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拘束特訓

 翌日48層と49層間の踊り場でテントから起床。今までと違うのはテントの外にベードがいないこと。そして僕の頭上にレイトがいないこと。

 別に二人がいなかったことはこれが初めてというわけじゃないけど、送った先が40層だから少し不安にもなる。レイトがいれば道中の魔物たちは問題にもならないはずだろうけど。

 だから僕達は僕達でミミズ対策をもう少し考えておいた方がいいだろう。ベード、モイザ、フレウドがしっかり対処してくれた数匹は倒せていたけど、僕がフレイムランスレインでとにかくダメージを与えることだけしかしてないやつらは、倒し切れずに逃げられることも多かった。

 せっかくサンドウォールで押し出してるんだから、できることならば倒し切りたいとも思う。向うが襲ってきてるわけだし、ハチみたいに多くの仲間を呼んできて復讐してくることはなかったけど、どこかで休憩してまた襲ってきてた可能性は0じゃない。


「僕もベードやモイザみたいな拘束系が使えれば、捕えておくこともできるんだろうけど。」


 それか時術でストップみたいなスキルアーツを使えればいいんだろうけど、問題はそのストップがどれだけの間効果があるかだよな。

 アイテムポーチの時間が進まないようになってるのは術式を使ったものだ。スロウダウンでさえそんなに長くないのに、簡易的に使って永久的に止めるみたいのはできないだろう。


「あ、そうか、スロウダウンで落ちるのを遅くするのもありか。でも距離がある相手には使えないか・・・」


「――――。」


「ん、なんだモイザ?」


「――――、――――。」


 むぅ、声をかけられたのは普通だったけど、そのあとのはまたちょっといつもと違う感じに聞こえたな。でも何となく言ってることはわかった。


「えっと、モイザが拘束のスキルアーツを僕に教えてくれるのか?」


「――――。」


 頷いてくれたのでそれで合っているようだ。モイザが粘土をまるで糸のように伸ばし、なぜかフレウドを拘束して見せてくれた。


「コ、コココ!?」


「おいおい、的がないからってフレウドを拘束するなよ、かわいそうだろ?」


「――――!」


 あ、なんかついみたいな感じで言うなよ。朝食が終わったらまた寝だしてしまったフレウドはさすがに驚いていたようだけど、拘束が解かれるとまたその辺で寝始めてしまった。


「まぁあいつは放っておこうか。でもいつも粘土じゃなく糸を使ってるよな。どうしてなんだ?」


「――――、――――。」


「う、うーんと、土術にまだ慣れきってなくて、粘土はあんまり飛距離が出ない。慣れた糸術のほうが強度も射程もいいって感じか?」


「――――。」


 なるほど、僕がつい炎術を使っちゃうのと似たところがあるのかな。意識して他のを使わないと四属術になったとはいえ、やっぱり育ちが悪くなるかな?

 今のモイザの粘土の拘束を見て少し思ったのは、砂を使った拘束をすればもしかしたら砂中のミミズを拘束したまま引っ張り上げれたりするかも?

 土術でできるようになれば、多分炎術でもできるようになる。問題は他の水と風だな。もういっそ四属性全部で使えるようにしておくか。

 まずは土だ、フレウドを置き去りにはしてしまうけど、少し階段を下りて近場の砂地に手をつける。サンドウォールを使ったときも思ったけど、土術はこうやって直接地面に触れてるとやりやすい。慣れたらモイザのようにどこでも使えるだろうけど。

 さて、イメージは糸か。砂をつなぎ合わせて糸状にすればいいのか?そして拘束すると。やっぱ拘束といえば・・・


「サンドバインド!・・・あれ?」


 砂中から拘束用の砂の糸が出るイメージでやったんだけど、何も起こってないようだ。一応魔素を確認したけど、消耗もしていない。



「――――!」


「ん、なんだ?まずは糸を出すだけ?」


「――――。」


 うーんなるほど?まずは糸を出すだけをイメージするのか、すぐに拘束までをイメージしたのがいけなかったのか。

 しかし糸って英語でなんて言ったっけ?たしかストリングは紐とか弦とかの意味だった気がするけど、まぁいいか。


「サンドストリング!」


 砂からうねうねと一本の紐のような太さで砂がせり出す。なんかミミズみたいでちょっとあれだな。で、この状態からあの砂紐を丸める感じかな?


「サンドバインド。」


 急にうねってた紐が、ギュっとその場を空気を縛るように丸を描いて、その円を縮める動きをした。うん、これなら拘束できそうかな?


「――――。」


「ありがとうモイザ、おかげでうまくいきそうだよ。」


 よし、まずは紐を作ってそれから拘束するってやればいいな。他属性でも試してみようか。炎は当然のように簡単に行く。20本くらい一気に作って操ることができた。

 水も結構操りやすくて10本の水紐を操れた。20本作れたのは炎と一緒だったので、操れる数が違うというのは多分スペシャリティの影響だろう。

 土術は砂に触れながらでも5本作って5本操るのが限界、壁はすんなりいったけど形が単純じゃないからなのかな。

 そして問題は風でウィンドストリングと風紐を作ろうとした時だ。作れてる感触はするけど、紐の形がまったく見えないんだよな。

 フレウドの風術はきれいな緑をしていて、そこに風の力が集まってるとすぐわかる感じだった。僕の風術は何というか、薄すぎるのか?

 さすがに起こして確認するというのもどうかと思ったけど、丁度なタイミングでフレウドが起きてこちらに来たようだ。一人なのに気づいたのかな?


「フレウド、僕の風術どう思う?シューズの時は色が薄いとか考えてもいなかったけど、この拘束だと色が見えないと拘束するとき難しそうで・・・」


「コ、コココ・・・」


「え?ぜいたくな悩み、なのか?」


 贅沢ってどういうことなんだろうかとおもって聞いてみると、どうやら薄い色の風の術のほうが純度が高くて威力もあるみたいな感じらしい。

 僕が込める魔素をできるだけ少なくするようにすると、少しだけ薄い緑が付いて見えるようにはなった。でも薄い色の方が威力があるなら薄いままでも操れるようにしておいた方がいいな。

 他にも炎の拘束のための紐数を増やそうとしてみたり、四属性の拘束術を同時に操ろうとしてみたり、なんていろいろと拘束練習をしていると、急に何かが僕の横を横切ったように感じた。


「え、なに!?」


「ばぅ!」


「ベード!?帰ってきたのか、すごい速さだったな・・・」


 僕のウィンドシューズも使ってないのに今まで以上のスピードだったように感じたけど、何をしてきたんだか。

 というか、砂漠での特訓をしてたから一応サーチエリアかけてたはずなのに一切引っかからなかったし。


「きゅ。」


「レイトもお帰り、何をしてきたのかは聞いちゃダメなんだよね?」


「きゅ。」


 当然だと言われた気がする。しょうがないか、とりあえず時間も光と雷の刻を過ぎたところでお昼時だし、昼飯と一休憩済ませたら特訓成果を見せてもらうためにも49層に挑みますか。


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