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ディヴィジョンマウンテン第50層

 モイザの調子も完全に戻ったようだし、ベードも休憩する前からやる気満々といった感じ。さっそくベードに乗って49層へと突入。

 48層と同じようにミミズたちの気配をサーチエリアで砂中に感じるけど、こちらに向かってくるようなことはない。どうやらベードの潜伏が砂中の魔物に気づかれなくなったようだね。むしろ今までばれてたのはなんでだったのだろうか?

 答えてくれるか不安だけどレイトに聞いてみたところ、熱でばれていたみたいなことを言われた。熱というか体温ということかな?

 どうやら体温でばれていたであっているらしい。何を教えてきたのかまでは教えてくれなかったけど、ベードに体温を察知されないようにする技を教えてきたってことなのかな?

 49層はミミズとの戦闘なしで駆け抜けたおかげであっという間に50層に到着。ついにここまで来たな。

 問題はここもやっぱりボス的な魔物を倒さないと進めないかどうかだけど、確認しに奥まで行くのも変だし、せっかくなら戦ってやろうじゃないか。

 ってあれ?サーチエリアに砂中に何体かの反応がするけど、あれってミミズじゃないか?うん、ミミズだろうな。大きさが49層までにあってきたミミズと全く同じな感じ。


「どういうことだ?10層みたいにボスがいないってことはないと思うんだけど・・・」


「きゅ!」


「え?」


 なんかレイトが気を引き締めろみたいなことを言ったけどなんだ?いや、これはマジでなんだ!?砂の中の奥深くにすさまじくでかい気配がする。今までの奴とは確実に違う!

 僕達に向かってきてるわけじゃないけど、砂から出てくる勢いだ。ちょうど近くに出てくるみたいだし、識別ついでにその姿を見てやろうじゃないか。


「なんだ、あれ・・・」


----------

≪識別結果

マウンテンデザートヒュージイビルセンティピード 危:B

山にある砂漠地帯にすむ巨大凶悪な百足。その巨体が進む先にあるすべてのものを食い破る≫

----------


 茶色の巨大すぎる巨体はゲームでまれにみる巨大生物そのもの。出てきたのは半身程度に見えたけど、あんなの僕は丸のみにされる、それどころか下手をしたらベードですら丸のみにされるんじゃないかと思うようなサイズ。今までにあんな大きな生物いなかったじゃないか。急すぎてびっくりしたけど、こちらに気づいたというわけではないようだ。

 どうやら砂の上部にいたミミズの一匹を狙って食いに来たという感じ。というかあいつを倒さないといけないのか?本当に?


「ちょ、ちょっと出口を確認してこよう。」


「ばぅ。」「きゅ・・・」


 ベードは快く返事してくれたけど、レイトにやれやれと言われた気がする。そうはいったってあれは危険すぎないか?四腕熊と同じ危険度Bなのかあれが?

 ということは体はあそこまで大きくなかったけど、四腕熊が相当に強い生物だったということになるけど。

 ベードのおかげで49層よりは時間がかかった気がしたけど、難なく出口には到着した。でも青いテープのような物が張られて進むことはできないというのがわかる。やっぱあいつを一度は倒さないと僕たちを進める気はないか。


「しょうがない、いくか。レイト危ないと思ったら助けてくれよ?」


「きゅ。」


 さっき見かけたあたりにまでとりあえず戻ってみると、砂中深くにあのとてもでかい気配を感じる。

 ・・・で、どうやって砂から引っ張り出すんだこれ?そもそも砂上に出した後、あいつを拘束して意味あるのか?

 拘束できないとまた砂中に逃げられるし、戦闘が始まったら多分今までと同じように潜伏してるのも気づかれちゃうだろう。そうしたら僕たちは襲われるのは明白だ。


「いや、やるしかないか。」


 拘束するなら属性の弱点で拘束したほうがいいとかあるかもしれないけど、何が弱点かわからない。なら一番扱いに長けてる炎でがんじがらめにするのがいいだろう。

 砂の中では土術の砂以外がうまくできないのは試し済み。まずは砂から出すのが優先だろう。


「うまくできるかわからないけど、とにかくあいつを砂上におびき出す。ベード、モイザ、少しでもいいから拘束を頼む。難しいと感じたらすぐに攻撃にシフト。フレウドも少しでもいいから体力を削ってやれ。」


「ばぅ!」「――――!」「コ!」


 砂の壁で押し出し、砂の紐を括り付けて引っ張り上げるつもりだ。うまくできなくても最悪攻撃すれば激怒してこちらを襲っては来るだろう。

 砂を扱うのにベードから降りたけど、危ないと感じたらヘイストで逃げるつもりだ。よし、やるぞ。


「サンドストリング、サンドバインド、サンドウォール!」


 右手を砂地に押し付けて集中、サーチエリアで感じ取りながら砂を紐状にして、あの巨大ムカデに括り付ける。そして左手を砂地にたたきつけてその真下から砂の壁を作って思い切り押し上げる!思ってる以上にうまくいってるっぽい、押上式一本釣りだ!


