。タクシーで乗り付けて来て『Aさんに会いに来ましたの』とか言います。
タクシーの運ちゃんが『お客さんはわざわざ遠くから電車を乗り継いで来たんだから早く門を開けろ』と喚きます。
ウチの地域の運ちゃんはガラが悪いので嫌いです。
いやね、『他所の県からやってきて』『マスクはせず』『電車に乗ってきて』『予約も無しで』『対面面会希望』とか最悪のコンボじゃないですか。
『他県からマスクをせず電車を乗り継いできた無予約老人の対面面会』なんていうなろうっぽいタイトルが出来上がりましたよ。
遠くからお越しいただいたのに申し訳ないのですが丁重にお断りしました。
杓子定規だとか色々言われたりしますが私達としてはそこで暮らす多くの利用者を守るのが大事なのでこういう判断をしなければならないんです。
あとどれくらいこの状態が続くのでしょう。
早く終わる事を願うばかりです。