「来るぞ!引き上げた後炎の拘束に切り替える!」


 僕達から少し離れたところから砂の紐が巻き付いてはいるけど、砂壁に押し出されてあの巨体が再び砂上に全身を姿を現す。やっぱり全身だととてつもなくでかいな。

 そして何かおぞましくけたたましい声が聞こえた気がする、あいつの声だったのだろうか。でもそんな場合じゃない。右手は砂につけたままだから左手だけで炎の紐を作るイメージに集中!


「フレイムストリング!からの、フレイムバインド!」


「ばぅ!」「――――!」「コココ!」


 べ―ドとモイザもそれぞれ影と糸によってあの巨体の拘束を手伝ってくれる。フレウドはいくつもの風の矢をムカデの上部に出現させて降らせ始める。


「砂の中に逃がすなよ!そうしたら相手の土俵になる!」


 皆だけじゃなく、僕自身にも言い聞かせる。砂の拘束は解いて、炎の拘束にだけ集中、左手だけの時はすさまじく暴れて今にもほどかれそうだけど、両手をぎゅっと握りしめて拘束に集中する。


「ベード、モイザ!僕だけで拘束する、体力削ってやれ!」


「ばぅわぅ!」「――――!」


 ベードとモイザに攻撃に回ってもらう。ベードとモイザの拘束が解けた瞬間、負荷がさらに増すけど、何とか地面から伸びた炎の紐で空中に拘束させるのは継続できてる。

 ベードは影の爪で炎の拘束のない場所を狙い何度も切りつける。モイザは一度解いた糸をもう一度練り始めたようだ。どうやら締め付け用の糸を生成し始めたようだな。

 その間にもフレウドもずっと風の矢を降り注ぎ続けていて、ちらっと見たけどかなりきつそうな表情だ。

 少しするとモイザが糸をあの巨体全身に巻き付けて締め付け始めた。またおぞましくけたたましい声が聞こえた気がする。僕もあんな風に締め付けられたらもっとダメージ効率上がるんだけど、そんなことにシフトできるほど余裕はなかった。

 でもモイザの拘束も合わさったおかげで少しだけ余裕ができた、もっと締め付けて、締め付けて、絞め倒す!


「おらぁ!・・・あ。」


 やば、なんか力入れすぎたかもしれない。締め付けるどころか、僕が縛っていた箇所からあの巨体が引き裂かれてしまった。

 いや倒せたから結果オーライだけど、ちょっとぐろい・・・死体は消滅してくれたけど、かなりショッキングな感じになってしまった。


「よ、よし、倒せてよかったな。」


「ばぅ・・・」「――――・・・」「コ・・・」


「な、なんだよみんなして。」


「きゅ・・・」


「れ、レイトまで!?」


 皆あきれというかなんというかなため息をついてなんだよ!まぁ僕もちょっとやりすぎた感はあったけど、あんな相手だったんだ、しょうがないだろ?


----------

≪種族レベルが5上がりました3ポイントを任意のステータスに振り分けてください≫

≪職レベルが3上がりました1ポイントを任意のステータスに振り分けてください≫

----------


 危険度Bのボス級だったからか、レベルも一気に上がった。48層までで上がった分も含めて種族レベルは30、職レベルは15になった。

 ベードに再び乗って自分のステータス確認しつつ、レベルのポイントを振りながら階段まで到着。あの青いテープのような物は消えていたけど、階段が上と下に分かれてる?

 試しに下に行ってみると踊り場のようになってるところには何もない。戻って上に行くと祭壇を発見。こっちが51層に向かう方で、向こうが49層に降りる道?

 入って来た方には上にのぼる階段なかったけど、王都から来るとどうなってるんだろうか?まぁダンジョンはパーティーごとに空間が違うとかいう話もあったし、逆から入っても同じように超えた先が上下に分かれた階段になるのかな。

 この後は51層の攻略じゃなくって一旦王都に向かうつもりだけど、今日はかなりいい時間だ、ログアウトのためにも一旦宿屋に帰ろうか。

50層突破で100話というのもよかったかもしれないと思うけど話数調整できなかった。

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